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9-4

 妹二人と助っ人が1級ダンジョンに向かった翌日。


「「ただいまー」」

「お邪魔します」

「……え、もう?」


 元気そうに帰ってきた3人。助っ人はやっぱりユノさんか。


「もしかして失敗したか?」

「ううん、バッチリいっぱい魔石を稼いできたよ」

「なのにこんなに早かったのかよ?」

「わたしたちと相性が良かったのと、あとユノさんのおかげでドロップ運がすんごく良かったんだ。だから1泊2日で済んじゃったってわけ」


 確かユノさんは運299という凄まじい豪運の持ち主。

 本当にユノさんのおかげでアイテムが片っ端からドロップしたのならば、この世界では運は死にステじゃないんだな。

 ならば運特化の装備っていうのも面白くなりそうだ。


「それにしてもユノさんの活躍が目立っていましたね」

「うんうん! 絶対に4級の腕じゃないよ!」

「えへへ……」


 二人に絶賛されて照れてるユノさん。


「ハルトさんに装備を作って頂いたおかげで私、戦闘に積極的になれたんです。

 これならば本当に2級を目指せます!」

「え~2級で満足しちゃう~?」

「い、いやさすがに……」


 ユノさん自身は1級は厳しいと考えているようだが、ミカとリタは行けると踏んでいるようだ。


「ミカ、装備の性能は1級に対応できそうか?」

「相手や立ち回り次第で変わるけど、パーティーを組んでいれば問題ないと思うよ」

「何なら今後も私たちとダンジョン攻略をしてもいいかと」

「だよね」

「え~、そんなに褒めても何も出ないですよ~。えへへ」

「はっはっはっ。だったら今後も時間が合えばお付き合いしてください」

「はい。よろこんで」


 これは想定外の即戦力になってくれそうだ。


「それじゃあ素材の仕分けをするか。

 ユノさんも手伝ってくれますか? もちろん報酬はお支払いしますので」

「構いませんけど、えっと、どう仕分ければいいんでしょうか?」

「同じ種類同じ大きさで分けるだけで大丈夫ですよ」

「それだったら私にも出来そうですね」


 ということで4人で仕分け開始。

 素材は魔石に鉱石に魔物由来の諸々のほか、薬草や瓶に入った謎のヌメヌメなどもある。

 薬草などは門外漢なので、素材屋さんに売るか冒険者協会に売るか、今回だったらユノさんにあげてしまってもいいだろう。


「数はともかく種類が素晴らしく多いな」

「ユノさんの幸運が明らかに作用してたからね」

「さっきも言ってたけど、そんなに体感出来るほどだったのか?」

「そりゃーもう! ユノさんが参加してた戦闘ではほとんど毎回アイテムドロップしてたんだよ。しかもレア物いっぱい!」

「やだな~偶然ですよ~!」


 と言いつつまんざらでもないユノさん。

 大量にアイテムが欲しい時は頼んでみるか。


 仕分けの最初は魔石。

 さすがは1級ダンジョン産で、どれも色が濃くて形が綺麗だ。しかも光と闇の魔石が必要以上にある。


「これだけでもひと財産築けそうだな」

「加工するならばポーションに浸けておきますが」

「いや、鍛冶仕事は明日からにするから、今日はいいよ」

「分かりました」


 次に鉱石。

 これも色々な種類があり目移りしてしまう。


「えーっと、クリスタル各種に黒鉄白鉄、ミスリルもあるな」

「ファンタジー御用達だよね」

「ああ。……うおっ! ダマスカスだ!」

「ファンタジー御用達!」


 こういうファンタジー素材を見ると、改めてここが異世界なのだと実感する。


 そして角や骨、爪などの硬いもの。

 相変わらず肉のこびり付きもない綺麗な状態で、しかもちゃっかりワイバーンの素材まで混ざっている。


「骨がカラフルなのが未だに納得出来ないんだよなぁ」

「あはは、分かる。特にワイバーンは鱗と角と骨の色が一緒なんだよね」

「そうそう。村でレッドワイバーンの素材見た時、笑っちゃったもん」

「あ~そっか、リパリス山脈だったらレッドワイバーンも普通にいるよね」


 そのレッドワイバーンを、リタはヒルダ母さんと一緒に倒したことがある。

 本人はあまり役に立たなかったと言っていたが、ヒルダ母さんはすごく助かったと喜んでいた。

 そしてその晩の食卓にレッドワイバーンのステーキが出たのだが、正直に言ってあまり好みではなかった。脂が多くて胃もたれ一直線なのだ。


 次は皮や羽根など。


「なんだこの緑の皮。……皮か? これ」

「あーそれグリーンインフェルノっていう植物の表皮。ダメージ与えたら三段階に変形するんだ。わたしたちは変形する前に倒しちゃってたけど」

「こんな一枚の皮が取れる植物って、どんだけデカいんだ?」

「このグリーンインフェルノはお店よりも大きかったですね」

「マジか……」


 さすがは1級ダンジョン。さすがはファンタジーの魔物たち。

 しかしこの表皮、軽いのにめちゃめちゃ頑丈だ。例えば火属性の鱗で耐熱処理をすれば盾に最高かも。

 いや、あるいはマントでもいいな。緑のマント、肩には金の装飾。うん、ファンタジーっぽい!


「こういう時の兄様は本当に楽しそうなんですよね」

「そうそう。昔から新しい物を手に入れるといい顔するんだよねー」

「私の弟たちもそうですよ。ほんと、可愛いんですよね」

「「あげませんよ」」

「え、何がですか?」


 そんな3人の会話をラジオにしつつ、頭の中ではどんな装備に変身させてやろうかと想像が止まらない。




 夕方までかかり、どうにか仕分け終了。


「ふぅ~、お疲れさん」

「量はそこそこだけど、濃い内容だったね~」

「レア物いっぱいお腹いっぱいですね」

「じゃあ晩飯抜くか?」

「それとこれとは別です!」


 相変わらずの食いしん坊だな。

 しかし3割くらいはレア物だったから、お腹いっぱいになる気持ちも分かる。


「こっちに分けてある素材はユノさんの取り分ね」

「えっ、いいんですか?」

「当然ですよ。1級ダンジョンに付き合ってもらったわけだし、レア物がこれだけ出たのもユノさんのおかげでしょうから。

 それと魔石の買取についてはシンシアナ地区のジェムラビリンスっていうお店がおススメです。俺の名前を出せば良くしてもらえますよ」

「ジェムラビリンスですね。分かりました。……って光と闇の魔石が混入しているんですけど!」

「量は十分ありましたから、お気になさらず」


 あのジェムートの魔石よりは劣るが、それでも100万ミレスは固いはず。

 他の素材も合わせれば200~300万ミレスにはなるだろう。


「ついでだから晩御飯も食べて行ってください」

「えっ、そこまでしていただくのは……」

「いいからいいから。それに積極的になったんでしょ」

「それとこれとは(グゥ~)はうっ……」


 ミカに促されたと思ったら腹の虫が鳴いたユノさん。


「ダンジョン生活用に買い込んでおいた食材が余っているので、食べてもらえる方がこちらとしても助かるんです」

「そ、それならば、ご相伴にあずからせてもらおうかな」

「いよーし腕によりをかけて作るぞー!」


 アイテムに牛系の肉が結構あるから……すき焼きなんて良さそうだな。

 さすがに衛生面から生卵は使えないけど。

 ちなみに我が家は牛肉(または豚肉)・白菜・しらたき・えのき・焼き豆腐に最初からうどんを放り込む。

 さすがにファンタジー世界で全てを揃えるのは不可能(特にしらたきと焼き豆腐)なので、この世界で食べられている似たような別の具材で応用してる。


「よーし出来たぞー。よく分からん肉で作ったすき焼きだ」

「おー! めっちゃ再現度高い!」

「だろー? ほれ、食え食え!」

「「「いただきまーす!」」」


 この世界には箸がないので、箸のように細長いトングを使う。結構食べやすいよ。

 ちなみに鍋はステンレス製で、錬金鍛冶で作った。

 ステンレスなんて作れるのかと疑問だったんだが、製法を知っていたので作れてしまったのだ。

 そしてこの”製法を知ってると錬金で作れる”を応用して作ってみたのが、すき焼きの味付けに使っている醤油。

 この醤油だが、正直に言えばそれっぽい別物でしかない。味に深みが無いのだ。

 しかしこういった調味料としてならば問題なく使える。


「ん~! んんー、んんんーんー!」

「食ってから言え。言わんでも分かるけど。

 ユノさんはどうですか? お口に合いますか?」

「はい! とっても美味しいです!

 ……これもっと一杯を一気に作れますかね?」

「あ~……煮込み加減に気を付ければ行けるんじゃないかな」

「だったら家で作って下の子たちにも食べさせられますね」

「13人兄妹なんでしたっけ。だったらあとでレシピ差し上げますよ」

「ありがとうございます!」


 大人数で食べるならば鍋料理は間違いない。

 そうだ、どうせだから同型のステンレス鍋もいくつか差し上げよう。

 そんなことを考えながら、すき焼きを楽しむ俺たちだった。


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