想像力の大切さ
チャイムを押して、彼の家の玄関のドアを開ける。
親指と中指をこすって音出したいんですが、出なかったら音お願いします。
とにかく、指を鳴らしながら登場する私。
「けんちん汁は味噌汁じゃないよっ」
ボーカルさんの突然の叫びに、イスから立ち上がる彼。
「なんで茄子のこと『なすび』とか『おなす』って言うんだっ」
「そうだ、そうだっ。おは尊敬語だから分かるけど、び、ってどういうこっとやねんっ」
「そんなに言い張るなら、おみおつけに『お』~つけるぞっ」
「カレーにはふくしん漬けっ」
「そして生卵っ」
『「ええっ?」』
まだ指を鳴らしている私。
「ケンカですか?」
『「大声大会~」』
「テレビで見て面白そうだと思ったので、それでみんなで遊びませんか~?」
「何、何~?」
「長い?」
「いえ、すぐすみます~」
「じゃあ、やる~」
部屋の真ん中あたりで指を鳴らす私。
それに気づいて、リズムを刻み始める彼ら。
すぐに同調してくる。
視線のトリック。
円を描いて集ったメンバー。
指を鳴らすのをやめて、見えないコインを親指で弾くのを、顔をあげることで表現。
塑像の中で、すぐにコインが落ちてくる。
それをつかむメンバー。
いつの間にか見えないコインが増えていて、全員がコインを掴んでいる。