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思い出の写真
チャイムを押すと、「勝手にどうぞ~」という声がする。
玄関のドアを開けると、何かを見ている彼が見えた。
「勝手に入りました~。何を見てるんですか?」
のぞきこむと、彼は写真たてに入った写真を見ていた。
「彼女ほど変なひとはいないよ・・・クラッカーいる?」
「いる。どんな変なひと?」
ふたりでクラッカーをかじる。
「片方だけ脇の毛の処理しないの」
「は?」
「基本的にノースリーブ生活」
「もう片方は?」
「剃り派」
「意味わかんない・・・毎回の剃り忘れ?」
「いや、そう思って聞いてみたことがあるんだけど、わざとなんだって」
「腕や足は?」
「永久脱毛済み」
「意味わかんない」
「本人もなんだって」
「ふぅん・・・で、誰なんです?この方」
「パーティー会場で偶然見つけて、写真撮った。彼女、テンション上がると両腕も上がるみたい」
「その時の写真?」
「そう」
私は写真をじっと見て顔をしかめて、彼の顔を見た。
「なんで彼女右利きなのに、右の方が剃り派なんです?」