お部屋訪問
ティファに連れられ、僕は地下迷宮の奥へ移動する。
その間も彼女についての疑問は溢れ続け、尽きることを知らない。
銀色の彼女は言った。
『その《エターナル・ワン》というものが本当はどういうものか理解していますか?』と。
『シフォンのスキルが本当に役立たずだと思いますか?』と。
全てを知っているかのような口振りに終始、心がざわつく。
横顔を窺えば、堂々とした態度を崩さない彼女がいる。
真っ直ぐに向けられた視線の先に、一体何があるっていうんだ?
ティファ、君は何者なんだ?
そうして暫く歩き続けると、ひらけた空間に出る。
冒険者を待ち受けるボス部屋のような作りだけど、肝心の魔物はいない。
あたりまえだ、ここはもう終わったダンジョンなのだから。
ただの行き止まりにしか見えないが、ティファは悠然と歩みを続け、その部屋の奥にある壁へ手を添えた。
すると地響きを伴い、石造りの壁が両扉のように開き、中身の空間を晒す。
驚く僕にティファは振り返り。
「さぁシフォン、入ってください。私の部屋です」
と、何でもないことのように彼女は言った。
◇
女の子の部屋に入るという経験は人生で二度目だ。
言わずもがな一度目はリタの部屋であり、初めて入る女の子の部屋に妙に緊張したのは今も鮮明に思い出せる良い思い出だ。
あの時はすごく良いにおいがしたなぁ。
そして現在、僕は二度目となる女の子の部屋を訪れていた。
落ち着きなく周囲をキョロキョロと見回す。
石造りの壁にある隙間から漏れる淡い光に照らし出される空間。
何故か室内には池があった。
恐る恐る池の中を覗けば見たこともない丸い生物が泳いでいて、僕の視線に気づくと一斉に振り向く。
襲ってこないのが唯一の救いだ……。
他には石でできたと思われる椅子やテーブル、部屋の中央に突き刺さっている杖のようなものとふかふかのベッドがあるだけで、目新しいものはない。
やっぱり一番インパクトがあったのは池だよね……。
どうやら二度目の女の子のお部屋訪問は少々特殊だったようだ。
いや、特殊すぎるよ!
何を淡々と観察しているんだ僕は!
「どうかしましたか?」
「いえ、別に……」
さっきから挙動不審な行動を連続でとる僕に、不思議そうな表情で小首を傾げるティファ。
あまり女の子の部屋をじろじろ見るものじゃないってあの頃のリタにも言われたのに、また同じことをやってしまった……。




