第20話 クラス
桜舞う道を並んで歩くふたりの少女。手にはスクールバッグを下げた桜と楓だ。
「中学の入学式を思い出すなぁ」
「そうね、先に桜が愛翔に抱きついていて、そこに私が抱きついたのよね」
「愛翔まだ帰ってこないのかなぁ」
「むこうの金髪美人に捕まってたりして」
楓がクスクスと笑うと、桜が表情を昏くする。
「冗談よ、桜への返事もしてないのに愛翔がそんなことするわけないでしょ」
「もう、からかわないでよ」
そんなじゃれつくふたりの姿を羨ましそうに眩しそうに見ている視線を意識することも無く高校への道を歩くふたり。学校に着くと早速掲示板に向かうふたり。
「B組だ」
「あ、また一緒ね。楓と一緒で心強いな」
クラス分けで同じクラスになり抱き合って喜び合うふたり。そこに周囲から視線が集中していた。仲の良い幼馴染の女の子同士そこには何の違和感もないけれど、もともと見た目が整っていたふたりだ。それが愛翔と離れている間に更に磨きがかかり周囲にちょっといない外見となっていた。そんなふたりがキャイキャイとじゃれ合っていればやはり目立つ。そんな視線に気づきもせずにじゃれ合いながら教室に移動するふたりを見送り、自分のクラスを確認し項垂れる男子生徒、ガッツポーズをとる男子生徒、ほのかに頬を染める女子生徒と悲喜こもごもな風景が見られた。
クラスでは、まだお互いに様子見をする生徒が多いなか一部の陽キャがクラスメートに声を掛けている。その中の一人の男の子が話をしている桜と楓に声を掛けてきた。
「ねぇふたりとも可愛いね。名前はなんていうの」
人によっては馴れ馴れしいと感じる距離感で近づいてくる彼に、人見知りを発動させて顔を引きつらせる桜。そして何気ないしぐさで楓の手を握ろうとした。
「いきなり触らないでください。自己紹介さえもしていない見も知らない男の子に触らせるほど私は軽くはないです」
ぴしゃりと言い放つ楓に押されて、その男の子は思わずいったん引き下がった。それでも
「なんだよ、ちょっと声を掛けただけじゃないか」
「あなたの声をかけるというのは初対面の女の子に触ることを言うのですか。あなたのような人は気持ち悪いです。近寄らないでください」
その男の子は楓の剣幕にスゴスゴと引き下がった。するとわっという感じで楓の周りに女の子が集まってくる。
「言いたい事いってくれてスッとした」
「女の子が嫌がっているの分からない男の子にガツンと言ってくれて嬉しかった」
そんな女の子たちが集まり楓と桜はあっという間にクラスの女の子たちの中心になっていた。クラスでの男女の立ち位置が決まった瞬間でもあった。




