1日目
今日も高校が終わり
部活もバイトもしていない私は
まっすぐ家に帰るべく一人道を歩いていた。
(今日は家に帰ったら晩御飯まで、テレビみながらゴロゴロしよー。)
家まであと、5分。
依然、上機嫌で歩いていた私は少し先に人が立っていることに気が付いた。
(うーん…あれはおじさん?なんで、あんな格好しているんだろう?)
そうなのだ。おじさんは冬でもないのに重そうな黒いコートを着ていたのだ。
私は閃きました。
春に全身を包むコート…。
あれは…。
危険なおじさんだ!
…と。
しかし、容姿が中の下……もない私…
襲われることもないかと、
先程と変わらぬ足取りで
おじさんの横を歩いていきました。
「そこの、お嬢さん。」
は、はなしかけられたー!
これは予想もしていない展開です。
戸惑っている私をよそにおじさんは
話しを続けていきます。
「ちょっとだけ話を聞いてもらえないかな?
貴女にみて頂きたいものがあるのです。」
そういうやいなや
ゆっくりと自分のコートに
手をかけはじめました。
私はとにかく慌てました。
上着を脱ごうとするなんて、
やはり変なおじさんだったのです。
(どうしよう…。
どうしよう…。
あ、そうか!)
私はひらめきました。
そして、私が考えていた間も
おじさんは
もったいぶるかのように
動作をゆっくりと続けていました。
そして、
「実は、これを見て…
…ぐほぉ…うぅ。」
おじさんはお腹を抑えながら
うずくまっていました。
「よっしゃーーー!
大成功!」
その通り。
私です。
これが先ほど考え付いたアイデアでした。
…女子高生の必需品。
学生鞄(辞書入り)。
(ちょっと痛かったかな?
うふ。)
しかし、
変なことをしようとするのが
一番悪いのだと自分に言い訳をし、
家路に着きました。
(さあ、帰ったら
晩御飯までテレビ!)
家に帰ったら
今日あったことは
全て忘れていつもの怠惰な生活を過ごし
いつものように夜更かしをし
眠りについたのでした。
つづく。