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046 早速装備を………まだ問題が!?


◆ガーソン 北東門


王都グレアムを旅立ってから3日目の夕刻。

一行は鉱山都市ガーソンへたどり着いた。


そこは巨大な鉱山の一角を切り開いて建てられた町であった。

どの建物も山を切り開いたときに出たであろう石を使って建てられており、その色合いから山の一部と錯覚してしまうようであった。


当然、山に建てられているだけあって主要な通りは急な坂道となっていた。

見るからに暮らしにくそうだと感じはしたものの町の中に入ってみれば住人はそれを苦にしてはいなかった。

長年暮らしていて慣れてしまったのだろうとアルマは考えた。


ガーソンの入口は外壁の北東に設置された門のみであった。

アルマ達もその門から中へと入った。

門前は王都と同じように大きな広場となっており、数々の露店が並んでいた。


「よし。皆よくついてきてくれた!特に道中の護衛をしてくれた戦闘職には感謝を伝えたい!ありがとう!俺たちは無事にガーソンにたどり着くことができた!」


門前の広場の1角に皆が集まるとガルドがそう言った。

その言葉を聞いて皆一様に喜んだ。

アルマ自身も長い旅を終えた充実感で顔が綻ぶのを感じる。


皆の興奮が落ち着いたと感じたら再びガルドが口を開いた。


「この後、皆色々と話たいことがあることだろう。戦闘職には護衛の報酬の件もある。しかし、それは個々に対応することとする。今日はこれで解散とする!」


そう、解散を言い渡されて皆思い思いに散って行った。

アルマは最後にガルドに一声かけようと近づいた。


「ガルド。」


「ん?おう、アルマか。おつかれ。」


ガルドは他の生産職と話をしていた。

アルマが声をかけるとそう言ってアルマの方に向き直る。


「うん。おつかれ。以前言っていた武器の件だけど、ガルドの都合のいいタイミングで連絡をくれ。」


「おう、わかった。今日は遅いからもう落ちるが、明日時間があれば連絡することにする。」


「それで頼む。」


アルマは途中シードルにも同じようなことを言い、ガルド達のもとを離れた。

今日はもう夜遅い。

明日に備えてログアウトするのであった。


--


1夜明けて次の日アルマがログインするとガルドから連絡が来ていた。

どうやら昨日話していた武器に関することで相談したいそうだ。

アルマはそのメッセージを確認してガルドに連絡を取った。

どうやらガルドは生産者組合の生産室にいるという。

アルマもそこに向かうためにガーソンの町を歩き始めた。


「おう、きたか。」


「きのうぶりー。」


ガルドに言われた生産室に入るとそこにはシードルもいた。

アルマは2人に挨拶を返すと、ガルドが用意した椅子に腰かけた。


「ちょうど、鉄のことでシードルと相談していてな。おまえさん、シードルにも装備の作成依頼しているって聞いたからそのままいてもらったんだ。問題ないよな?」


「ああ、問題ないよ。」


アルマがシードルがいることに疑問を感じていると思ったのであろう。

ガルドがそう口にした。


アルマの返答を聞いたガルドは再び口を開いた。


「じゃあ、俺の方から話をするぞ。武器に関してだが以前聞いた通りレーンクヴィストの素材で強化したいという要望でいいんだな?」


「ああ。」


「素材に関してはほとんどアルマに取ってきてもらったもので事足りる。あと足りないのは鉄だ。」


「それもこの町なら手に入るんだよな?」


「まあ、そうなんだが。いやそれについては後で説明する。武器の方の強化ではレーンクヴィストのユニーク素材を使うという話だったがその場合に1つ注意が必要だ。」


ガルドはそう言うと一度話を区切った。

アルマは首を傾げながらガルドの言葉を待つ。


「レーンクヴィストのユニーク素材を使った場合、武器のベースがレーンクヴィストになる可能性が高い。その場合は出来上がる短剣はレーンクヴィストの短剣をダールベルク素材で強化したものになる。」


「それの何が問題となるんだ?」


「そうだな。現時点でダールベルクの短剣だからこそ付いている付与効果が消える可能性がある。当然、その代わりにレーンクヴィスト特有の付与効果が付くとは思うがな。」


ガルドの説明にアルマは考えるようなしぐさをする。

ダールベルク素材で付与されている効果は「頑丈」。

それが消えてレーンクヴィスト特有の効果が付く。

確かに今までと大きく変わる要素であるが、特に問題は無いように感じた。


「うん、大丈夫。それで問題ないよ。」


「そうか。なら当初の予定通りの強化方針で進めていく。とりあえず武器の方の話は以上だ。」


ガルドはそう言うとシードルに視線を向けて、言外に「次はアクセサリーの話な」と伝える。

シードルもそれを読み取ってかアルマに向き直り口を開いた。


「じゃあー、次はアクセサリーねー。」


アルマもシードルの方に向き直り、詳しく話を聞く姿勢を取る。


「アクセサリーは頭含めて3枠という話だったねー。どういう方向性でつくるー?」


「方向性?」


「んーとねー。アクセサリーにどういう付与効果を持たせるか―。例えばー、筋力上げたりー、知力上げたりー、とかー。」


アルマは再び考えるようなしぐさをした。

自分の戦闘スタイルをからどのようなステータスを上げればいいか………。


(俺のスタイルは避けながら武器攻撃、魔法攻撃、毒攻撃を行う………。どの攻撃も起点となるのは敵の攻撃を避けることだから………。)


アルマは頭の中で結論をつけるとシードルに向き直り、口を開いた。


「敏捷上昇でたのむ。」


「敏捷値ねー。りょーかいー。」


「ああ、あとアクセサリー作りにレーンクヴィスト素材とかって使えるか?」


アルマのその言葉にシードルは一瞬驚いたような表情をしたが、すぐに表情を元に戻し口を開いた。


「んー、見てみないとー、わからないなー。」


「分かった。」


シードルのその言葉を聞いてアルマはレーンクヴィストの素材を机の上に出していった。

シードルも椅子から立ち上がり、それらを興味深く吟味していった。

しばらく、静寂が部屋を包んだ。


十分に素材を観察シードルは椅子に戻ると話を続けた。


「うんー。いくつか使えるのがありそうだよー。例えばー、………。」


シードルはいくつかの素材を使ったアクセサリーの作成案をアルマに提案した。

アルマもそれを真剣に聞き、後のことを考え結論をだす。


「うん。それで頼む。」


「わかったー。あ、でもアクセサリーも1つ問題があるんだー。」


「問題?それは何だ?」


「んーとねー、アクセサリーも鉄で作ろうと思ってるのー。」


シードルはそう言うとガルドに視線を向けた。

ガルドはその視線を受け取って、口を開く。


「ここからは俺が話そう。」


その表情は真剣なものであり、どこか苦々しげに感じる。


「この町に来れば鉄が手に入る。それはいいんだが、現時点ではまとまった数が手に入らないんだ。」


「と、言うと?」


「この町の鉱山で鉄が採取されているから一応市場にも流れてはいるが、多くは現地人の鍛冶屋のところに流れていく。だから、プレイヤー………異邦人が手にできる鉄の量はすごく少ないんだ。正直、現時点の需要を満たすには遠く及ばない。」


そう言うガルドの表情から物凄く困っていることが見て取れた。


「じゃあ、ここにいても鉄武器が作れないってこと?」


「ああ、そう言うことになるな。」


ガルドはそこでいったん言葉を区切った。

そして意を決したようにして再び話始めた。


「しかしだ………。」


ガルドはそう切り出して解決策を口にした。


「異邦人が自分で鉄鉱石を取って来た場合、元々の市場にいきわたっていた以上の鉄が手に入ることになる。そうすれば俺ら異邦人の生産職のもとにも鉄がいきわたるようになる………はずだ。」


「ん?ならそうすればいいじゃないか?鉱山に入って鉄を掘ってくるだけだろ?」


「いや、どこの坑道でもいいというわけじゃない。町の主要な坑道はこの町の現地人用の鉄を採掘する場所だ。そこは異邦人の立ち入りが禁止されている。」


「え?じゃあ、結局無理ってこと?………いや、待てよ。主要な坑道?」


「察しがいいな。そうだ、この鉱山の上の方にモンスターが出現するようになったがために廃棄された坑道がある。そこであれば異邦人が自由に入って鉱石を採取してもいいとのことだ。」


「モンスターが出現する………。」


「そうだ。そこでだアルマ。おまえさんその坑道に行ってちょっくら鉄鉱石を採取してきてはくれないか?」


何時ぞやに聞いた話である。

また、鉱石を採取してきてほしいと………。

アルマは呆れたような目でガルドを見やる。


「なに。タダとは言わん。採取した鉱石の量にもよるが、今回の装備をタダで作ってやろう。」


「ぼくのー、方からもおねがいーなんだよー。鉄が無いとアクセサリー作りもー、できないんだよー。」


ガルドとシードルのそんなお願いにアルマは頭を悩ませる。

しかし、こうしていても自分の装備がいつできるかわかったものじゃない。

アルマは観念して依頼を受けることにした。


「………わかったよ。その依頼受けるよ。」


「おう、受けてくれるか。助かる。」


「ありがーとー、なんだよー。」


2人からの感謝を受けてアルマはため息をついた。


--


「そう言えば、アルマ。おまえさん公式イベントの話は聞いたか?」


2人の依頼を受けることを決めたアルマが机の上に広げたレーンクヴィスト素材を片付けているときにガルドが不意にそう口にした。


「公式イベント?なに、それ?」


「なんだ、知らんのか?もうすぐMSO正式サービス開始1カ月だろう。それを記念して運営公式のイベントが行われるらしいぞ。」


「へー。そんなのがあるのか。何をやるんだ?」


「いや、まだ内容については公開されていない。」


「何だそうなのか。それにしても既にプレイヤーって王国の北と南に分かれ始めているだろ?どこでやるんだろう?」


「さあな。未だに人の多い王都かはじまりの町辺りじゃないか?」


そんな会話をしながらも片づけが完了するとアルマは2人のもとを後にした。

目的地は廃棄された坑道。

そこで鉄鉱石を手に入れるため、まずは準備に取り掛かるのであった。


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