表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の薄幸少女にチート霊が憑依しました  作者: バッド
3章 旅する巫女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/76

73話 植物ダンジョンです

 賢者の石を稼働させてみると、予想外にダンジョンとしての機能を取り戻してしまう植物研究所です。


「ガーン! 私としたことがこんなことになるなんて、全然予想できませんでした。面白いことが起きそうでしょうか?」


 ワクワクしちゃうレイちゃんです。皇女らしくお淑やかに目をキラキラさせます。


「ふざけてる場合か。ここには小さな子供もいるんだぞ、こんな装備で大丈夫か?」


 お友だちを心配してくれるおったんです。たしかに幼女の四人には厳しいでしょうか?


「ブルルルー、あたちはお兄ちゃんに会いに行く女の子役でしゅ」


「彼女に振られて一週間引きこもった警官でりゅ」


「えっと、エフビーアイの幼女でつ」


「んと、んと、皇女しゃま、あたちはなんでちたっけ?」


「死神役ですよ、ここは戦場と呟いて下さい」


「ここはせんじょー、たよれるのはお菓子のみ」


 お友だちが張り切って、身構えます。その凛々しき姿に思わず拍手しちゃいます。演技をすることにより、その役と同じ力を手に入れた気分となり、パワーアップした気持ちになる奥義なんです。


「幼女にろくでもないことを仕込むな。それに警官の設定が古い。はぁ~、仕方ない。私とイザナミが前衛をつとめよう」


 おったんが疲れたため息を吐いて、イザナミちゃんをご指名すると、早くも採取したお菓子を食べているイザナミちゃんが酷く驚いた顔でおったんへと反論します。


「ええっ! 妾も前衛? 敵に襲われたら死ぬ可能性があるです。もうこの体の神気は空に近いのですよ」


「嘘をつけ、そこまで少ない神気のはずがあるまい」


「霊帝の手鏡をコピーしたら、なくなったのです」


 ケロリとした顔で、犯罪を自白するイザナミちゃんです。


 あぁ、やはりマイルームの手鏡は落としたわけではなく、コピーしていたんですか。落とすなんておかしいなぁと不思議だったんです。私の手鏡をコピーするなんて、どれだけ神気を消耗したのかわかりません。


「……なんでこんなにポンコツばかりなんだ。わかった、私が前衛だ」


 テヘと小さな舌を出すイザナミちゃんに諦めの顔となり、おったんは前を歩きます。


『第三命術:気』


『オーラピコピコハンマー』


「じゃーん、ピコピコ〜」


 お友だちが気で形成されたピコピコハンマーを作り出すと聖剣のように掲げます。ぶんぶん振って、ワクワクしながら後ろについていこうとする。ピコピコと音を鳴らしてご機嫌そうですけど危ないから駄目。


「はいはい、皆は私の後ろだよ〜。お菓子もあげるから大人しくしててね」


「はぁい、おとなしくしゅる〜。なんのお菓子をたべようかな〜」


 ヒナギクさんの言葉に素直に頷き、早くも四人はリュックサックを開いてお菓子タイム。私も混ざるので6人です。もちろんイザナミちゃんもまざります。


 そんなほのぼのな私たちとは別に、おったんは凛々しい顔つきで部屋のドアに手を掛けると、そっと開く。ワクワクの瞬間です。いえ、ドキドキでしょうか。


「キシャァ〜」


 ドアの向こうにはドスドスと歩く植物がいました。蔓が絡まって人型となり、ゾンビのように彷徨いてます。その後ろには割れたカプセル群。


 こちらに気づくと身体を向けてきて、蕾となっている頭を向けてきて、ゆっくりと開くと、蕾の中には血の涙を流すシワシワに肌が枯れた人の顔………!


「ぎょわーでつ! パパしゃん助けてー!」


「うわーんでりゅ! ママしゃん殴り倒ちてー!」


 お友だちが悲鳴をあげて、ワタワタと私の後ろに隠れるとぷるぷる震えて裾を掴む。ホラー的なモンスターはこれが初めてなので怖いようです。まぁ、幼女には厳しい敵なので、落ち着くように頭を優しく撫でてあげます。


「にぃー! 皇女様お下がりを!」


「あわわ、帝都でもあんな敵は見たことがありません!」


「火炎放射器はどこなのです? ストーリーフラグを破壊したので、手に入れてないのです!」


 ヒナギクさんやガーベラも、その不気味な姿に混乱しアワアワと慌てて、イザナミちゃんはチートコードを使うと弊害があるのですと落ち込んでます。


 そうして混乱の中で、植物がドスドスと歩いてくると、少し手前で蔓を持ち上げる。


「ちっ、サタンブレード!」


『第三悪魔術:サタンブレード』


「皆さんには近づけさせませんよ」


『第三命術:雑草薙の剣』

  

 おったんはいつもの剣を創造し、私は敵へ特効の剣を創り出します。万能なる霊帝は常に敵の弱点をつける武器を生み出せるのですよ。


「キシャァ〜」


 でででーんと、脳内で植物モンスターと相対する時の音楽を流しながら、私は剣を片手に走り出す。


 ヒュンと風切音が聞こえると、腰をかがめて倒れそうなくらいに前傾姿勢へと変える。頭上を撓る鞭のような蔓が通り過ぎていくが、気にせずに間合いを詰めての横薙ぎ。


 白刃が煌めき、わずかな抵抗をものともせずに切り裂くと、後ろからおったんがサタンブレードを振り下ろし唐竹割り。4つに分断されて床に落ちるモンスターへお友だちが駆け寄って、ピコピコハンマーでピコピコ叩いて枯らして戦闘終了。


「次行きます!」

  

 敵はもちろん一匹ではなく、次なるモンスターが壊れたカプセルの横から現れる。先頭の仲間が倒されたことに気づいているのか、植物野蔓の集合体という利点を利用して、身体の各所から蔓を生み出すと鞭のように振るってくる。


 回避できないように、包み込むように蔓を振る敵です。撓る蔦は刃のように細くなり、その切れ味は人間をエッグカッターで輪切りにされるように、サクサクと切られちゃうでしょう。


「ですが、その動きは単調で、単純」


 スイッと円を描くように刃を合わせて、全ての蔓を断ち切る。モンスターが再度の攻撃を仕掛けようと蔓を伸ばしますが遅い。


 返す刀で切り返し、袈裟斬りにて断ち切ると、そのまま首を切り落とす。すぐさまお友だちがピコピコハンマーアタックをして戦闘終了。ピコピコハンマーは便利ですね、次からは私もピコピコハンマーを創造……は、おったんがシリアスを殺しそうな目つきで睨むのでやめておきましょう。


「ぬぬぬ、待つのです、霊帝。重要なことに気づいたのですよ」


 三匹目を片付けようとする私を深刻な表情で呼び止めるイザナミちゃん。なにかなと皆が注視するとドヤ顔で叫ぶ。


「敵のネーミングなのです。あいつらの名前は、イルビーに決めたのです! 邪悪な植物という意味なのです! それ以外の意味はないのです!」


 名付けをしてくれました。どこかで聞いたことがあるような名前ですが、まぁ良しとしましょう。


 植物モンスター改めて、イルビーが蕾の中に生やす人面がパカリと口を大きく開けます。その口内には黄色の粉のような胞子が埋め尽くしている。


『パラサイトブレス』


 黄色の粒子が吹き出して、私たちを襲います、ヤバイ技です。喰らったら最後、身体からキノコが生えそう。


「ピカーン、ピコピコハンマー!」


『第四命術:特性解放』


 ミハルちゃんがピコピコハンマーの特性を解放します。ハンマーが白く輝くと、エイヤと粒子を叩く。黄色の粒子は光りが侵食するように一瞬でかき消えました。


「えっへん、あたちのピコピコハンマーはいかなるじょーたいいじょーも治せる特性を持つのでつ。一緒に武器を考えてくれたママしゃんのアイデアでつ!」


 得意顔で嬉しそうにふんふんと鼻を鳴らして可愛らしいです。きっと両親と武器について話し合ったのでしょう。もう第四命術が使えるなんて将来有望です。


「むむむ、皇女様、私も命術を覚えますから、修行の方法をお教え下さい!」


「私も帝都出身として、幼女に負けるわけにはいきません。おったん様、手取り腰取り教えてくださいませ」


 ヒナギクズとガーベラズが負けませんよと、熱意のこもった目をしてくるので、もちろんオーケーですとニコリと微笑み返します。強化服のない一般人が対抗するには、命術が必要ですからね。


 残りのイルビーとの戦闘はブレスを防げるお友だちがいれば楽勝でした。頭からまるかじりされる前に、剣でスパスパと切り倒していきます。


「割れていないカプセルも割るからな? 通り過ぎると割れそうだし」


「ですね。では、完全に駆逐しておきましょう。後ろから襲われるのは困りますし」


 割れていないカプセルを柄で叩いておったんが割ると、そのまま中の敵を切り倒します。これで私たちは後顧の憂いなく前進というか、戻ることができるのですが………。少し気になることがあるんですけど?


「このダンジョン、お金になると思います?」


 それはこのダンジョンが金になるか、ならないかというところです。


「む………たしかに。寄生型モンスターがいるダンジョンはそれだけでも厄介だし、機械系統がいないからバッテリーもないし、購買があるのを期待するくらいか?」


 おったんも顔を曇らせて、考え込むが、同じ意見を口にします。


「それだと、探索者は入りたがらないですよね? ハイリスク・ローリターンですし」


「そうだなぁ、閉じた方が良いかもしれん。このダンジョンは封印した方が良い。なぜ過去の領主がこのダンジョンを封印したか、その理由がわかるな」


「下手したら、キノコ菌がばらまかれて、ラスト・オブ・檜野になりそうですしね」


 骨折り損のくたびれ儲けというやつ。残念ですが諦めた方が良いでしょう。


「なんのことです? 妾にも教えるのです」


 話がわからないイザナミちゃんに、かくかくしかじか。と、ふんふんと話を聞いていたイザナミちゃんが解決策を口にする。


「それなら、このダンジョンにつながる神隠しの通路を捻じ曲げて、ラショウの街とやらに接続すればよいのです。そしてラショウの街のダンジョンを探索させればよいのですよ」


「おぉ………それは凄いアイデアですよ、イザナミちゃん! ラショウの街はそれほど栄えずに、檜野スカイシティに住む人が多くなるでしょうし! ナイスアイデアです」


 檜野スカイシティからラショウに来れるなら、皆はラショウの街に住むことなく、栄えている檜野スカイシティに住むでしょう。これ以上ラショウの街に大きくなってほしくない私としては一石二鳥です。


 感激してイザナミちゃんを褒め称えます。ブラボーです。


「ふふふふ、わーはっはなのです。もっと褒めてもよいのですよ。お賽銭は弾むようにです」


 ドヤ顔でイザナミちゃんが笑いますが、それだけのことはあります。ありがとうございます、イザナミちゃん。賢者の石の設定を変えることなど、私にはチョチョイのチョイですので。


「では、方針も固まったことですし、次の部屋に行きましょう」


「次は植物園ですが、皇女様、枯れ木のような手足を持つモンスターが歩いています!」


 ドアを細目に開けて、ヒナギクさんが覗いた光景を報告しています。キノコよりもマシな敵のようですし、サクサクと攻略していきますか!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 雑草薙の剣の元ネタは知りませんが、日本武尊が助走つけてぶん殴りに来そうな名前w
[一言]  雑草薙と四季のドライ達。  この作品に出てくる世界群は、間違いなくコンハザの連中も遊びに来てますねぇ。
[一言] 雑草薙なつかしいな。他の作品よりコンハザ風味つよめかな。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ