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第19話 高校入学

 私立光野高等学校入学試験合格者と書かれた掲示がされている。

「314、314……」

「211、211……」

「あった。あったよ楓」

「桜おめでとう。あたしもあったよ。またこれからも一緒に学校に通えるね」

県内でもトップクラスの進学校に合格し喜び合う桜と楓。そこに声を掛けてくる男子生徒がいた。

「お、君たちふたりも合格したの。俺もなんだけど良かったら一緒に祝賀パーティ……」

そこには既にふたりはおらず、ただ合格をネタにナンパしようとした負け組男子がひとり立っていた。



「でも、桜はよかったの?バスケットボールでの勧誘もあったでしょ?」

「うん、バスケットボールも好きだけど、将来をそれでどうにかしようっては思わないもの。それだったら大学進学を念頭に置いて学校を選ぶほうが良いと思ったの。嬉しいことに楓も同じ高校を志望してたしね。それに光野でもバスケットボールは出来るよ。部はあるから。それにそれを言ったら楓だって絵で誘われてたんじゃないの?」

「私のは中学時代に仲の良かった美術部の先輩が誘ってくれただけよ。学校でどうこうじゃないから。それに私も大学は意識してるからね。で、桜は高校でもバスケ部に入るの?」

「うん、一応そのつもり。でも体験入部で雰囲気をみてからかなぁ。楓は?やっぱり美術部?」

「私は美術部もだけど、中学で始めたギターが楽しいから軽音部も気になってるのよね」

「それもこれも入学してからね」

「ふふ、桜は新しい環境でまずクラスに馴染むところからかなぁ。人見知りは大丈夫かしら」

「う、大丈夫だもん。もう人見知りはだいぶ克服したもの」

「だいぶね」

楓がケラケラと笑い、それをフッと収めて

「ここに愛翔がいたらもっと嬉しかったんだろうなぁ」

愛翔がアメリカに渡って2年半。偶に手紙のやり取りはしているふたりだけれど、細かい連絡は取れていない。3人ともがスマホはおろかガラケーさえ”まだ早い”との理由で持たせてもらえていなかったのも原因だろう。

「愛翔も慣れないアメリカで頑張ってるんだから、あたし達も頑張るよ。そして愛翔が帰ってきたときに恥ずかしくないようにするんだから」

「そうね、桜は愛翔に選んでもらわないとだものね」

「う、頑張ってるもの。勉強も頑張ってるし、愛翔に可愛いって思ってもらえるように見た目だって頑張ってるし、あの時言われたように人見知りだって頑張ってだいぶ克服してきてるもん」

「はいはい、桜は頑張ってる頑張ってる」


”でも、愛翔、帰ってくるなら、高校入学のこのタイミングかと思っていたんだけど”楓の独り言は春の風に消えていった

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