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オープニングメモリアル集  作者: ジオサイト
5/50

アフログローブ


「開いてますよ~?」

 

 私は彼の家の玄関のドアが半開きだったので、ドアを開けてみた。


「知ってる~」

「あ。なんだ。みんなは?」


 ソファに座ってマンガを読んでいたのは、ドラマー。


「おやつの時間用に買い物行ってるよ。多分余計なものも買ってくるだろうけど・・・」

「お留守番?」

「君が来るだろうから、ってね」

「えっ・・・」

「で、何それ?」

「あ、ああ、これ・・・アフログローブ」


 私は首から下げていたアフロがついたボクシンググローブをテーブルの上に置いた。


「なんだ、新しい髪形かと思った。はめていい?」

「どぞ。トイレかりまーす」

「ご自由に~」


 トイレに行く私。

 グローブをはめようとするドラマーが、説明書に気づく。


「『ふわっと攻撃して下さい』・・・ふわっと・・・?」


 玄関のドアが開く。


「たっだいま~・・・あれ?何それ?」

「アフログローブ」

「帰ったよ~・・・ん?何それ?」

「アフログローブ」

「戻ったぞ~い・・・なんだ、それ?」

「アフログローブ」


 ドラマーに近づいてみるボーカル。


「わ~・・・片方だけキラキラ、なんかイヤだ~」

「ふわっと攻撃・・・」


 ふわっとボーカルの顔を攻撃するドラマー。

 アフロがほほを優しく包み込むように撫でていく。


「いっ、やーーーーーーーーっ」


「ボーカルーっ」


 ソファに倒れるボーカルを心配したのか、ベーシストが駆け寄ってくる。


「なにするのーーっ」

「ふわっと攻撃・・・」


 ベーシストにふわっと攻撃するドラマー。


「うわぁーっ。やーらーれーたーぁーっ」


 ボーカルの上にわざと倒れこむベーシスト。


「次は俺の番だっ」

「ふわっと・・・」


 ふわっとアッパー。


「ぐわっ・・・ガビーンっ」


 ギタリストがわざとらしくよろめくと、ボーカルが叫ぶ。


「俺は本気でイヤがってるのっ」


 トイレから戻って来る私。


「ああ、やっぱり戻ってたんだ。悲鳴聞こえたから気づいてました」


 みんなが片手を上げて挨拶。


『「ただいま~」』


 片手を上げて挨拶を返す。


「お帰りなさい」


「ふわっと・・・」


 ふわっと攻撃されそうになる私。

 開けたままの玄関から声がする。


「ただいま~。いいもの買ってきた~」


 みんなが見ると、そこにはボクサーの格好に、アフログローブをつけた彼の姿。


『「ええっ?」』


「あっ、藤色のアフログローブだっ。僕のは青っ」


『「ええっ?」』


 彼は抱えていたダンボール箱の、人数分のアフログローブを見せた。


「色違いだよ」



 彼以外全員が、アフログローブをつけているお互いを想像した。


 数秒の間。


『「ええーーーーーーーーーーーっ」』




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