第82話 本題?ついで?
「住吉君おはよう。テレビ見たよ。ステラスターFCでの初練習だったんだね」
朝、愛翔たち3人が校門をくぐると早速駆けつけてきたのは愛翔のファンを自称する加藤。
「ああ、いい経験させてもらったよ」
「いい経験って、最後までパフォーマンスを維持できたの住吉君ともう1人、司令塔の人だけだったじゃない。しかも最後シュート決めてたし」
「パフォーマンスを維持って言ってもハーフゲームだし、シュートだって奇襲みたいなもんだからなぁ。まだまだ先は長いよ」
「クスクス、愛翔は目標が高いのよね」
楓がそっと寄り添い囁く。
「そうよね、J1チーム相手に1ゴール決めれば普通は有頂天になって自慢しまくるわよ。愛翔は本当にストイックよね」
桜も愛翔に抱きつく力を強める。
そのまま教室にはいると、クラスメートが歓声を上げた。
「住吉君、すごかったじゃない」
「J1チーム相手にあんな活躍できるなんてびっくりしたよ」
「ね、ね、握手して」
「サインは、サインして」
3人を取り囲み大騒ぎだ。そんなところで教室にひとりの男子生徒が入ってきた。
「住吉。俺をおぼえているか」
突然の闖入者に静まり返る教室の中で
「ん?たしか加賀君とか言ったか。中学の練習試合以来だな」
「いや、多賀なんだが、それでも一応覚えていてくれたんだな」
「あ、多賀だったか、すまんな。そりゃ、あれだけインパクトのある自己紹介されたらな。それで加賀君は今もサッカー続けてるのか」
「だから多賀だっての。今もサッカー部だ。で、その橘さんと付き合ってるって噂は」
「その手の話にはノーコメントだ。そんなプライベートな話をするほどに仲良くなった記憶はないぞ」
「そ、そうだな。すまない」
「で、そんな話をするために違うクラスにまで来たわけじゃないだろう。本題はなんだ?」
「いや、その、住吉のプレイをテレビで見た先輩がサッカー部に一度来てくれないかって言ってるんだ。どうだろう」
僅かに考えるしぐさをしたあと愛翔は
「月曜ならクラブの練習が休みだから、その日なら行けるけど。それで良いか?」
「た、多分大丈夫。先輩にそう伝えるよ」
多賀は愛翔の左腕に抱きつく楓をチラリと見ると何も言わず、そのままクラスに戻っていった。




