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手違い転生〜男の俺が聖女として人生を歩む〜  作者: りょう
第4章再会とライバルの秋
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第76話本当のライバル 後編

 セフィという名前をあたしが初めて聞いたのはリラーシア学院に入学する少し前の話だ。


「お前は学年で常に一位になるんだアリエッテ。今のうちに優秀な成績を残しておけばいつか聖女になれるはずだ」


「はい、おとうさま」


「お前の今の潜在魔力とか考えれば、常に一位にいれると思いたいが、もしかしたら一人お前を越える人間が現れるかもしれない」


「わたしを越える?」


「今度入学する同学年の子にセフィという名前の女の子がいる。彼女は要注意した方がいい」


「それはどうしてでしょうか?」


「彼女は先代聖女ソフィ様の娘だ。きっとその血を継いでいる」


「ソフィさまの......」


 セフィという名前はあたしのお父さんから初めて聞いたので、彼女がどんな性格でどんな女の子か最初は知る由もなかった。


(ソフィ様の子供、あたしでも友達になれるかな)


 私の胸の中にあったのは、お父さんが言っていたライバルとかそういう関係ではなく、友達になってみたいという純粋な気持ちだった。


 そしてリラーシア学院に入学、セフィちゃんと出会うことになった


「あなたがセフィちゃん? あたしはアリエッテって言うの、よろしくね」


 彼女とも無事にお友達になって私の願いは叶ったのだけど、


「すごいねセフィちゃん。あたしと潜在魔力のすうちが一緒だ」


 セフィちゃんと一緒に過ごす内に、彼女が本当にソフィ様の子供だということを思い知らされる。


 ピクニック、そしてこの前の遊び。


 お父さんが言っていたように、セフィちゃんが持っている力はあたしと同じ、もしくはそれ以上の物だった。


(もしかしたらセフィちゃんとあたしは、将来ライバルになれるかも)


 けどあの日、セフィちゃんから告白された自分が転生者で最初から、神様の力を授かっていたという事実。


「それってズルいよセフィちゃん」


 私はその事実を"ズル"と言ってしまった。勝手に信じて勝手に裏切られて、あたしの感情はぐちゃぐちゃだった。


 それを一度きれいにするためにも、


「あたしの今のほんき、受け取ってセフィちゃん」



 アリエッテを中心に集まっていく巨大な魔力。


「あ、あれは、魔力暴走?! ダメですアリエッテちゃん!」


 それを見た審判のスイカさんがが声を出す。


「スイカさん、止めないでください。わたしは逃げないってきめたんです」


「逃げないにも限度があります!」


 何故スイカさんがこんなに慌てているのか。


 それは先日スイカさんに教えてもらったあることに遡る。


「魔力ぼうそう?」


 ■□■□■□

『魔力暴走』


 スイカさんが教えてくれた授業の中に出てきたのがこの言葉だった。


「はい。これはセフィちゃんだけではなくあの子、アリエッテちゃんにも言えるとても危険なものです」


「ぼうそう、魔法をうまく制御できなくなるということですか?」


「概ねそれであっています。魔力暴走は、潜在魔力が異常値、つまりその人間が今扱える魔力を遥かに越えてしまうことです。これは魔法の扱いになれていないほど起きる現象です」


「つまりスイカさん達おとなより、こどもの私たちが起きやすい現象ってことですか?」


「そういうことです。たしかセフィちゃんとアリエッテちゃんは潜在魔力値を測った時、測定不能と出たんですよね?」


「はい。初等科にあるものではけっして測れないといわれました。アリエッテもおなじです」


「それはつまり小学生ではあり得ない魔力を持っているということになります。キャパをオーバーしているとでも言いましょうか」


「そっか、扱えるまりょくが少ないほどぼうそうが起きやすいということなんですね」


 簡単にまとめると、身の丈に合わない魔力を使おうとすればするほど、魔力暴走が起きやすくなる。


(身を滅ぼす可能性だってあるってことか)


 いくらチートを得たとしても、それを扱えるだけの身体を得なければ何も意味がない、そういうことらしい。


「魔力暴走が起きてしまえば、それが収まるまで待つしかありません。我々大人がいればどうにかできますが、今のセフィちゃんには無理でしょう。そしてそれが今度の戦いでも起きる可能性があるという事です」


 スイカさんの予言は見事に的中し、アリエッテは今魔力暴走を引き起こしていた。


(そこまで本気なんだなアリエッテ)


 この状況、スイカさんが介入するという選択肢が一番かもしれない。だがこのまま逃げ出したらここまでの事が無意味になる。彼女が本気で戦おうとしているなら、俺も、


「スイカさんすいません、わたじ一つ隠し事をしていました」


「か、かくしごと?」


「わたし実は魔法いがいに使えるものがあるんです」


「魔法以外?」


 俺は目を閉じ想像する。母ソフィから継いだ聖なる力、そして父から教えられた戦う力。


「来て、わたしのつるぎ」


「剣? まさかセフィちゃん、貴女」


 俺が呼び出したのは父から受け継いだ魔法でできた剣。


 セフィは女の子だ、ユシスのように重い剣は使えない。


 でも魔法でできたものなら負担にならない。だから俺は今、ユシスの力も使う。


「わたしが持つちからはたしかにズルいよアリエッテ。でもわたしがこの世界で得た力ならそれは違うよね」

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