第86話 確定
月曜日、滞りなく1日が過ぎ
「木曜のLHRで文化祭の話し合いをするからな。やりたい事考えてくるように。それから住吉、華押、橘の3人はこの後校長室に行ってくれ。では、今日はここまで。日直挨拶」
「起立、礼、ありがとうございました」
部活動へ、帰宅へと一斉に動き出すクラスメートの中で愛翔たち3人は荷物をまとめると校長室へ向かった。
「なんの呼び出しかしら?今日は部活あるから短めで終わるといいんだけど」
桜がぼやく。
「例の処分の話じゃないかな。他にはちょっと思い当たること無いから」
愛翔の言葉に”なるほど”と納得の表情を見せる桜と楓。
校長室前、愛翔が”コンコンコンコン”4回ノックをする。中から
「どうぞ」
声が掛かり、
「失礼します。住吉愛翔、華押桜、橘楓入ります」
いつものように愛翔が代表して声を掛けドアを開ける。
中で待っていたのは、校長の西園寺と理事長の瑞光。
「ま、座ってくれ」
3人掛けのソファを示す西園寺の言葉に愛翔を真ん中にしてすわる。
「では失礼します」
そうしたところで、対面入り口側の1人掛けソファに西園寺が、窓側に瑞光が座る。
「その後はどうかな。平穏な学生生活が送れているかい」
瑞光が優しく問いかけてくる。
「はい、おかげさまで楽しく過ごしています」
瑞光は愛翔の返事に頷く。
「さて、3人に来てもらったのは想像はついているだろうけれど、例の5人に対する学校側からの処分が決まったことをお知らせするためです。ここからは校長がお話します」
瑞光の言葉を西園寺が引き継いだ。
「まずは、私からも謝罪させていただく。私を筆頭に学校側が間違った対応をしたため、君たちに辛い思いをさせた。申し訳ない」
当然のように謝罪の言葉を口にした西園寺に、愛翔が代表して返事をする。
「学校からの謝罪に関しましては、先日のお話合いの際にも言ったように受け入れています。今後同じような事が無いようにしていただければ結構です」
愛翔の言葉にわずかにホッとした表情をにじませ西園寺が言葉を続けた。
「ここからが本題ですが、加害者生徒に対する学校からの罰則が決まったので被害者たる君たちには伝えておきます。まず、停学2週間。そして停学明けからは別室登校として登校時間を通常とずらし、保護者同伴での登下校を義務付けます。そして常時教師の監視下で学習をすることになります」
罰則を聞いた愛翔が口を開く。
「別室登校と言われましたが、具体的にはどの部屋に登校することになるのですか?」
「職員室奥に普段は使われていない打ち合わせ室があります。そこに登校することになります」
そこでやっと愛翔の表情が緩む。
「安心しました。これからは平穏な高校生活を送れると信じています。ありがとうございました」
「失礼しました」
一礼し、校長室を辞する3人の表情は明るい。
「これで一安心だな」
愛翔がホッとした言葉を口にし
「うん、愛翔ありがとう」
桜が愛翔に抱きつき頬にキスをし
「楓も、ありがとう。いっぱい心配かけたよね」
楓にも抱きつき礼をいった。
「うん、桜も前を向けたし頑張ろう。それにもう私も遠慮しないからね」
楓が、いたずらっぽく笑い桜に向けてウィンクをする。
「じゃ、今日はクラブが休みだけど、サッカー部に呼ばれてるから俺はそっち行くな。2人も今日は部活だろ。終わったら校門に集合して一緒に帰ろうぜ」
愛翔の言葉に桜も楓も嬉しそうに頷いた。




