05:お城の兵隊をぶっ飛ばすのにゃ!とキャシー姫様が本気を出したようです
「姫様!」
次の目的地へ向かっていた僕らを呼び止める声。
振り返るとそこには、甲冑をガチガチに纏った騎士たちがたくさんいたのです。
彼らはカッツェ獣人王国の護衛騎士。
つまり僕の同僚のようなものです。普通は城の護衛をしているはずですが……恐らく王命によりキャシー姫様を連れ戻しに来たのです。
「キャサリン姫様! 止まってください!」
「そこにいるのは護衛魔法使い……! キャサリン殿下を誘拐する気か!」
もちろん僕にそんな気はないです。冒険デートが終われば帰るつもりです。
ですが、今帰るわけにはいかないので、なんとかしないとです。
と、思っていたら。
「ヤダヤダ! キャシーは冒険するの!」
小さな猫耳美少女――キャシー姫様が怒り出してしまったんです。
この方が爆発し出すと、もう止まらなくて。
「えやぁっ」
図体のでかい騎士団長を、長い尻尾を振り翳して突き飛ばしてしまったのです。
もちろん彼女の暴れっぷりを知っている騎士団はなんとか取り押さえようと奮戦しますが、そうはさせないです。
僕が適当な風魔法を起こして彼らを吹き飛ばすと、騎士団はあっという間に四散。
そこへキャシー姫様が飛びかかり、ギタギタにしたのです。
「ふふ〜ん。可愛いキャシーは強いのにゃ!」
短丈のブラウンのドレスがヒラヒラ揺れ、風に靡く姿。キュートさで僕死ねそうです。
……僕の主人、キャサリン・カッツェ様は王国有数の武闘家です。本気を出せば、僕など要らないくらいに強くいらっしゃるのです。
「こうしてキャシーたちは敵を撃退して、旅を続けるのでした〜」
キャシー姫様はご機嫌。
もちろん、後で国王陛下に怒られるであろうことなど微塵も考えていらっしゃらないようです。




