【経験値増加・付与】
冒険者ギルドでギルドバッジを手に入れたティファと共に巨大な門をくぐり、未踏領域へ足を踏み入れた。
最初に待ち受けるのは大規模は森林地帯。
ガレヴァン大森林と呼ばれる場所であり、僕がこの一年間ただ生きるためだけに魔物と戦い続けた場所だ。
出てくる魔物は主にゴブリンやボブゴブリン、コボルトなどで駆け出し冒険者でも倒せるレベルの魔物しかいない。
深い森、空を覆い尽くすほど伸びる木々にでこぼことした大地は足をとられ歩きづらい。
僕は慣れているから良いけど、後ろを着いてくるティファが心配だ。
ティファは用無し迷宮にあった杖を持っている。
いざという時の護身用になるのだとか。
ちなみにその杖は守護星の聖杖と言うらしく、神器と言われる神だけが扱える特別な物だとか。
ともかく、ティファのことが気になる。
女神様だけど、見た目は可憐な女の子なのだから。
「ねぇティファ、大丈夫?」
「問題ありません。少し歩きづらいだけですから。それよりもシフォン、前を良く見てください。何かいます」
「え? 本当に?」
すぐさま正面を向き目を凝らすと、ティファの言う通り何かが蠢いていた。
距離もあって良くは見えないが、魔物なのは確かなようだ。
気づかれないように二人して近くの木に身を隠し、様子を窺う。
「良く分かったね」
「スキルのお陰です。【神眼】は視界に捉えたもののステータスを見れるのでそこに何がいるのか一目で分かってしまうので」
そ、それは反則級のスキルだよティファ……。
でも流石女神様、凄いスキルを持っている。
軽く戦慄するが、それでも気を取り直して声を投じる。
「じゃあ、何がいるとかも分かったりするのかな?」
「はい、勿論。これはゴブリンですね。レベル3のゴブリン。シフォンのスキルを試すのに良い相手になると思います」
「うん、僕もそう思うよ」
ここへ来た目的。
それは僕の新たなスキル【経験値増加・付与】を試すためだ。
このスキルは取得経験値を増大させるだけでなく、今までに溜め込んだ経験値、総取得経験値をステータスパラメーターへ割り振れる。
レベル1でもステータスを強化できる。
《エターナル・ワン》である僕のためにあるようなスキルだ。
確認のために、もう一度ステータスを頭の中に思い浮かべる。
《名前》シフォン・ユレイ
《レベル》1
《種族》人族
《主神》ティファ
筋力13
耐久9
魔力8
敏捷17
器用12
幸運4
《保有スキル》
【経験値増加・付与】
魔物を倒したさいの取得経験値増大。
なお、総取得経験値をステータスパラメーターへ割り振れる。
《総取得経験値》597124987
良かった、ティファに加護を貰った時のままだ。
もしかしたら僕の見間違いだったのではという僅かな不安もこれで霧散する。
後は、やるだけだ。
「シフォン、頑張ってください。あなたならできます」
「うん、頑張るよ。絶対使いこなしてみせるから。ティファから授かった加護を、そのスキルで倒してみせるから。だから見ててね」
「はい。シフォンの活躍、とても楽しみにしていますね」
何でだろうか。
ティファと言葉を交わしているとガチガチだった体は弛緩し、過度な緊張も適度に和らいでくれる。
リラックスした状態で挑めるんだ。
まるでその微笑みと声に癒しの効果があるみたいで。
女神様だからなのかなぁ。
そんなことを思っていると、これから命のやり取りをするというのに自然と口元に笑みが作られていく。
何でなのだろうか、まるでわくわくしているみたいだ。
僕はまだ冒険者として冒険をすることに興奮できてるってことなのかな。
もしそうならきっと君のお陰だよ。
ありがとう、ティファ。
「……【経験値増加・付与】」
ただ一つ、唯一のスキルの名を告げてその力を発動させる。
瞬間、視界に文字の羅列が流れ込む。
それは頭の中に思い浮かべるステータスと酷似していた。
《スキル発動中》
筋力13
耐久9
魔力8
敏捷17
器用12
幸運4
《総取得経験値》597124987
これは……。
あぁそうか、何となく分かる。
これの扱い方が。
これが僕のスキルの本来の性能、その力なんだ。
筋力に102、耐久に100、敏捷に150。
割り振る、総取得経験値をステータスパラメーターへ割り振る。
《スキル発動中》
筋力13 +120
耐久9 +100
魔力8
敏捷17 +150
器用12
幸運4
《総取得経験値》597124617
ステータスの筋力、耐久、敏捷がそれぞれ割り振った通りに増えて、総取得経験値は割り振った分だけ減った。
強化した今のステータスはおよそレベル10相当。
レベル3のゴブリン相手なら、今までのように苦戦しないはず。




