第46話 ナンパ
「同級生と遊園地なんて初めてね」
駅前で待つ楓のつぶやきに桜も頷く。
「愛翔以外は、なんか下心見え見えの人たちばかりで一緒に行動するの怖かったもの。仕方ないでしょ」
「まあ、今回のメンバーも約1名は下心ありそうだけどね。ま、それでもまともな感じで来てるから極端な行動に移さない限りは許容範囲かしら」
金魚のオブジェ前で雑談している桜と楓。
桜はゆるめの生成りニットにアイスブルーのゆるめパンツ。足元は動きやすいダークブラウンのスニーカー、それに黒のキャップをかぶって可愛らしいゆるふわファッションだ。
対して楓はライトブルーのカットソーにカーディガン、ボトムに黒のスキニーパンツ。足元はワインレッドの3センチパンプス。大きめつばのキャメルカラーのサファリハット。ブラウンレンズのサングラスをあわせている。
ふたりとも薄くメイクをしており、周りからかなりの注目を浴びていた。
そこにチャラ目の大学生風ふたり組が近づいてきた。
「ふたりとも可愛いね。よかったら一緒に遊ばない?」
声を掛けるチャラ男に視線さえ向けず、雑談を続ける桜と楓。
「そんな無視しなくてもいいじゃん」
ひとりが桜の肩を抱こうと手を伸ばしたけれど、するりと躱し汚いものを見る目で男を見やりながら
「気持ち悪い。近寄らないで」
桜の言葉にもひるむことなく近づき
「そんな邪険にしなくてもいいじゃん」
そんな言葉を掛けながら更に手を伸ばす。
諦めの悪いその行動に楓がため息をつき
「おまわりさーん、痴漢です。助けてください」
広場中に響く大声で叫ぶ。
見ればちょうど巡回中だったのだろう警察官が向かうのが見えた。まさか、そんな反撃が来るとは思わなかったのだろう
「そ、そんな。てぃ見世物じゃねぇぞ」
慌ててその場を立ち去るチャラ男。
桜と楓は顔を見合わせ苦笑いをしている。
「間に合わなくてすまない」
剣崎と多賀がきまり悪げに駆け寄ってきた。剣崎は黒のシャツに洗いざらしのデニムパンツ、ライトブラウンのローブーツ。多賀はライトグレーの五分袖ニットにネイビーのパーカー、白のクロップドパンツ、クロスベルトのトリコロールサンダルとふたりともカジュアルなスタイルだ。
「華押さん本当に躱すんだね」
「まぁね。あんなとろい動きに捕まってたらあたしの身体でバスケはちょっとね」
剣崎の言葉に苦笑いを深くする桜。
「橘さんの大声もびっくりだったよ」
「まぁ、それなりに慣れてるからねぇ。不愉快なのは変わらないけど」
多賀の感心した声に楓が何気に毒を吐いた。
そんなところに理子と藤島のカップルが手をつないで合流。白オープンカラーのブラウスにチェックのミニスカート、ローファーを合わせて可愛らしいコーデの理子。白Tシャツにブラウンの麻ジャケットを羽織り、ベージュのチノパン、白のハイカットスニーカーの藤島。
「みんな待たせてごめんね」
「大丈夫。時間になってないから」
そんな定番のやりとりをしつつ
「じゃぁ、行こうか」
と多賀が先導して駅に向かう。
「桜も楓も素敵ね。似合っているわ」
「理子もとても可愛いわ」
「理子も素敵よ。藤島君もメロメロじゃないかしら」
理子の声に桜と楓が答えている。
「ね、藤島君も理子が可愛くて嬉しいでしょ?褒めてあげた?」
楓が藤島を揶揄うように声を掛けるのだけれど
「それがねぇ。藤島君褒めてくれなかったのよ」
理子が拗ねたように楓に愚痴る。
「もう、理子は藤島君のためにおしゃれしてきてるのに何も言わないなんて無いわよ」
「え、あ。その……」
照れて口ごもるばかりの藤島に楓が催促をする。
「ほら、一言で良いの感想を言ってあげなさいよ」
「あぁ、その。理子、いつもに増して可愛いぞ」
言ったとたんに耳まで朱に染まる藤島。
「藤島君ありがとう。嬉しいわ」
こちらも頬を染めながら藤島に抱きつく理子だった。それを見てほっこりしている4人。そこでふと藤島が気づき、剣崎を肘で突く。
「ん?なんだ?」
藤島は、こっそり頭を抱えた。




