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幼馴染みのヒトリゴト2

 レベルが上がると安心する。


 着実に強くなっていることを知れるからだ。


 無茶に無茶を積み重ねた代償、その対価を得ると少しだけ気持ちが落ち着く。


 でも、それも僅かな間だけ。


 直ぐに焦燥へと反転して、私を未踏領域へ誘う。


 そんな私をみかねて声を掛けてきたのが、アルス・フィンレットだった。


 シフォンとパーティを組んでいた時に何度か助けてもらったことがある冒険者で、クラン《月夜の黒狼》の団長として有名な人だ。


 アルスは私に、「俺のクランに入らないか?」と言ってきた。


 強くなりたいのなら組織としてしっかりとした地盤を持つクランの一員となって、未踏領域の奥を目指すべきだと。


 アルスの言っていることは正しい。


 未踏領域の奥には、ガレヴァン大森林とは比べものにならないほど強い魔物がいる。


 その魔物を倒していけば、今よりも多くの経験値を得られるのは確かだ。


 レベルアップができる。


 私はさらに強くなれる。


 そう考えた私は、アルスのクラン《月夜の黒狼》に入った。


 有名クランに属することで得られた恩恵は想定以上のもので、他の冒険者の追随を許さないほどの勢いで一気にレベルを上げることができた。


 たった一年でレベルは43になり、その実力をアルスに買われてクランの副団長という地位を得るほどまで強くなったのだ。


 まだ満足はできないけど、少しは胸を張れるくらい強くなれたのかもしれない。


 きっともう故郷の村へ帰ってしまったシフォンを思い、いつか偉大な功績と共に故郷へ戻り彼に会って話したい。


 私が経験した冒険の日々を語り聞かせたい。


 この思いを、共有したい。


 まるで共に冒険をしたように。


 きっとその時こそ、私は許してもらえる。


 そう、思っていたのに。


 思い描いていたものとは違う形で、私の前に彼は現れた。


 一年ぶりの再会は動揺して自分から話し掛けられなかったし、シフォンも直ぐに逃げてしまったけど次の日には自分から声を掛けた。


 だってシフォンはぼろぼろで傷だらけで、何があったのか問い掛けずにはいられなくて、声を掛けていた。


 振り返ったシフォンは困ったような笑みで事情を説明してくれたけど、私は気が気ではなかった。


 パーティを組まず、たった一人で未踏領域へ行くなんて普通ではない。


 無謀なことをするシフォンの姿はクランに入る前の自分と重なって見えて、叫ばずにはいられなかった。


 とても酷いことを言ったかもしれない。


 だけど、言わずにはいられなかったし何より私はシフォンのことが心配だったから。


 冒険者としてやっていけないのなら、別の新しい夢を、幸せを探して欲しかった。


 故郷で私の帰りを待っていてくれれば良かったのに、何でシフォンはまだトヴァレに居るのと叫ばずにはいられなかったのだ。


 自分の感情を一方的に爆発させて、シフォンがどんな思いを抱いているのかさえ気づかずに。


 ただただ自分の思いだけを押しつけていた。


 そしてシフォンからも思いを吐き出されて、その言葉の数々に私は自分のいたらなさを自覚する。


 シフォンがどれほど冒険者になりたかったのか。


 そして、シフォンがどれだけ私に追いつきたかったのか。


 その時、初めて知ることになった。

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