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《月夜の黒狼》

「副団長、出発準備が完了しました。いつでも行けます」


「…………」


「副団長?」


「……シフォン」


「おーいリタ様、私の声が聞こえていますかぁっ!」


「っ!? ご、ごめんなさい……! えっと、何かなクロエ?」


 思考の海をさ迷い、心ここにあらずといった様子のリタ・ユーフェの意識を現実へと引き戻す少女の声。


 副団長と呼ばれた彼女が慌てて聞き返すと、黒髪の少女は呆れたようにため息を吐き出す。


 リタの隣に立つ少女、艶やかな黒髪を肩にかかる程度に伸ばしている彼女はクロエ・ロア。


 リタと同じくクラン《月夜の黒狼》の上位の冒険者で、今回の遠征部隊の補佐を任されている。


 レベルも36と高く、実力も充分。


 何度も共に窮地を乗り越えてきた分、リタとしても頼りにしている子だ。


 そんなクロエの瞳が細められ、咎めるような鋭い視線が次々とリタを串刺しにする。


 申し訳なさにリタの表情は苦いものになった。


 胸の内で何度も謝罪の言葉を述べる少女にクロエは若干の呆れを顔に浮かべて、改めて口を開く。


「まったく、御自分の世界へ旅立たれるのは控えてください。団長から預かった団員のこともあるのですから」


「ご、ごめんなさい……」


「もう一度言いますね。小休止の終了に伴い、遠征部隊の出発準備が完了しました。次の指示をお願いします」


 凛とした声を響かせるクロエは、これからの方針を遠征部隊の隊長であるリタに求めた。


 その言葉を今度こそしっかりと聞いた彼女は、周囲を見回す。


 森の中でありながら、木々が避けたようにひらけた空間。


 小休止を取っていた団員達がリタを中心に集まっていた。


 現在、《月夜の黒狼》はガレヴァン大森林の奥深くに来ていた。


 その目的はクランの戦力強化。


 レベル10以下の団員二十名を引き連れて、レベルアップを促すために未踏領域へと侵攻している。


 その二十名を任され、率いているのがクランの副団長であるリタであった。


 団長であるアルス直々の大役。


 クランの二割に相当する団員を任されている以上、しっかりしなくてはいけないという思いが彼女にはある。


 今回は中距離探索。


 ガレヴァン大森林を越えてその先に広がるリグ平原を目指し、団員のレベルアップをサポートしなくてはならないのだから。

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