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14 開示されし新たなる力

「っくぁ、はぁっ、はぁ……まだいる……見てる……!」


 ……せん


「こっちにも……あぁ……やだ……逃げなきゃ……!」


 かり……す……


「またいる……見てる、ぼくを……あぁぁあぁ!?」


『しっかりせんか娘っこ!』 ごっ!


「んごぁあぁぁ!? いったあぁあ!?」


『まったくしょうのない奴じゃのう、あんな化石のような小細工に引っかかりおってからに』


「うぅあ……っ痛ぁぁ、っは!? あれ!? ぼくは!?」


『ようやっと正気になったか、ほれなんならもう一発いっとくかぇ?』


「やめて下さい今度こそ頭割れるのです!?」


『まぁよいわ、娘っこの状況じゃが……あのデカブツに惑わされて錯乱した、まではいいかの?』


「はい……です」


『しょげるのは後にせい、で……今の戦況じゃがオーガストとメティス嬢が共闘しておる』


「……ふぇ!?」


『順序はこうじゃ、オーガストによる進退確認に対しメティス嬢が戦闘を選択。嬢の意思を汲んだオーガストがサブパイロットに本登録して《ウォードレス》を[Type-M]とやらにコンバートするところまでが今の状況じゃな』


「な!? お義姉様さまががが!?」


『落ち着けぃ』 ごんっ!


「あだあぁぁあ!? だから頭突きやめて下さい割れるのです!?」


『お主はちょっとした事で取り乱しすぎじゃ、そこら辺は要改善じゃな。それに現在娘っこの肉体と精神のリンクに不和が発生しておるでな、今すぐ復帰とは行かん状況じゃ』


「それじゃ戦闘は!? 早く何とかしないとおーちゃんとお義姉様が!!」


『だから落ち着けというに』


「でもまだ攻撃されてお義姉様がおーちゃんがあぁああぁ!?」


『っふー、……落ち着け馬鹿者ぉ!!!!』


「っひ!?」


『そんな様で戻って何ができる! 多少知恵だの力だのがついた程度でなんでもかんでも一人でやれると思っておるのか! 大間違いだたわけが!!』


「うぅ……あぅ」


『幸いついてるのがオーガストじゃ、伊達に200年以上この機体と付き合ってはおらん、何とでもなるわい。むしろこの期に及んで新機能とか儂の方がびっくりじゃわい』


「はぁ、200年……200年ですか!?」


『あー、そうか儂の記憶を継承しとらんからその辺真っさらなんじゃったな、その辺の講義と観戦しながら娘っこの回復待ちかのぅ』


「うぅ、お手柔らかにお願いしますです……」




 ーーー ◆ ーーー




『こちらは準備万端です、コールをどうぞ』

「え、これ読みあげるの? なんかちょっと恥ずかしいんだけど」

『下で調子に乗っているアレに一発カマせる対価と割りきって下さい』

「あぁもうわかったわよ! 言えばいいんでしょ言えば!? ……こほん、《ウォードレス》コンバート[Type-M]、アクション!」

『受諾』


 んっ、なんか読み上げた瞬間両手の銀球からぴりっと痺れるような感覚、それに続いてまるで背骨を組み替えられるような凄まじい感覚が襲ってきた。ちょっと従者さんなにしてるの!?


『メティス様の精神領域にアクセス、回路構築を行いました際の感覚かと。メティス様の得意領域を先鋭化、前面に引き出しました。それにより機体の細部変更、及びカラーリングが変化しております』

「私得意って言えるような属性……というか魔法もそんなに得意じゃなかったはずなんだけど?」

『そこを再構築しました、素質自体はおありようでしたのでこちらで組み直しました。その結果電撃属性を主体に各種属性も使用可能になっている……はずです』

「なんでそこで疑問形なのよ」

『私にも初の試みですので致し方なし、というやつです』


 ……初のって、大丈夫なのかしら。まぁそれはそれとして……行きますわよ従者さん、ネミアちゃん怖がらせた報いはしっかり受けてもらいましょう。


『クッ……エェイウットオシク飛ビ回リオッテ……』

「電撃ならまずは……サンダーストームから行きましょう、TSっと」


 頭の中にずらり並んだボタンのような表示の中から選んだ部分へと意識を向ける。すると普段魔法を使った時のような魔力が減る感覚と共に、上空に電撃で出来た球体が発生、眼前の巨体へ向け一本の雷光が落下。さらに落下地点を中心に周囲を電撃が乱舞する。


『グガアァァァ!?!?』

「え? 何この威力」

『魔法の最適化及びリミッター部分を改竄しました。生身で行えばオーバークロックで自身もろとも焼かれるでしょうがメティス様の魔力を《ウォードレス》が使用して行使するなら問題ありませんので』

「すでに問題大ありなんだけど!? ……まぁ今はいいわ、使えるものならどんどん使うべきよね」


 今の一撃はずいぶんいい効きだったみたいね、あちこち焦げたようになっているわ。

 なら次はアロー系列を……各色織り交ぜながら放ちましょう。フレイムアロー(FA)アイスアロー(IA)ストーンボルト(SB)ライトニングボルト(LB)っと。

 高速移動しながら次々と撃ち出される魔法の矢、それが着弾の都度マローダーから呻きが漏れる。けどネミアちゃんに酷いことしたんだから構いやしないわよね、はいおまけにもうワンセットいかが?


『メティス様、相手の現在の物理耐性状態は魔力を介した事象改変……魔法は素通しのようです』

「……そ、そう? しかし一気に飛ばしすぎたわね、ちょっとクラクラするわ」

『グヌァ……エェイ貴様、面妖ナ武器ニ加エテ魔法マデ……ソノチカラ無駄ニ撒キ散ラスデナイワァァ』

「さっきから欲しいって言ってるからあげてるんじゃないの、文句は受け付けないわよ」


 従者さんの操る機体は数々の光弾や熱線を紙一重でかわし、続く触手や目玉を手にした剣杖(ソードロッド)で切り払い……奴の眼前に迫る。従者さんの用意してくれたチャンスに私は手持ちの魔法で火力特化の一撃を選択する!


エレクトロブラスト(EBs)!」


 奴の上体目掛けて近距離用高火力魔法を叩き込む! 帯電した光球が突き出した機体の拳から一気に膨れ上がり、奴の上半身を覆わんばかりの範囲を灼き焦がす。

 怯みのけ反り、海面へと肩肘ついて倒れ込むデカブツ。……っふ、はぁー、ちょっと連発しすぎて魔力消費が回復に追いつかないわ、従者さんちょっと回復の時間ちょうだい。


『相手の表面体が剥がれてコアが見えております、時間を置くと再生するかと思われますので早急に追撃を入れたい所ですね』

「簡単に言ってくれるわね、そんな大技何度も……あ」

『……ただ今の案は遂行可能と申し上げます』


 思いつきで考えた案だったけど、そう言われたならやるしかないでしょう! 次の一撃で……決めるわ!!

読了ありがとうございました。次も見てくだされば幸いです。


次回は5/12更新予定です。

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