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手違い転生〜男の俺が聖女として人生を歩む〜  作者: りょう
第4章再会とライバルの秋
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第71話王都からの転校生

騒がしい夏休みもあっという間に終わり、俺達は二学期を迎えた。


(アリエッテとはあのままだけど、大丈夫かな)


俺がひとつ気がかりなのは、夏休みの旅行以来アリエッテに会っていない事だ。あれか俺は立ち直ったもののアリエッテは果たしてどう思っているのか。


「おはようセフィちゃん。ひさしぶり」


登校中、その人物に遭遇し俺はビクッとしてしまう。


「お、おはようアリエッテ。ひさしぶりだね」


「ねー。あれから何をしていたの?」


「夏休みの宿題とか、お墓参りとかかな」


「おはかまいり? あ、ソフィ様の?」


「う、うん」


何ともないように会話をしてくれるアリエッテ。無視されるかと思いきやどうやら気のせい、だったのかもしれない。


「ところでセフィちゃん、今週末じかんある?」


と、一安心したのも束の間、


「え、うん。とくに用事とかはないけど」


「じゃあさ、あたしの家に来ない? あ、フラン達には内緒にして二人で」


「二人きりで?」


「うん。あたし、いちどセフィちゃんと戦わないといけないと思うんだ」


「戦う? どうして」


アリエッテから戦うという言葉が出てきて一瞬ゾッとする。


「この前の話覚えてる? 旅行がえりの」


「おぼえているけど」


「あたし試したいの。セフィちゃんがどこまでズルしていて、どこまであたしの力が届くのか」


「そ、そんなの危ないし、やめたほうが」


いら小学生同士だとしても、その戦いがどのレベルで、どれくらい怪我するか分からない。そんな勝負を安請け合いなんてできない。


「ふーん、逃げるんだ」


「逃げる?」


「あたしは真っ正面からセフィちゃんと戦おうとしているのに、そうやってにげるんだなって思って。それこそズルいとおもうんだけど」


「......」


「聖女の子供と言えど、ズルして生きてきたら、あたしに勝てないもんね」


挑発とも言える言葉に、俺の中で何かが切れる音がする。


「わかったよアリエッテ。そっちがその気なら、その戦い受けてあげる。ただし、二人きりじゃ危険だから公平な審判をつける意味でも、スイカさんに見届けてもらうよ」


「わかった。じゃあ今週末に」


そう言い残すと、アリエッテは先に走り出してしまう。俺はそれを止めることもせず、その場に立ち尽くしていた。


(あそこまで言われたら、俺だって逃げるわけにもいかないよな)


元々入学前から俺は彼女をライバル視していた節もある。ここは一度彼女と戦った方がいいのかもしれない。


(その前に学校に急がないと)


アリエッテとの対決まで残り五日


■□■□■□

教室に到着すると、クラスがどこか騒がしかった。


「おはようフラン、なんか皆さわがしいけどどうしたの?」


クラスの中にフランを見つけて話しかけると、彼女はこう答えた。


「なにやら今日から転校生がくるらしいですわよ。このクラスに」


「転校生? まだ一年生の二学期なのに」


あまりにも季節外れ転校生に俺は驚きながらも席に座る。隣にはアリエッテがいるが、さっきのことは何もなかったように話しかけてきた。


「あたしもそこまで詳しくないけど、転校生もめずらしくはないんだって。ほら、こういう時期の転校生って色々わけありだし」


「たしかに」


言われてみればそういうのは何となく分かる。ちきゅうでもそうだったし、その辺は共通しているのかもしれない。


「みなさん席についてくださーい」


そんな会話をしている間に、担任が教室に一人の女の子連れて入ってきた。


「突然なんだけど、今日からこのクラスで一緒にお勉強することになったお友だちを紹介します。さあ、エルちゃん」


「はい」


先生にエルと呼ばれた薄い緑色のショートカットの少女が皆の前に立つ。


「えっと、エル·イエスターと言います。今日から皆さん、よろしくお願いします」


(エル? どこかで聞いたことがあるようなあるような......)


それも割りと最近。


「あ、セフィちゃーん!」


「え?」


誰かなと考えている俺を見つけたエルという少女は、真っ先にセフィの名前を呼んできた。


「あれ? せちゃんおともだちなの」


皆からの視線がセフィに集まる。


「え、えっと」


俺は何とか思い出そうと記憶を辿る。たっ一度だけエルという名前を聞いたことがあるんだけど、いつだったかな。


「もしかして忘れちゃったの? ほら、聖夜祭の時に」


「聖夜祭? あ!」


聖夜祭という言葉とエルという名前でピンときた。


「た、たしか一年前の聖夜祭で」


「そう! あの時はじかんがなくてお話ができなかったけど、今度はたくさんおはなしできるね」


一年前の聖夜祭。

ちょっとしたキッカケで彼女と偶然会ったのだが、まさか一年越しに、同じ学校で再会するとは思ってもいなかった。


「あ、えっと、話のとちゅうだったけど、改めてエルです。出身地は王都です」


(それにしても一年前と大きく違ってないか)


彼女の自己紹介を聞きながら一年前のことを思い出す。あの時の彼女は金髪のロングヘアーだったような気がするけど、大分イメージが変わった気がする。


(でも名前覚えていたし、本人なんだよな?)


二学期もまた色々なことが起きるそんな予感がした、新学期の始まりとなった。

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