第35話 スーパーマン
部活も終わり、茜色の空の下ファミレスの入り口をくぐる5人。
大きめのテーブル席に座るのは桜と楓の幼馴染コンビに理子と藤島のカップル、そして多賀。
「どうして多賀君が、ここにいるのかしら?」
楓が疑問の声をあげる。
「そこはごめん、サッカー部つながりでオレが許可した」
楓の勢いに両手を合わせて言い訳をする藤島。
「どうせ愛翔の事を知りたいんでしょ」
クスクスと桜が笑う。
「ああ、そうだよ。住吉の事が知りたくて来たんだよ。これで良いか?」
不貞腐れたように言い放つ多賀に4人が破顔した。
「で、住吉は華押と橘の幼馴染ってことで良いんだよな」
「そうよ、大事な幼馴染。生まれてから中学の1年までずっと一緒だったわ」
多賀の問いに楓が応える。
「どんな奴なんだ?」
「どんなって随分とアバウトな質問ね」
「いや、オレもあの試合での住吉しか知らねぇからさ」
「一言で言えばスーパーマン?あたし達のヒーロー?かしら」
桜が言葉を挟む。
「でも、あたし達には甘々で甘やかしてくれるのよねぇ」
更に遠い目をして想いを馳せるように言葉を重ねる。
「で、そのスーパーマンは、子供の頃からサッカー少年だったのか?」
「プッ、何よ子供の頃って、あたし達、今だってまだ子供じゃない」
多賀の聞き方に吹き出す桜。そこに楓が言葉を掛ける。
「愛翔は小学校ではずっとミニバスやってたわね。桜と一緒に」
「へぇ、サッカーじゃなくてミニバスかぁ」
「ミニバスで全国MVPだったわね確か」
「一応こんな風に言っているけれど、言ってる桜自身もミニバス全国MVP。中学では全中出て3回戦だっけ?」
楓がなんとなく情報を追加する。
「そんなミニバスとはいえ全国級のバスケットプレイヤーがなんでサッカー?」
「中学に入った時に体験して気に入ったのがきっかけね」
「ちょっと待った。じゃぁ何か。俺はサッカー始めて数か月の男相手にライバル宣言したって事か?」
「ライバル宣言なんかしたの?」
多賀は羞恥にあわあわと赤くなったり青くなったりする。そこに楓がとどめ
「大丈夫よ。愛翔はライバル宣言とは思ってないから多分」
「ぶはははは……」
それを聞いた藤島が盛大に噴き出した。
「それむしろ相手にされてない感が凄いじゃないか」
がっくりと俯く多賀。
「だって多賀君と愛翔が出会ったのは愛翔がサッカー始めて3ヶ月くらいの時期よ。いくら愛翔だってそんな風に評価されてるとは思ってないわよ」
楓がフォローする。
「ありがとう橘さん。君の優しさに涙が出そうだ」




