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16 決闘終わって…

 カーマとの決闘を終えたレクスが脚にやけどを負っているアナのもとへと戻ると、そこにはアナのクラスメイトであるシオンがいた。

 そしてシオンは今のアナの状況をレクスに告げる。


「アナさんは今すぐに安静にして、ゆっくり休ませる必要がありますわ。ですので運ぶのを手伝ってください。さあ早く!」

「わ…わかった」


 シオンの勢いに押されてアナを抱きかかえるレクス。


「ではこちらへ…」


 そしてレクスはシオンに誘導されるがまま、ある場所へとアナを運んでいくわけだが、そんなレクスの腕の中でアナは顔を真っ赤にして固まっていた。


 アナは異世界のゴーレムについて語ったり研究したりしているときはテンションが上がって大胆な行動をとりがちだが、そうでないときは基本的に男に対する免疫があまりない。

 ゆえに今のこの状況は、アナにとっては完全に頭がのぼせ上ってしまうような状況だったのである。


「あ…あうぅ……」

「アナの様子がおかしいが、そんなにやけどがひどかったのか?」

「まだ大丈夫なはずですから、早くこちらへ…ですわ」


 アナの様子がおかしいのは、やけどのせいではないということをシオンは知っている。



 こうしてシオンの案内によって、アナを抱えたレクスはある場所へとやって来た。

 その場所とは魔法学校の女子寮である。


「おい、ここって…」


 レクスは何かをシオンに尋ねようとしたが、シオンは一人で先に寮の中に入っていってしまい、もうこの場にはいない。

 そして再び寮の外へと出てきたシオンはレクスに告げた。


「寮長さんに話は通しておきましたので、入っていただいても大丈夫ですわよ。さ、アナさんを部屋まで運んでください」


 やたらと手際よく事を進めるシオンに流されるがままに、レクスはアナの部屋まで彼女を運んでいく。

 そしてアナの部屋の前までたどり着くと…


「ここがアナさんのお部屋ですわ。わたくしは色々と用意するものがありますので、あとはよろしくお願いいたしますね」


 シオンはそう言ってさっさとこの場から去っていった。


 そんなわけでアナを抱きかかえているレクスはアナの部屋へと入り、ひとまずアナをベッドの上に寝かせる。

 そして脚のやけどの状態を確認してみようとしたのだが…


「おい、これはどういうことだ?」


 アナの脚にはやけどの跡らしきものが一切見当たらなかった。


「やけどはどうした?アナ」

「あ…あの、それは…シオンさんが魔法薬ですぐに治してくれました」


 シオンは魔法薬について学ぶために魔法学校に通っているので、常にいくつかの魔法薬を常備している。


「これ俺が運ぶ必要なかったろ。あの女…」

「そんなことはありませんわ」

「っ!」


 シオンはレクスの背後から突然現れた。


「一応魔法薬で応急処置はしましたけど、すぐに無理に動かすのはよくありませんもの。というわけですので、これよろしくお願いいたしますわ」

「は?」


 シオンは自分の部屋から持ってきた薬や包帯などをレクスに差し出した。


「それでは手当のほうはお任せいたしますわ」

「いや、これ必要か? もうきれいに治ってるだろ」

「やけどを甘く見るのはよくありませんわ」

「う……」


 どう見てもこれ以上治療は必要なさそうなため思いっきり腑に落ちないが、医療行為に関しては専門外なうえ、決闘の巻き添えでやけどを負わせてしまったという負い目もあり、何も言えないレクス。


「ですので、あとのことはよろしくお願いいたします」

「わ…わかった」


 レクスは思った。この女、なんか苦手だ…と。

 だがレクスにとっては人類の大半が苦手な存在であるため、一応レクスと会話できているシオンは、その中ではまだましなほうと思われる。

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