放送
それから数分経つと他の人たちも目覚め、全員の状況をまとめていた。
柳雪・小鳥遊裕司
2025年7月の夜、春導学園に侵入
榊原智也・原崎健斗
2043年8月の夜、廃校となった春導学園に肝試しのために入った
冬坂夏海・冬坂龍二
2020年10月の朝、春導学園に早めに登校した際に気絶
多田野海斗・坂本桜
2036年8月の夜、廃校となった春導学園に肝試しのために入った
「共通点は全員、女の子の声を聞いているってとこだな」
「まさかここまで日時に違いが出るなんてね」
「でもこれからどうするんだ?自己紹介も終わったけど…」
「うーん…」
今わかっていることがあまりにも少なすぎる、かつ謎が多すぎる。ここはどこなのか。女の子は誰なのか。何が目的なのか。
俺たちが立ち往生しているといきなりスピーカーから音が鳴り始める。
[あーあー、マイクテストマイクテスト]
そこから聞こえてくるのは男性の声だった。スピーカーが古いのか雑音が混じっていて年齢までは正確にはわからない。
[目覚める頃と思っているんだけど…目覚めてるよね?]
その言葉で全員の目つきが変わる。セリフ的に俺たちをここに連れてきた犯人もしくは共犯だろう。だがあの女の子ではない。最低でも2人はいると考えるべきだな…
[今この学園には合計30名の男女が10人1組でいると思うんだけど、今から君たちにはこの学校の七不思議を解決してもらうね]
「は?」
七不思議を解決?意味がわからないがもっと意味がわからないのは30人の10人1組という点だ。俺たちは8人しかいない。
[それじゃ!あとは頑張ってね]
「おい!」
ブツっと放送はそこで終わってしまった。
「クソが!なんなんだよ!」
「いかれてるわね」
「なんでよぉ!私は海斗と一緒に肝試しに来てただけなのに!」
「…ひとまず落ち着こうよ!」
「落ち着いてられるかよ!おい、健斗!行くぞ!」
「どこにっすか?」
「そんなの決まってんだろ。放送室だよ。あの野郎は今、そこにいるはずだ」
「なるほどっす。そんじゃ行きますか」
2人は教室の扉を開けてどこかに歩き出して行った。
「お、おい!」
「もういい…あれぐらいアグレッシブな奴もいた方がいいだろう…俺たちも移動しないとな…」
「でも、どうするのよ!私はもう嫌!」
桜はその場にしゃがみ込み泣き始めた。海斗はそれを宥めるように背中をさする。
「ごめん。桜はもう限界そうなんだ。僕たちは役に立てそうにない…」
「…いや、大丈夫だ。落ち着いたら動いてくれ。まずは他の20人を探すところからだ。俺たちは他グループを探してくる。」
「わかったよ。あとで合流する」
そして俺たちは桜と海斗を置いて教室を後にした。
「なんかお姉ちゃんと雪さんは落ち着いてますよね」
「はは、雪を知らない奴からしたらそうなのか!雪はそうそう取り乱さないんだぜ!」
「そうなんですか…それでも凄いですね」
2人がそんな話をしている。だが俺も落ち着いているわけではない。少しでも静寂になれば弱音が出そうなくらいだ。それが起きていない理由はみんながいることと、夏海の影響が大きいだろう。この人が落ち着いているからこそ、俺も落ち着けている。
「止まって」
そこで先頭を歩いていた夏海が静止を促す。その瞬間俺たちも足を止める。静寂の中、複数の足音が聞こえてくる。足音的に4人だろうか。徐々にこちらに近づいてきている。暗闇のためまだ姿は見えていない。
「多分他のグループの人だよ!行こうよ!」
「待ちなさい!何か変よ」
「あぁ…」
足音的にはまだ少し遠いだろう。だがそれでもわかる。足音が早い。走っているのだろう。だが何故走る?そしてもう少しよく聞くともう一つ、ズリ…ズリ…っと何かを引きずる音も聞こえてくる。
「逃げる準備が必要そうね」
「え?え?え?」
「おい、雪。なんでだよ!」
「4人の足音とは別に何かを引きずる音。4人の足音的に入ってる。何かから逃げていると考えるのがいいだろうな。」
何もないならそれでいい。でも、もしこれが何かヤバい奴なら…




