02:僕とキャシー姫様の関係
僕はハービー、護衛魔法使いです。
護衛魔法使いというのは、王族をお守りする騎士のようなものです。ただし武器は剣ではなく、己の魔法です。
僕が得意なのは、風魔法。
風魔法は色々便利です。例えば、キャシー姫様とこっそり窓から抜け出したりとか……ですね。
どうして僕がキャシー姫様の護衛魔法使いに選ばれたのか。
それはやはり、姫様の気まぐれなわがままです。
本当ならもっとベテランの護衛がつくはずだったのです。
でも、キャシー姫様は僕を見るなり――。
「う〜ん。なんとなくかっこいいから、こっちの護衛にするのにゃ!」
とあっさり、宣言してしまわれたのです。
でも僕は反論なんてしないです。だって、キャシー姫様のもふもふな愛らしさに心奪われてしまったんですから……!
薄茶色の毛を身体中で味わいたい! その一心で僕は、キャシー姫様専属の護衛魔法使いになったのです。
国王陛下はひどく頭を抱えておられましたが、キャシー姫様がいいならいいのです。
そして、キャシー姫様のもふもふに毒された僕はもはや姫様の人形です。姫様のわがままなら、何でも聞いてしまうのです。
ご褒美にその頭を撫でさせていただけるのならば。
「キャシーの可愛さにハービーはぞっこんなのにゃ。しめしめ」
そう笑う姫様ですが、僕からの溺愛にはどうやらお気づきでないご様子。
まあまだ十歳です。恋する乙女になるにはまだ早い時期ですから……ゆっくりじっくり待つのが一番なのです。
そのうち僕の手に入れてみせる。
もちろん身分差や年齢差はあるのです。でも、心配はご無用。「愛さえあればどうにでもなるのです!」
「はにゃ? また何かイミフメーなこと言ってるのかにゃ? 早く冒険行くのにゃ!」
「あ、了解です」
忘れていましたです、はい。
キャシー姫様の機嫌を損ねると大変です。早く準備しなくては。