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6 受付嬢の独り言

 レクスが力業で無理やり発動させていた閃光の魔法の術式をアナが完成させたことで、ついに神聖魔法ではない正真正銘本物の光魔法が誕生した。

 そしてそのことに感激したアナは、レクスの手を握って大はしゃぎする。


「レクスさん、レクスさん、レクスさん! ついにやりましたよ、わたしたち。まだ一つだけですけど、あの異世界のゴーレムの力を魔法として完全再現したんです!」

「そうだな」

「そうです、そうです! これはすごいことなんですよ!」


 そしてそんな二人の様子をにやけ顔で眺めるベル。


「なんだかすごくいい雰囲気ね。相変わらずレクスさんの反応が淡泊なのがちょっとあれだけど。でもあのアナちゃんの様子を見る限り、これはもしかして、もしかするかも? んふふ…」


 などと勝手に二人のこの先を妄想してにやけていると、そんなベルの前にレクスがやって来た。


「おい」

「わぁっ! ご…ごめんなさい、レクスさんっ! あれは私の勝手な妄想であって、決して二人の関係に余計な口出しをする気とかは…」

「何のことだ?」

「あ…あれ? もしかして今の私の独り言、聞かれてたわけじゃない?」

「いったい何を言っていた?」


 ベルはうっかり余計な口を滑らせてしまったため、レクスに問い詰められる。


「い…いや、別に悪口とかじゃありませんよ。ただ二人のことを応援していただけです。それは本当です」


 決して嘘は言っていないが、魔法のことではなく恋愛的なことで応援しようとしていたという事実は、さすがに口には出さないベルであった。


「まあいい。それよりも、何かクエストはないか?」

「クエスト…ですか?」

「ああ。早くあの魔法を実戦で試してみたい」


 レクスがそう口にすると、レクスの後についてこの場にやってきていたアナが、あることをレクスにお願いする。


「レクスさん、わたしもついていっていいですか? わたしもその魔法が実戦でちゃんと通用するか、この目で確認したいです」

「まあ、構わんが」


 そのレクスの言葉を聞いて、ベルはついついぽつりと本音をつぶやいてしまう。


「これはあるわね」

「何かいいクエストがあるのか?」

「あっ、えと……」


 ベルがあると言ったのはクエストのことではなく、以前なら即行で断っていたであろうレクスがアナの要求を受け入れたことで、二人の関係がうまくいく可能性は大いにありえる…と思ったということである。


 だが、そのことをそのままレクスに告げてしまっては、やっぱり来るな…とかレクスが言いそうな気がしたので、ベルはこれ以上余計なことは言わない。


「クエストならこれとかどうですか。町のすぐ近くでゴブリン三体を見かけたという報告が来ています。レクスさんにとっては簡単すぎるし報酬も物足りないでしょうけど、アナちゃんもついていくのなら、これくらい危険度が低いほうが安全かと」

「……じゃあ、これでいい」

「っ!」


 あまりにもすんなりこのクエストでいいと言ったレクスにちょっと驚いてしまい、やっぱりこれはあるわね…と思うベルであった。


「おいベル、何だその顔は」


 ベルはにやけ顔を隠せない。


「べ…別に、私は変な顔なんてしてないですよ。それよりレクスさん、ちゃんとアナちゃんを守ってあげてくださいね」

「この程度の敵なら、わざわざ気にするほどのことでもないだろ」

「ちゃ・ん・と、守ってあげてくださいね」

「わ…わかった」


 なんかベルの圧がすごかったので、とりあえず了承するレクスであった。

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