表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生魔王の正体は?ー厄災の魔王は転生後、正体を隠して勇者の子どもや自称悪役令嬢を助けるようですー  作者: サトウミ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/145

【17】第7話:アリーシャ嬢の誕生日パーティ(1)

「はぁ...また今年も落ちた...。」


破滅フラグ回避のために毎年受けている、王立ディシュメイン魔法学園の卒業試験。

その結果が返ってきたのは、つい昨日のことだった。


毎年この試験を受けているのは、学歴が欲しいからじゃない。

王立ディシュメイン魔法学園に行きたくないからだ。


私の予想ではほぼ100%、乙女ゲームの舞台になる学校のハズだ。

そして順当に入学したら、乙女ゲームのヒロインと対峙することになる。

だから卒業して学校に行かなくても良くなれば、ヒロインと会うこともなく、高い確率で破滅フラグが回避できるハズ。


「一番確実な破滅フラグ回避方法なんだけどなぁ~」


卒業試験の内容は、控えめに言って、狂っている。

なんせ、順当に入学して卒業した生徒ですら、解くのが難しい問題ばかりらしい。

...卒業生が解けないような問題、出さないでよと運営に問い詰めたい。


まぁ、でも、卒業試験があるだけマシよね。

『程度の低い学校にわざわざ通うのが面倒だから、行かなくても良い制度を作れ』とごねた(いにしえ)の天才王族さんには、感謝しないと。

でなきゃ未だに、破滅フラグの回避策がないまま行き詰まっていたもの。


....でも悠長に「試験落ちた」なんて、言っている場合じゃなくなってきたのも事実。

15歳になったら、基本的にこの国の貴族は王立ディシュメイン魔法学園に入学する。


私は今年で12歳。

今年落ちたということは、残るチャンスはあと2回。

たったの、あと、2回。

.......受かる気がしないわ。


「はぁ。せめて宮藤くんが乙女ゲームを知っていたらなぁ。」


唯一、会ったことのある元・日本人。

彼、どうみてもチンピラ系の人だから、乙女ゲームを知っているかなんて期待はしていなかった。

それでも、ちょっとは何か知ってて欲しかったなぁ...。


そもそも彼って、いつからこの世界にいるの?

この世界を滅ぼしかけたという『厄災の魔王』が、彼なのよね?

ということは彼は、乙女ゲームの魔王キャラに転生したってことなのかしら?

厄災の魔王がいたのは私が生まれる前だから、少なくとも12年以上前から、この世界にいるってことになる。


もし乙女ゲームのヒロインが私と同い年だったとしたら、攻略対象だとは考えにくい。年が離れ過ぎている。


だったら厄災の魔王は、原作ではどんな立ち回りのキャラだったのかしら?


世界の大半が滅びるシナリオは、乙女ゲームの強制力による避けられない運命だったのか、それとも宮藤くん自らの意思でシナリオ通りの行動をとったのか。

あるいは、原作には厄災に魔王なんて存在しなくて、彼は元々物語に登場しないモブだった可能性もある。


「あぁ〜〜!もう、わかんないっ!」


不確定要素が多すぎて、推測しようにも推測できない。


「カタリーナ様、どうかなされました?」


そう声をかけてくれたのは、アリーシャ様だった。

この世界に『世界で最も美しい顔ランキング』なんてものがあれば、間違いなく1位になっていたであろう美少女。

おまけにスラリと背の高く、モデル顔負けのプロポーションの持ち主で、この世の美を集約させたかのような存在だ。


今日はそんな彼女の誕生日で、彼女の家であるフォージー家で誕生日パーティに呼ばれていたのだった。


「実は昨日、王立ディシュメイン魔法学園の卒業試験に、また落ちまして...。」

「それは、残念でしたね。」

「試験内容がアレですから、まぁ、仕方ないですよね。毎年あれだけ試験を受ける人がいるのに、合格する人がいる年の方が珍しいくらいですから。」


今年は珍しく合格した人がいたらしいが、それでも一人だけだ。

.....正直、卒業試験って必要ある?


「すみません、せっかくの誕生日なのに残念な話をしてしまって。」

「いえいえ、お気になさらずに。カタリーナ様は、勉強熱心で素晴らしいです。」

「勉強熱心、という程でもないのですよね....。ただ単に学校へ行きたくないから受けているだけ、と言いますか.....」

「学校に行きたくないのですか?」


「『行きたくない』と言うと誤解がありそうですが、別に学校が嫌と言うわけではないのです。むしろ、魔法の学校なんて漫画みたいで面白そうだと思います。」

「マンガ?それは、もしかして最近ドーワ侯国で話題になっている、絵本のような書物のことでしょうか?」

「はい。恐らくはその書物です。」

ドーワ侯国って、そんな物まであるの?

コーラもドーワ侯国にあったし、絶対ドーワ侯国に転生者がいるでしょ。



「カタリーナ様は、学校が嫌いではないのですよね?では、なぜ学校へ行きたくないのでしょうか?」

「それは....」

「学校へ行くと『破滅』しちゃうから、ですよね?」


そう言って現れたのは、フレイ君だった。

彼は唯一、私が転生者であることを知っている人物だ。

そして仮の婚約者であり、推定・攻略対象の一人でもある。

心なしか、上機嫌のように見えるけど、気のせいかしら?


「破滅、ですか?」

「はい。『学校に通うと、ふしだらな女生徒に因縁をつけられて、国外追放させられる』とカタリーナさんは考えているようです。」

乙女ゲームのヒロインを『ふしだら』って!

まぁ、乙女ゲームが理解できないと、そういう認識になっちゃうのかしら?


「間違いではないけど......フレイ君、もうちょっとマシな言い方はないの?」

「では、どう言うのが正しいのでしょうか?」

「そう聞かれると、難しいわね.....」


「すみません、お二人の話が今ひとつ、理解できないのですが」

「それは仕方ないですよ、アリーシャさん。なんせ、これは僕達だけの、秘密のお話ですから。ね?カタリーナさん。」

「えぇ、まぁそうね。」

今日のフレイ君はやけに機嫌が良さそうで、逆に不気味に感じる。


「そういえば、あれから破滅フラグを回避する方法について、何か思いつきましたか?」

「いいえ、全く。今年もまた卒業試験に落ちたし....」

「そうですか。でしたら、いっそのこと宮藤迅さんに、もう一度確認してみるのはどうですか?」

しれっと難しいことを提案してくるわね。


「『宮藤くんに会う』って.....。彼、この世界のことを知らないんだから、聞いたところで無駄でしょ。」

「もしかしたら、前の時は質問の意図がわからなくて、条件反射で『知らない』と言っただけかもしれませんよ?」

「仮にそうだとしても、彼がどこにいるかわからないと、聞きたくても聞けないわ。」


第一、彼とは殿下の誕生日パーティ以来、会っていない。

毎回、ピンチの時に偶然彼が現れるだけで、意図的に彼と会えた試しがない。

....もしかして、私がわざと死にかけたら、彼は助けに現れるのかしら?


いえ、それはないわね。

彼の性格的に、何か理由でもない限りは助けてくれなさそう。


ん?

でも、もし仮にそうだったら、今まで私を助けてくれたのは、何か理由があってのことなの?

彼に、私を助ける理由があるようには見えない。


ということは、ああ見えて実は、困った人を放って置けない、良い人なのかも?

前に亜人の人達に襲われた時、何だかんだで彼らのことも助けていたし。


....じゃあ、私がピンチになったフリをすれば、ワンチャン現れるかも?


「宮藤迅さんって、毎回カタリーナさんが危ない目に遭っている時に現れますよね?もしかしたら、わざと危ない目に遭うフリをすれば、誘き出せるのではないのでしょうか?」

「フレイ君も、そう思う?」

フレイ君も同じことを考えていたようだ。


「カタリーナ様、どのような理由であれ、わざと危ない目に遭うのは感心しませんわ。万が一にでもカタリーナ様の身に何かあったら、私、悲しいです。」

物騒なことを話していたからか、アリーシャ様に反対されてしまった。


「アリーシャ様、ご心配ありがとうございます。」

「どうせ死んでも、宮藤迅さんがきっと生き返らせてくれるから、大丈夫ですよ。多分。」

一方のフレイ君は、私の身を案ずる気配は一ミリもない。


つくづく思うけど、彼ってドライよね。

彼のご両親のロバート様とアネッサ様は、あんなに慈愛に満ちた人達なのに。

遺伝子の抵抗かしら?


「むしろ、本当に死んでしまうくらいが、丁度いいのかもしれませんね。」

「それ、本気で言ってる?」

ここまでくると、ドライを通り越して、非情だ。

まぁ、冗談だとは思うけど。


「おや、何やら物騒な単語が聞こえてきましたね。フレイ卿?」


そこに現れたのは、フォージー侯爵だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ