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01:キャシー姫様がまたわがままを言い出したのです
「にゃ〜んか暇だにゃ」
キャシー姫様がまた何か言い出したのです。
僕にはこの時点で面倒ごとが始まるがわかってしまい、少しばかりゲンナリです。
「今度はどんな無茶無謀を始めるつもりです?」
「無茶じゃないのにゃ。なんか面白いことにゃいかにゃ〜って」
そう言って尻尾をふりふりするのは、僕の可愛い可愛いお姫様。
キャサリン・カッツェ様。通称キャシー姫様です。
薄茶色の髪から猫耳が覗き、お顔からは優美な髭が生えており、とても小さく愛らしくいらっしゃるのです。
彼女はこのカッツェ獣人王国の国王陛下の娘、つまり王女様です。
だのに、キャシー姫様は非常におてんば。護衛である僕も大変困っているんです。
いつも面白いことを探しては、それにすぐ飛びついてしまうんですから。
「よし! 決めた。キャシー、冒険をするのにゃ!」
おっと、これまた突飛です。
僕はまた厄介事に巻き込まれるようです。
「……まあ、嫌じゃないです」
僕はキャシー姫様のこと、溺愛しているのです。
もちろん姫様自身は気づいていないようですが。