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049 生まれ変わった装備


◆ガーソン 廃棄坑道


「だぁー!終わったー!」


アルマはつるはし片手に廃棄坑道の中で叫んでいた。

ギガントロックゴーレムを討伐したもののアルマの目的は達成されてはいなかった。

そう、廃棄坑道に来たのは鉄鉱石を採取しに来たのだ。


ギガントロックゴーレムを倒したのつかの間、すぐさまアルマは目的の鉄鉱石を採取するために採取ポイントめがけてつるはしを振るっていた。

それもこれで終わりである。

遂にガルドから依頼されていた分の鉄鉱石を集めきることができたのだ。


その間も何もなかったわけではない。

ギガントロックゴーレムこそ現れなかったものの多くのロックゴーレムを相手取ってアルマはすでに疲労困憊となっていた。


その疲労感を引っ提げて、ランタン片手に廃棄坑道の出口に向かっていくアルマの表情は巣がすがしいものであった。

やはり、ギガントロックゴーレムに勝てたこと、そして目的の鉄鉱石を集めきったことはアルマにとって十分に達成感を感じる出来事であったのだ。


長い時間籠っていた廃棄坑道から出ると外はすでに日が沈み切り、真っ暗となっていた。

満天の星空を背景にガーソンの町の明かりがぽつぽつと目に映った。

その、灯1つ1つが人の営みを表しているのだ。

それを見てアルマは幻想的な世界の中生きる人の強さを感じ取るのであった。


アルマはガーソンの中心地へ向かいながらガルドに連絡を入れた。

連絡はすぐに返ってきた。

どうやらガルドもシードルもまだログインしているようだ。


アルマは急ぎ生産者組合に向かうこととなった。


--


「んー、アルマだー。」


「おう。首尾はどうだ?」


ガルドに指定された生産者組合の生産室にアルマが入ると挨拶もそこそこにガルドからそう聞かれた。


「うん。問題なく必要数集まったよ。」


アルマがそう答えると2人は顔を綻ばせ、笑みを浮かべた。

やはり未だ鉄鉱石不足は解消されていないようだ。

2人は今か今かと待ち望んでいたのだろう。

そんな2人の期待が体から溢れているような雰囲気を感じ取った。


「とりあえず。ガルドとシードルに鉄鉱石受け渡すね。あと、レーンクヴィストの素材とガルドには今装備している短剣も………」


アルマはそう言うとウィンドウを操作して2人に素材アイテムを渡した。

ガルドとシードルはそれぞれ手元でウィンドウを確認すると問題ないことを伝えてきた。


「それで、巨大なゴーレムの方はどうだったんだ?」


ガルドが唐突にそんなことを聞いてきた。


「ん?ああ、倒せたよ。結構苦労したけど………」


「そうかそうか。それは良かった。」


ガルドはアルマの回答に自分のことのように喜んでくれた。

ガルドなりにアルマが死に戻りして気落ちしていたこと気にしていてくれたようだ。


「あの後、他のパーティからもその巨大なゴーレムの話を聞いてな。どうも、どのパーティも勝てずに逃げ帰るか、死に戻るかしているらしい。一時期はユニークじゃないかと噂されていたぞ。まあ、アルマが倒したのにアナウンスが無いということはユニークではないみたいだがな………」


「そうだね。俺も2体倒したからユニークではないね。」


アルマの何気ない返答にガルドは驚きを隠せずにいた。


「なに!?2体も倒したのか!?」


「ああ。ギガントロックゴーレムって言うみたいだよ。」


「いや種族名なんぞはこの際何でもいいだが。攻略組のパーティすらも勝てない相手を2体も討伐してくるとはさすがだな。」


ガルドはアルマのことを手放しで称賛した。

アルマもその言葉を満更でもない様子で受け取った。


「そ、それより。装備だけどいつ頃できそう?」


「ああ。今回はユニーク素材を使用するから多少手探りな部分もあるからな。時間はかかるかもしれん。それでも一両日中には完成するだろうよ。」


「ぼくのほうもー、明日までにはー、できるー。」


「そうか。なら今日はもうログアウトするよ。さすがに疲れた。装備の方、お願いね。」


「ああ、任された。」


「んー。しっかりつくるよー。」


アルマは2人の返答を聞いて、生産室を後にする。

そしてその日はそのままログアウトしてしまった。


--


1夜明けて、アルマがログインするとすでにガルドとシードルはログインしていた。

アルマが連絡を入れると装備はすぐに受け渡せる状態であると連絡が返ってきた。


いつもの如く招かれるままに生産室へと向かうとシードルはまだ来ていなかった。

ガルドに先に武器の方の受け渡しからやるかと提案されるも特に急いでいないからとシードルを待つことになった。

シードルを待つ間はガルドと世間話に花を咲かせていた。


「そう言えば、公式イベントの内容が決まったみたいだぞ。」


不意にガルドがそんな話をしだした。


「へー。何やることになったの。」


「バトルロワイアルだとよ。個人戦の。」


「それは………戦闘職はいいけど生産職とか、戦闘でも支援職の人とかはどうするんだろう?」


アルマのその疑問にガルドは肩をすくめて「さあな。」とだけ返答をした。

特別、興味があるわけではなさそうだ。


「それに場所はどこでやるんだ?」


「専用フィールドみたいだな。一定の範囲を持った都市型のフィールドに全参加者が転移させられてそこで争うみたいだな。」


「へー。まあ、俺らには関係ないかな。」


「俺みたいな生産職には関係ないかもしれんが、おまえさんはがっつり関係ありだろう?ユニーク2体倒していいるんだ。優勝候補じゃないか。」


ガルドは期待するような目をアルマに向けた。

アルマはそんなガルドの期待を受けながらも「いやいや。」と否定する。


「俺は半分生産職だぜ?それがバリバリの戦闘職に勝てるとは思えないな。モンスター相手と人間相手は勝手が違うしな。一応、参加はするけど、そんなに勝てない気がする。」


「そうか?ガーソンに来るときにPKと戦ったがその時だって特に苦戦らしい苦戦はしなかったろう?なら、対人戦等だってそれなりにやれるだろうよ。」


2人して「いやいや。」とお互いの発言に反論をしながら談笑しているとシードルが生産室へと入ってきた。


「んー。おくれたー?ごーめーんー。」


「いや、たいして待ってないからいいよ。」


「おう、バカ話してたらあっという間だったぞ。」


シードルの謝罪にそんな風に2人してフォローしつつ装備のお披露目が始まった。


「じゃあ、さっそくで悪いがシードルが作ってきたアクセサリーから見せてもらえるか?」


アルマがそう言うとシードルは机の上に3つのアクセサリーを取り出した。

アルマはそれを1つ1つ手に取って確認していく。



耐毒のピアス【防具】

 種別  :アクセサリー

 品質  :C+

 防御力 :16

 付与効果:毒耐性、敏捷上昇

 耐久値 :1300/1300

 製作者 :シードル

 あらゆる毒への耐性を高めるピアス。通常の大蛇種より強力な毒を持つレーンクヴィストの素材を使用することで毒に対する高い耐性を持つようになっている。



耐毒のブレスレット【防具】

 種別  :アクセサリー

 品質  :C+

 防御力 :16

 付与効果:毒耐性、敏捷上昇

 耐久値 :1300/1300

 製作者 :シードル

 あらゆる毒への耐性を高めるブレスレット。通常の大蛇種より強力な毒を持つレーンクヴィストの素材を使用することで毒に対する高い耐性を持つようになっている。



大蛇のネックレス【防具】

 種別  :アクセサリー

 品質  :C+

 防御力 :24

 付与効果:毒攻撃強化、敏捷上昇

 耐久値 :1300/1300

 製作者 :シードル

 装備者の毒攻撃を強化するネックレス。通常の大蛇種より強力な毒を持つレーンクヴィストの素材を使用することでさらに高い強化を実現している。



アルマはそれを満足そうに見ていた。

シードルはアルマの要望通りに俊敏が上がる装備を作り上げた。

それだけに留まらず、レーンクヴィストの素材を使用することでさらに強力な付与効果まで実現している。

これに文句など出るはずもなかった。


「だいじょーぶ?」


「あ、ああ。こちらの期待以上のものだよ。ありがとう。シードル。」


「どーいたしましてー。」


シードルは緩やかな口調とは裏腹に照れくさそうに顔を赤くした。

そのしぐさが少し可笑しく笑みが零れる。


「さて、次は武器の方だな。」


ガルドがそう言うとアルマは机の上に置かれた装備をインベントリへとしまった。

それを確認してガルドは短剣を机の上に置く。

アルマはその机の上に置かれた短剣を目にした。



猛毒大蛇の毒短剣+【武器】

 種別  :短剣

 品質  :ユニーク

 攻撃力 :365

 付与効果:毒攻撃、麻痺攻撃、HP上昇、毒性の変化ユニーク

 耐久値 :3400/3400

 製作者 :ガルド

 大蛇種の毒牙をベースに鉄で作られた短剣。大蛇種が持つ致死毒源と特殊な大蛇種が持つ麻痺毒源を使用することで攻撃したものに毒を与える。通常の大蛇種より強力な毒を持つレーンクヴィストの素材を使用することでその毒性はさらに高まっている。毒核を使用したことでレーンクヴィストの現身ともいうべき装備となっている。

 ベースの猛毒大蛇の毒短剣が恐竜種の牙で強化されている。通常の恐竜種より頑強な牙を持つダールベルクの素材を使用することでさらに頑丈な装備となっている。

 ※ユニーク装備は譲渡・売買ができません。(所有者:アルマ)



こちらは毒核を使用しているため予想通り「品質:ユニーク」となっていた。

しかし、それを抜きにしても強力な武器であることはありありと理解できる。


見た目に関しては以前まで使用していた恐竜牙の青銅短剣と大きく変わっていた。

刀身は以前よりもさらに伸び、40cmを越えている。

刃幅は以前より少し細身になったが、それでも短刀というよりは鉈に近いような印象を受ける。

そして大きく印象を変えたのがその色合いである。

以前までは使用していた金属の色つまりは青銅色をしていたのに今回は真っ黒な金属の上から緑色や黄色の怪しい光沢があるのだ。


これは事前にガルドから相談を受けていた通り、ベースがダールベルクではなくレーンクヴィストへと変わったためであろう。

アルマがそんな様変わりした自分の武器に驚いているとガルドが口を開いた。


「どうだ?だいぶ変わったろう。ここまで大きく変わるともう別の武器だな。」


「あ、ああ。ここまで変わると慣れるまで結構かかりそうだ。」


「一応、付与効果についても説明しておくぞ。まず、「毒攻撃」と「麻痺攻撃」についてはこの短剣で攻撃した相手に一定確率で毒、または麻痺の状態異常を与える。」


アルマはガルドの説明を聞きながらも自身も『鑑定』を使ってその効果の詳細を確認していた。

アルマがしっかりと話についてきていることを確認するとガルドは話を続けた。


「次にユニーク効果の「毒性の変化」だが。これは先に説明した毒と麻痺の毒性を変えるものらしい。正直、俺は毒性と言われてもよくわからんが、薬を扱っているおまえさんなら何か知っているんじゃないか?」


ガルドのその質問にアルマは短剣から視線を外してガルドに向き直った。


「ああ。毒性って言うのは簡単に言うとどのキュアポーションが効くかっていうものだ。第1種の毒性を持つ毒ならば第1種キュアポーションで回復可能みたいな感じにな。」


「ほう。それを聞くとその付与効果はとんでもないな。戦闘職が全員すべてのキュアポーションを持っているわけじゃない。次々と毒性を変えられたら、いずれ自分で回復できない毒を受けることになるんだからな。」


ガルドのその言葉にアルマは同意を示しながら本当に強力な効果だと唖然とするのであった。


「これで武器の方も受け渡しは終わりだが何か質問はあるか?」


「いや、大丈夫だ。本当にすごい武器だ。ガルド、ありがとう。」


アルマの素直な感謝にガルドは「いいってことよ。」といつも通りの返事をした。

アルマは受け取ったアクセサリーと短剣を装備してその具合を確かめた。

ずしりとした重さは頼もしさを感じさせるものであった。


先日、新作小説を投稿いたしました

タイトルは「異世界で魔王を押し付けられた~俺以外の転移者がみんな敵ってマジ?~」(https://ncode.syosetu.com/n5772gi/)

異世界転移のハイファンタジー小説となります

こちらも見ていただけると幸いです<(_ _)>

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