【22】第8話:魔法学園、入学(2)
数日後。
入学式を5日後に控えたその日、新入生の魔力測定が行われた。
魔力測定では、魔力量や適正などがわかる。
それによって、受ける授業も変わってくるらしい。
俺はいつものメンバーと一緒に朝食を終えた後、指定された教室で待機した。
「魔力測定、何だか緊張しちゃうなぁ。魔法の才能が全然なかったら、どうしよう。」
「大丈夫よ、ライラちゃん。あのユシャ様とロイン様の娘なんだから、絶対に才能あるって!」
「そーそー。俺の妹なんだから、才能あるに決まってんだろ。ま、俺には劣るだろうけど。」
「タクトくん、凄い自信だなぁ。僕もライラさんと同じで、ドキドキするよ。そういえばフレイくんは、セージャ様の甥っ子なんだっけ?だったらフレイくんも魔法の才能があるのかな?」
「どうなんでしょう。あるんじゃないですか?多分。」
そもそもこの世界の魔法に、才能なんか必要か?
「あっ!」
カタリーナは何かに気づいたと同時に、手を小振りにして、教室に入ってきた人物に熱い視線を送った。
入ってきたのはレオン....ではなかった。
瞳の色が青いから、あれはレックス殿下だ。
「やぁ、カタリーナ。会えて嬉しいよ。」
レックス殿下はレオンと違って、カタリーナに優しい笑顔で話しかける。
タクト達は、そんなレックス殿下の態度に戸惑っていた。
「みんなに紹介するね。こちらはこの国の第二王子・レックス殿下よ。」
「えぇ!!」
「殿下?!」
「どう見ても、レオンだろ!?」
まぁ、そう思うのも無理はない。
俺もこの前レオンを見た時、殿下だと思ったからな。
「殿下、こちらの二人は伝説の勇者の子どもで、タクト・ブレイブくんとライラ・ブレイブちゃんです。そして彼が、ドーワ侯国の君主の子息で、ホリー・コトナカーレくんです。」
「タクトくん、ライラさん、ホリーくん、よろしくね。」
殿下は爽やかな笑顔で挨拶すると、驚いて膠着していた3人は我に返って、挨拶した。
「それにしてもレックスって、レオンにそっくりだよな。実はアイツも王子様なのか?」
「いや、彼はコーキナル公爵の息子だよ。コーキナル公爵は父方の伯父さんだから、彼とは従兄弟同士なんだ。」
「従兄弟同士でも、ここまで似るものなんですね。私とお兄ちゃんより、よっぽど双子っぽい。」
「ハハ。よく言われるよ。双子みたいって。」
「中身は全然、違いますけどね。」
「そういえば、レックス殿下はスマドをお持ちですか?もしよろしければ、連絡先を交換したいです!」
「スマドって?」
「コレのことです。」
俺は自分のスマドを取り出して、殿下に見せた。
「コレがあれば、遠くに離れている相手とも連絡できるんです。」
「へぇ。便利な道具だね。」
「レックス殿下、もしお持ちでなければスマドをお譲りしましょうか?僕、布教用にスマホをたくさん持ってきていますので、いくらでもお譲りできますよ。」
「本当かい?ありがとう、嬉しいよ。」
「ただ、もうすぐ魔力測定なので、魔力測定が終わったらスマドを取りに行きますね。」
「ああ。わかったよ。」
「ところでさ。フレイのスマド、バッテリーの残量もう無いけど大丈夫か?」
「あ、本当ですね!」
今朝、ゲームした後に充魔するのを忘れていた。
しかし!
こんな事もあろうかと、俺は充魔用の魔法石を常に持ち歩くようになった。
俺は懐から魔法石を取り出そうとしたが、手が滑って、床に落としてしまった。
「あっ!」
落とした魔法石は、ちょうど後ろから来た奴の足に当たって。
「はい、コレ。」
そいつは、足に当たった魔法石を拾って、俺に渡した。
「「あぁ!!」」
そいつの姿を見た一同は、驚きで大きな声を上げた。
魔法石を拾ったそいつは、厄災の魔王にそっくりな、隣の部屋の住人だった。
「お前っ!クドージンか!?」
「えっ?」
タクトの唐突な質問に、隣の部屋の住人は目が点になる。
「すみません。僕達の知り合いに、貴方と似ている人がいたので、思わず声をかけました。」
「僕と、似ている人物...?」
すると隣の部屋の住人は、食い気味に質問してきた。
「君たち、僕と似ている人物に会ったことがあるの?!彼が今、どこにいるか知っているのか?」
「えっと....その前に、あなた、だれ?」
「あぁ、そうだった、ごめん。僕はゼル・ポーレイ。クドージンっていう名前じゃないし、そんな名前の人は聞いたことが無いよ。」
ゼルが自己紹介をすると、俺達もその流れで、ひと通り自己紹介をした。
ポーレイという名の貴族は聞いたことがないから、平民か外国から来た生徒か?
「話を戻すけど、君たちが言っていた『クドージン』って人は、僕にそっくりなの?」
「うん、まるで双子みたいに、そっくりだよ。」
「まぁ、アイツは獣人か魔物か分からないような見た目だけどな。」
「それに彼って、他の姿にも変身できるもんね。」
「? つまり、どういうこと?」
ゼルは、その情報量に頭が追いついていないようだった。
ホリーはそんなゼルに、クドージンについての情報をサラッと教えた。
「厄災の魔王が『クドージン』.....そうか、あの人はそんな名前だったんだ。」
「『あの人』って、もしかしてゼルくんも彼を知っているの?!」
「あぁ、一応ね。」
は?どういう事だ?
俺はコイツを一切知らない。
もしかして、厄災の魔王の親戚か何かか?
「ところで、君達は何で厄災の魔王のことを知っているの?」
「知っているって言っても、いつも突然現れてさっさと帰っちゃうから、そこまで詳しくないけどね。」
「そーそー。アイツがどこの誰かすら、未だに知らないからなぁ〜。」
「でも、いつも私達が危ない目に遭った時に、助けにきてくれるの。」
「そうなんだ。あの人は、優しい人なんだね。」
そんな話を遮るかのように、教員が教室に入ってきた。
もう魔力測定の時間か。
俺たちは適当な席に座って、教員の説明を聞いた。




