第110話 LoveとLove
「あれぇ、住吉君に華押さん、橘さんおそろいで。ひょっとして3人デート?」
愛翔たちの自宅最寄駅の改札を出たところで声が掛かった。
「え?あ、丘先輩。デートって。俺がステラスポーツセンターでトレーニングするのに2人が付き合ってくれただけですよ」
愛翔が言葉を返すと、桜と楓がちょっと頬を膨らませている。
それを横目に丘は近寄ってきてスンスンとにおいを嗅いだ。
「カルキのにおい。住吉君プールに入ったのね。華押さんも橘さんもカルキのにおいがしてるわよ。3人でプールに行っていたのは間違いないでしょ。別にあなた達仲の良い幼馴染3人組が一緒にプールデートに行ったところで誰も驚かないわよ」
クスクスと笑いながら指摘する丘。愛翔は桜と楓に視線を送ると頷き。
「はぁ、まあ確かに俺たち3人でプールで遊びましたよ。でもそれは俺がたまたまプールでトレーニングをしたので、それが終わった後一緒に遊んだだけで……」
丘は右手の人差し指をその綺麗な顎にあて小首を傾げながら
「やっぱり橘さんからだけじゃなくて華押さんからも告白されたのかしら?」
ズバリ言い切る丘の言葉に息を止める愛翔。
「な、いきなり何を」
「んん、だって文化祭のステージでのオリジナル曲、あれ橘さんから住吉君への告白でしょ」
黙り込む3人。
「あれ、違ったの?」
予想が外れたかといった様子の丘だけれど
「なんで、そう思ったんですか?」
口にしたのは楓だった。
「え、だってこの前、3人の関係について教えてもらったじゃない。そこにあの歌でしょ。だからそうなんだろうなって。それに、あそこまでするなら、華押さんも告白してるんじゃないかってのも予想出来たしね。あ、大丈夫、他の人が気付いてる様子は無かったし、私も言いふらすつもりはないから」
「それなら、何故?俺たちの関係に口を出す意味分からないんですが。少なくとも丘先輩は興味本位で他人のプライバシーに踏み込むタイプじゃないですよね」
愛翔が疑問をぶつけるけれど
「んん、どう言ったらいいかしら。とりあえず、あなた達に危害を加えるつもりはないし、むしろ幸せになって欲しいとも思っているわ」
何を言っているのかと疑問に満ちた表情の3人に
「仲の良い幼馴染としてとっても距離の近いあなた達の関係は素敵だと思う。それにお互いをとっても大切に思っているのも分かるしお互いをとっても好きよね」
今度は桜が口を挟んだ
「なんですか。定番の”LoveじゃないLikeだ”ですか?」
「いえ、あなた達のは”Love”に見えるわね」
「なおさら何が言いたいのか分からないのですけど」
楓の言葉にもイラツキが見える。
「私の目には華押さんと橘さんの住吉君への気持ちは恋愛的なLoveに見えるの。でも住吉君、あなたはどうかしら?2人への気持ちは家族へのLoveじゃないの?今のままだと答は出ないわよ。きちんと2人を見てあげて。住吉君の中の2人を思う気持ちと向き合って、そして2人に応えてあげなさい」




