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宝石飴
彼の家でいつものおやつの時間。
勝手に家に入った私は、飲み物を準備している彼にあいさつ。
練習をしていたメンバーが休憩に入った。
「おつかれ~」
ギターが区切りをしめすかのように鳴く。
彼が私の持って来たジュエリーケースを見る。
「それ、何が入ってるの?」
「宝石」
「え、どんな?」
「なんだ、なんだ」
「実は宝石に見えるキャンディーなんです~」
ジュエリーケースを開けると、宝石の形をした飴が入っている。
のぞきこむ面々。
『「ほ~・・・」』
「食べてどうぞ~」
「いいの?」
「どうぞ~」
数十種類から飴を選ぶメンバー。
彼が手に取り、飴玉をじっと見る。
ベーシストが飴を口の中に入れて言う。
「食べるのもったいないね」
「それにしてはすぐに食べたね」
「本物だったら、いくら出します?」
「三千万くらい」
彼はそう言うと、涙型の真珠みたいなミルクキャンディーをわざと飲み込むように口に入れた。
「誰の真似でしょーかっ」
「あはは。クレオパトラですね~」
彼以外、全員で。
『「似てるかも~」』