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047 廃棄坑道は危険がいっぱい


◆ガーソン 廃棄坑道前


「はぁ。」


ガーソンの町の中心を離れ、廃棄坑道に向かう道中。

透き通るような晴天の青空にアルマの大きなため息が響いた。

元々ガーソンにたどり着けば装備の新調ができると思っていたのにその考えを裏切られたのだ。

仕方がない。


アルマが今いる道は坑道に向けて作られた山道である。

当然、坑道が廃棄された際にこの道の使用頻度も下がったが全く使用されなくなったわけではないようだ。

その理由は坑道からモンスターが溢れないように度々冒険者が使っているからである。

だからこそ多少荒れてはいるものの、歩く分には問題ない程度に整った道をアルマは使用することができた。


しかし、道が整っているからと言ってその足が軽やかになることは無かった。

気落ちする体を引き釣りながらアルマは坑道に向けて歩き進めていた。


(それでも、やらないことには装備を新しくできないんだから仕方がないか………。)


何度目か分からないそんな諦めの気持ちを持って1歩また1歩と歩を進めていった。


(他の人らも今頃廃棄坑道行っているのかな?)


そう考えながら思い出すのは一緒にガーソンまで来たレイドメンバー………特にアルマ同様に装備の新調を考えてガーソンまで来た戦闘職のメンバーの顔であった。


(たしか、紅葉も俺と同じでガーソンで鉄を手に入れてガルドに武器を作ってもらうって言っていたよな………)


ガーソンへの道中で一緒に話した紅葉は鉄を手に入れて刀を作ると言っていた。

今の状況ではきっと彼女の望みも叶っていないのであろう。

それは少し残念であり、そして同じ苦しみを抱える人がいることに少し気が軽くなるのを覚えるものであった。


そんなことを考えながら、しばらく歩くと木枠で補強された横穴が顔を出した。

これが廃棄坑道のようだ。

中には明かりは無く、ただ暗闇だけが薄気味悪く顔を覗かせている。


アルマはインベントリから準備していたランタンを取り出して火をつけた。

それを片手で持ちながら暗闇が支配する坑道の中へと歩を進めた。


--


―カン、カン


つるはしを打ち付ける音が坑道に響く。

アルマは廃棄坑道の中で採取ポイントを見つけてはひたすらつるはしを振るっていた。

廃棄されたとはいえ別に鉱石が枯れたわけではないため、しっかりと目的に鉄鉱石は出てきていた。


心配があるとすれば廃棄された原因………モンスターの姿がここまで一切見えないことだろう。

そんな不安を抱えながらも、戦闘が無いならそのほうがいいと思いアルマは次の採取ポイントへ向けて歩き出した。


―カン、カン


何度目かになる鉱石の採掘をしていた時不意にアルマは視界の端に何かが動くような違和感を感じた。

採取する手を止めてランタンの光でそちらを照らす。

そこは坑道を先に進む道であった。


(道の先に何かいるのか?)


そんなことを考えながら、つるはしをしまい。

代わりに腰に差した短剣を取り出した。

その道の先を伺うようにアルマはゆっくりと歩を進める。


道を行った先は大きな空間になっていた。

坑道の一部が崩れて複数の坑道がつながってしまったようだ。

そのため、1つの大きな部屋のようなものを作り出していた。


部屋と言ってもきっちりと整理されたものではない。

地面は乱雑に石が切り出され、崩落したであろう岩々が転がっていた。

そのせいもあって、広々とした空間であっても見通しの悪い場所となっていた。


だからこそだろう。

アルマはそれの接近を察知することができなかった。


―ガタ


アルマのすぐ後ろで岩が崩れる音がした。

すぐさまそちらに向き直る。

そこには巨大な人型の岩がいた。


最初それはただの岩としか見えなかっただろう。

周りに同じ色をした岩々が転がっているためたまたまそう言う形になっただけだと思っただろう。

それが動き出すまでは。

それは太い2本の足で立ち上がり、これまた太い2本の腕を揺らしながらアルマに近づいてきた。


(………ゴーレム。)


そうそれはファンタジーゲームで定番のゴーレムであった。

そんなゴーレムがアルマめがけてその硬い腕を振り下ろした。


緩慢とする動きを危なげなく回避するアルマ。

すぐさまゴーレムに近づくといつもと同じように右手の短剣をゴーレムの右足めがけて振るった。


(硬い!!)


当然ながらそれは岩を殴ったのと同じ感触であった。

刃は通らず、ただ表面を薄く削ったのみであった。


(ゴーレムに物理的な攻撃は効果が薄いのか?当然毒も意味ないよね?ならば………)


アルマはそのゴーレムと大きく距離を取った。


「………【ウォータランス】【シュート】」


魔法を使って水の槍をゴーレム目掛けて打ち放つ。

ゴーレムの遅い動きではこれを回避することができず、正面からこの魔法を受けてしまう。


(………よし!効いている!!)


アルマの放った水の槍はゴーレムをのけぞらせ、それが当たった場所は大きくえぐれていた。

確かに効果があることを確認したアルマは続けて2回、3回とゴーレム目掛けて魔法を打ち続けた。

ボロボロになり動けなくなるとゴーレムは光となって消えていった。


「ふぅ。」


アルマはその様子に一安心し、呼吸を整える。

そして再び採掘に行こうと踵を返した瞬間、再び岩陰から物音が聞こえた。


―ガタ、ガタ


再び緊張感に包まれるアルマ。

注意してその物音がする方向をにらみつける。


―ガタ、ガタ、ガタ、ガタ


すると次は別の方向からも音が聞こえてきた。


(!!)


アルマの緊張感は最高潮まで高まってきた。

アルマは周囲の異常を見逃さないように注意して音を聞き取ることに集中した。


―ガタガタ、ガタガタ、ガタガタ、ガタガタ


すでに音はアルマを取り囲むように四方八方から聞こえる。

アルマは意を決して最も近い音のもとへと駆けた。

そこには先ほど倒したゴーレムと同じ形をしたものがいた。

それも、1体や2体ではない。

アルマを取り囲むように十数体のゴーレムが稼働していたのだ。


(っつ!!)


アルマは思わずその光景にたじろいでしまう。

しかし、このまま何もしなければやられるだけだと思うと、戦う覚悟を決めて水魔法を発動する。


ゴーレムが暴れる音とアルマが魔法を発動する声が坑道内に響く。

ゆっくりとしたゴーレムの攻撃1つ1つはアルマにとってそこまで脅威ではないだろう。

しかし、行動を埋め尽くさんとするほどのゴーレムの群れを前にアルマは次第に追い詰められていった。

それでも、諦めてなるものかという意地から、1体また1体と水魔法で仕留めていく。


アルマが勝つか、ゴーレムが勝つか。

状況はどちらに転んでもおかしくなかった。

それでも、天が味方をしたのか。

辛くも勝利をつかみ取ったのはアルマであった。


アルマの水魔法で生み出した水の槍が最後のゴーレムの胸を穿つ。

ゴーレムはたまらず、膝から崩れ落ち光となって消えていった。


「はぁ、はぁ。」


その光景を見て達成感や充実感より先にアルマの頭には疑問がうかんできた。


(これで最後?)


その疑問を解消するために辺りを見回す。

そして、確かに周りに動き出す岩陰無いことを確認するとようやく喜びの感情がアルマの胸の内に湧き出してきた。


(や、やった!)


魔法をこれだけ何度も打ち出したのは初めて出会った。

もう、喉も痛く、叫ぶような余裕もない。

それでもその充実感に浸りながらアルマは喜びを体で表現するのであった。


両手を上げてそのまま仰向けになるように倒れた。

当然、視界に映るのは坑道の天井である。

いや、はずだった………。


仰向けに倒れるアルマに視界に映ったのは今にも崩れそうな坑道の天井であった。

それをアルマが認識したのと同時にガラガラと崩れる坑道。

アルマは危ないと思い、すぐさま崩落から逃げた。


―カタ、カタ


崩落が収まったのを確認してアルマはその崩落の中心を確認した。

何が原因で崩落が起きたのか?

そんな疑問からくる興味本位であった。


そこには1体のゴーレムがいた。

いや、ただのゴーレムではなかった。

先ほどまで戦っていたゴーレムの優に3倍近くはあろうかという体長を持ち、腕は6本、足は4本という異形の姿をしていたのだ。


そのゴーレムが首を振り、何かを探すようなしぐさをした。

ゴーレムの顔?がアルマの方を向いたときその顔は止まった。

そしてゴーレム特有のゆっくりとした動作でアルマの方に向き直り、4本の足を使って駆けてきたのだ。


―ドン、ドン、ドン、ドン


その足音はゴーレムの重量が途轍もないことを物語っていた。

そのゴーレムがアルマめがけて走ってきている。

アルマもこれにはたまらず、すぐさま逃げようと画策するも今の崩落でどこが道であったかわからなくなってしまっていた。


(仕方が無いか!)


腹をくくって、ゴーレムと相対するアルマ。

先ほどまでと同じようにゴーレムのHPを削るために水魔法を使用し、水の槍を放った。


「な!!」


アルマの放った水の槍は間違いなくゴーレムの胴を穿った。

しかし、先ほどまでと異なりこのゴーレムはそれで体が抉れることも、それで歩みを緩めることもなかった。


「………【ウォータランス】【シュート】!!」


続けざまにもう一度魔法を使用する。

しかし、その攻撃もやはり効果は無いようだった。


そうこうしている間にゴーレムとの距離が0になる。

ゴーレムは体を大きくひねって、右側の3本の腕を使ってアルマめがけて殴り掛かった。

アルマは危なげなくそれを回避する。


その拳はアルマが避けたことで地面を強く殴りつけた。

その結果、地面は砕け、小石となって周囲に吹き飛んだ。

ゴーレムの拳を回避したアルマであったが、この小石まで回避しきることはできなかった。


大きな石が腹に辺り吹き飛ばされてしまう。

その隙を逃さず、再び距離を詰めたゴーレムはアルマめがけてまたも拳を振るった。

体勢が崩れていて、回避することができなかったアルマはまともにその攻撃を受けてしまう。


ゴーレムの膨大な重量が拳を伝ってアルマに襲い掛かってきた。

その衝撃から体内の空気をすべて吐き出してしまい、アルマは息苦しさを感じる。

ゴーレムは追撃を行うために再び拳を振り上げた。


こんな攻撃を何度も受けられないとアルマはすぐさま立ち上がる。

またもゴーレムの拳は地面を粉砕した。

そして、その衝撃はアルマを大きく吹き飛ばす。


大きな岩に背中を打ち付けて止まる。

視界端のHPゲージはもうわずかも残っていない。


すぐに逃げなければ。

そう思った矢先にアルマの目に映ったのは大きな岩を持ち上げているゴーレムであった。


(………まさか!!)


ゴーレムはその岩をアルマめがけて投げ飛ばしてきたのだ。

とっさに岩陰に隠れようとするも遅かった。

その大岩はアルマを押しつぶし、HPを0にしてしまった。


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