第73話 反撃開始
愛翔たちは学校側が席をコの字型にセッティングした会議室にいた。
学校側からは先日の説明の際にいた担任の篠原、生活指導の鈴木両教諭と教頭田上正樹、校長の西園寺誠一それに理事長の瑞光萌以。
そして愛翔たちの向かいには今回加害者側として呼び出された5人の生徒とその保護者が座っている。その誰もがイライラと不満を隠そうともしていない。
そこで西園寺校長が立ち上がった。
「えぇ、予定時間より早いですが、皆さんお揃いになりましたので始めたいと思います」
その言葉に皆の視線が集まる。
「本日お集まりいただいたのは、こちらに座っている住吉愛翔君、華押桜さん、橘楓さんに対する一部生徒によるイジメ・嫌がらせについてのお話合いというのが趣旨となります」
その言葉を聞くと早速口を挟み始める加害者席側の面々。
「その言い方では、私たちの娘たちがイジメを行ったように聞こえます、根拠はあるのでしょうね」
「そうよ、あたしたち何もしてないからね」
「証拠もなく、こんな扱いをするなんて信じられない」
それらの言葉を苦々しい気持ちで聞いている桜、楓、理沙、麗奈。そして対照的に冷ややかなそして汚物を見るような目で眺める愛翔。そこで愛翔が口を開く。
「つまり、あなた方はここに至って認めないという事ですね」
「認めるも何も、そんな事実は……」
”バン”愛翔は目の前の長テーブルを平手で叩き言葉を続けた。
「こちらとしては、本来こんな話し合いに応じる必要は無いんだ。証拠をもって警察に行けばいいだけなんだからな」
「なんだと、証拠があるなら見せてみろ」
「証拠を突き付けられないと認めないということは一切の反省がないと判断します。悪質であり親ぐるみの嫌がらせと判断せざるを得ない」
そこに1人の保護者から声が上がった。
「うちの娘はイジメ嫌がらせに加担したことを認めていますし、謝罪の意思もあります。一緒にしないでいただきたい」
林直也、ケガをしたとして金曜日に休んだ林ゆりの父親だった。
「林さん、1人だけ勝手に認められては困ります」
「そうよそうよ、ひとりだけ良い子になろうなんて許されないわ」
揉め始めた加害者たちを見て瑞光が口を開いた。
「いい加減にしてください。ここは話し合いの場です。それと住吉君、申し訳ないけれどその証拠を見せてもらえないかしら」
「お断りします。こちらとしては証拠を突き付けないと認めないということ自体をもって反省がないと判断します。しかし、このまま続けても何も生まれないでしょう。こちらは一旦席を外しますので、その間にどうするか決めてください。そうですね30分ほどしたら戻ります。それまでにそちらの結論を出してください」
そう言うと、愛翔は桜や楓たちを促し会議室から出ていった。




