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第36話 女子バスケットボール部

 ”ダムダムダム”体育館にドリブルの音が響く。

「オフェンス1本!」

汗を散らし躍動する少女たち。その中でひときわ輝く栗色の髪をショートにした小柄な少女桜。その前を金髪長身の少女が遮る。桜はくるりとターンをし、わずかな体重移動を見極めあっという間に脇を抜けていく。ゴール下にフリーのチームメイトを確認するとディフェンス2人を躱し3ポイントライン外からロングシュートを放つ桜。ディフェンスプレイヤーが勢い余り桜を押す。

”バサッ”ボールはボードに当たらずそのままゴールに吸い込まれた。”ピピー”ホイッスルが鳴る

「バスケットカウント」

「ナイスシュート桜!」

コート脇から楓の声援が飛ぶ。

近隣の高校との交流試合。桜は1年生ながらスタメンスタート。1プレイでフリースロー含め4ポイントを上げた。

「桜、今の3Pは、ちょっと無茶じゃなかった?」

女子バス部長でチームのセンター高松裕子たかまつゆうこが桜に注意をする。

「え?ゴール下に高松先輩がフリーでいたじゃないですか。なんで入らないなら入らないでリバウンド取ってもらえそうだから良いかなって思ってシュートしたんですけど、ダメでした?」

「あの状態で、そこまで見えてたの?」

「見えてたって言うか、あたしが抜いたひとりと、もうひとりが戻り切れてなくて、あたしにふたりついてて、4番の山本先輩に1人ついてましたよね。でガード下に高松先輩がいればフリー確定じゃないですか。まぁ3Pも当然入れるつもりでしたけどね。バスカンだって狙ってたんですよ」

ペロリと舌を出して笑う桜。コートでの桜は超攻撃的だ。ディフェンスにおいても同様で相手がドリブルで切り込んでくればスティールを決め、パスを回そうとすればとんでもない位置からパスカットをする。相手の攻撃システムを機能不全に追い込み追い詰める。セカンドクオーター終了時で47対24と圧倒的にリードを保っていた。

 「お、本当に女子バス試合だったんだ」

そこにやってきたのはサッカー部の面々。

「橘さんも応援に来てるじゃん。あ、そっか華押さんの応援か」

応援に来ている楓を目ざとく見つけ寄ってくる。藤島や多賀を通じ悪くない関係を作っているため楓もそれほど邪険にはしない。

「ええ、桜も頑張ってるわ。今ハーフタイムで47対24でリードね」

「おおすげぇじゃん。うちの女子バスってそんなに強いんだ」

サッカー部部長の寺沢正治てらさわまさはるが高松に言葉を掛ける。

「おい、高松。調子よさそうだな」

「ええ、華押さんが入っただけでまるで別のチームのようよ」

「そんなにか?」

「さすが中学時代とはいえ、全国レベル経験者は違うわね」

部長同士女子バスケット部の戦力アップに話が弾んでいる。

「桜、調子いいみたいね」

理子が桜に話しかけている。

「ん~、悪くはないけど。さすがに受験でなまってるわね。イメージと少しずつずれがあるもの」

「あれ、桜、受験時もトレーニングしてなかった?」

ランニング等の自主トレをしていたのを見ている楓が聞くと

「やっぱりコートでの練習が無いと鈍るわね」

少しばかりの雑談をしていると、高松が声を掛けた

「集合」

掛け声に選手が集まってくる。

「最高の感じで折り返しよ、引き続き油断なくいくわよ」

「はい」

「ただ、後半、桜へのマークがきつくなるのが予想できるわ。桜は前半自由に動いてもらったけれど、後半少し囮をしてほしい」

「囮ですか?」

「桜が囮をしてくれれば、前半の様子からして向こうのメンバー3人を引き連れてもらえると思うの。そうすればこちらは4対2で戦えるわ」

「わかりました。後半ずっと囮ですか?」

「いえ、サードクォーターだけでいいわ。ファイナルクォーターは自由に動いて」

審判から合図があり後半が始まった。

桜はあちらこちらと走り回る。高松の予想通り桜には3人のマークがついていた。通常であればマークは2人までのところを3人もつけたのは相手チームとしても思い切った判断だった。それを桜は振り切ろうとする振りで引きずり回した。桜ひとりで3人を消耗させると同時に、このマークがうまくいっているように見せるためだ。

 「さすがの桜も3人にマークされると辛そうね」

理子がつぶやくと

「ふふふ、相手もそう思ってくれているでしょうね」

楓には桜の動きに余裕があるのが分かり、同時に何をしているのかも想像出来ていた。そして、それはコートサイドで外から見ているサッカー部の部員の一部にもなんとなく伝わっていて。

「おい、あの華押って1年凄いことしてんな」

「華押って、あの子、天使様じゃないのか?」

「1人で3人を手玉にとって……」

「うわぁ、ファイナルクォーターに入ったら、もうやりたい放題じゃないか……」

「先輩方応援してるんですか、それとも……」

藤島と多賀が火消しに必死だ。

「そういう言い方をしていると華押は2度とサッカー部に近寄らなくなりますよ」

剣崎だった。

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