第47話 告白(剣崎の場合①)
「最初は何から行く?」
こういったことを最初に言い出すのは大体多賀だ。そしてパンフレットを眺めていた女子3人。
「やっぱりこの遊園地の目玉スーパーコースターでしょう」
そういう理子に頷きながらも桜は、こっそりと囁く。
「次はお化け屋敷ね。藤島くんと一緒に入ってしっかりイチャイチャするのよ。本当に怖くなくても抱きついちゃえばいいんだからね」
頬を染め照れながら理子が返す
「ふたりはどっち狙いなの?」
きょとんとする桜と楓。
「あたしたちは狙ってないよ。ね楓」
「そうね。私も別に狙っている人はいないわね」
「剣崎君も多賀君も結構いい人たちだと思うのだけど?」
「そうね。剣崎君は最初こそ嫌な人って感じだったけど、今はまあ、普通に友達って思えるし、多賀君も面白い人だなって思うけど。でもどちらも恋愛対象ではないわね」
桜はバッサリだった。
「楓もそうなの?」
「そうねぇ。あたしとしてもふたりとも恋愛対象ではないわね。友達がたまたま男の子だったってだけね」
そんな話をしている女子3人に多賀が声を掛ける。
「おーい、早く行こうぜ」
「はいはい、慌てないの」
楓がいなし、6人はコースターに向かった。
「橘さんってジェットコースターも平気なんだね」
「多賀君は、はしゃぎすぎでしょう」
「剣崎君が、ジェットコースターあんなに苦手なんて、くくくっ」
「華押さんお願いします。それ以上言わないで」
そんな横で理子は藤島の腕に抱きついていた。
スーパーコースターをそれなりに楽しんだ6人。
「じゃ、じゃぁ次はお化け屋敷行こうよ」
桜の提案道理に理子が誘う。
「行こう、行こう」
桜が、何気ないふうに賛意を示し次は自然とお化け屋敷へと決まった。お化け屋敷はジェットコースターのように2人ずつの座席というわけでないため、6人まとまって入った。ただ、なんとなく暗黙の了解から藤島と理子をそっとふたりになるように動く4人。
「きゃぁぁあ」
少し離れた位置で理子が悲鳴を上げる。
「だ、大丈夫。俺が横にいるから」
テンプレのセリフを吐く藤島。
少し離れているとはいえ、防音というわけではない。4人は温かい笑みで2人を見守っていた。そして4人は……
桜の
「へぇ、これよくできてるわね」
や、
楓の
「ここは、もう少しタイミングを考えて欲しいところね」
と言ったセリフが示すように、少しばかり違った楽しみ方をしていた。
お化け屋敷を出た6人といより、2人と4人は
「少し早いけど、そろそろお昼にしない?」
楓の提案で園内のフードコートに来ていた。お化け屋敷以降、理子は藤島の腕に抱きついたままで、揶揄いに行こうとする多賀を3人が止めるという動きを何度も繰り返していた。
騒ぎながらも昼を済ませた6人は、
「昼からはどこ行こうか?」
「このあたりの渓流下りっぽい船とか」
「あ、このカートってのも乗ってみたい」
「この体験型アトラクションも……」
「それ4人乗りだ……、それにしよう」
と、楽しみつつ藤島と理子が2人になる時間を作るように動く4人。
「面白かったねぇ」
アトラクションから出て、桜に抱きつきつつ笑顔を見せる理子。そして
「ありがと。藤島君とあたしをふたりになれるようにしてくれてたんでしょ」
小声で伝える。
「遊んだ~」
夕方になり帰り道、背伸びをしながら叫ぶ多賀。
「十分に充電したから、明日からは期末テストに向けて勉強を頑張らないとね」
楓の言葉に桜以外の4人が顔を引きつらせる。
「何よ、入学してまだ3ヶ月なのに、そんなに嫌がること無いんじゃない?」
桜が呆れたように言うと。
「いや、別に勉強についていけてないわけじゃないけど、やっぱりテストはなぁ」
多賀はテストの雰囲気が苦手なようだ。
「ま、光野に入った以上、頑張るしかないさ」
剣崎もそれなりにはやる気を見せる。
「あ、ちょっと待ってて飲み物買ってくるね」
楓が、自販機に向かうと。
「俺も。あ、みんなの分も買ってくるよ。何が良い」
多賀がついていく。そして藤島と理子もそれに続いていき、剣崎と桜が僅かに置いて行かれる形になった。
「もう、みんな慌てすぎなんだから」
桜が軽く言うと、
「まあまあ、楽しかったからはしゃいでるんだよ」
宥めるような剣崎の言葉に
「そりゃ楽しかったけどね」
わずかに沈黙の時間が流れ、思い切ったように剣崎が桜に言葉を掛ける
「華押さん」
桜が振り返り
「なに?」
「出会ったとき、付き合っているなんて言い方で迷惑を掛けたよね」
「そうだったわね。あれには参ったわ。噂を消すのに時間も掛かったし」
「う、ごめん」
「まぁいまさら良いわよ」
「それでだね」
「どうしたの?」
「噂を本当にするのはダメかな?」
「ん?」
「俺、華押さんの事が好きです。付き合ってくれませんか?」
「ごめんね。あたしのことを好きだって言ってくれたことは嬉しいけど、剣崎君をそういう対象として見れない」
即答だった。




