表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天神教授の推理ゲーム  作者: 恒河沙
天神教授のコーヒーブレイク
43/44

缶コーヒーの考察

「さて、まず缶コーヒーの要素分析についてだ」

「要素分析?」

「缶コーヒーには他と違う特徴があるか? 


 これを限りなく客観的に考えてみる。例えば、熱。


 缶コーヒーは他の飲料と違って、温められている場合が多い。だから、冬の外では缶コーヒーが売れるわけだね。


 しかし、この特徴は今回は使うことができないだろう。なぜなら、この研究室にはポットがあるからだ。まあ、インスタントコーヒーがあるのだから、熱湯を起こす道具があることは当たり前なのだがね。


 ポットがあるということは、熱を起こすことがこの部屋で出来るということだ。カップに熱湯を注げば、熱を確保することができる。だから、缶コーヒーとポットの熱湯は交換が効くので、この熱の特徴は却下だ。


 実際、この研究室の暖房は別に壊れていなさそうだから、熱の可能性は低いだろうね。


 このように、缶コーヒーにしかない特徴を挙げてみる。


 他にあるとすれば、コーヒーだけにしかない特徴もある。例えば、コーヒー特有の匂いや色。これは衣服に零せば、匂いと色が付いてしまう。誰かの服を汚してしまいたかったなんて犯行なら、適切な特徴だ。


 しかし、この特徴は言わずもがな、インスタントコーヒーと替えが効くので、これも違う。そもそも、缶コーヒーは1本も開けられていないからね。


 それでは、前置きはそろそろやめにして、結論を話すとしよう。


 答えは、缶だ」

「缶?」

「ああ、缶だ。


 コーヒーも熱も替えが効くなら、私の考え得る限りで残る特徴は、缶であるということだ。


 実は、私は昨日、天田教授と会ったのだが、その時も不思議に思っていた。なぜ、缶のコーヒーだけを買ったのか?


 天田教授は眠気覚ましのために、カフェインを体に入れたいからだと話していた。だが、それなら、ペットボトルのコーヒーでもいいだろう。


 ペットボトルのコーヒーの方が大容量のカフェインが入っているからね。缶コーヒーを何本も買うくらいなら、ペットボトルのコーヒーを買った方がいい。


 しかし、天田教授は缶コーヒーを8本も買った。


 これがもし、学生への贈り物ならば、少量の缶コーヒーでもいい。だが、見た所、そんな訳でもなかったようだから、別の意図があったということになる。


 おそらく、その意図は天田教授はコーヒーを手に入れることではなく、缶を手にれることにあったんです」

「缶を手に入れるって、何に使うんですか?」

「それは、缶を8本買ったことから分かるだろう?」


 天神と名乗る男はそう言った後、研究室を徘徊し始めた。そして、期末レポートが積まれた箱の前で立ち止まる。


「この部屋の不思議な所は、研究室にしては珍しく、本が全くない所だ。おそらく現代の言葉で言うと、ペーパーレスということなのだろうけど、少しこの研究室は異常だね。本を1冊も置かないというのは、研究室にとっては無学を晒しているようなものだ。


 研究室は博識であるために、他分野の侵攻からの防衛のために、自身の自信のために、見栄のために、紙の本を研究室に置いておくものだ。


 実際、私の研究室にも多数の紙の本が本棚の中に並べられている。しかし、この部屋はその本を全く取っ払ってしまった。


 ここには何かの意図があるのではないか?」

「意図?」

「その意図は、この椅子にもつながるだろう。


 なぜ、この椅子は机とつながって、自由に動かすことができなくなっているのか?


 そして、この期末レポート。


 なぜ、ホチキス止めが成されているのにも関わらず、パンチ止めが左右の両方に成されているのか?


 これでは、穴に紐ととおして、まとめると紙をめくることができなくなる。


 しかし、それが今回の場合、利点となって来るんだがね」


 天神はそう言って、近くの棚を物色した。そして、その棚の中から紐を2本取り出した。そして、その紐を期末レポートの穴に通していく。右の穴に1本の紐を通して結び、反対側も同様に通して結んだ。


「さて、これで準備は整った。


 では、結論から言うことにしよう。


 君達の探しているUSBは……」


 天神は上部を指差した。


「あの電灯のカバーの中に隠されているよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ