表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/58

029 新装備の作成依頼

本日は2話投稿いたします。(1/2)


◆王都グレアム 西門前広場


無骨で巨大な西門をくぐり抜けて4人は王都グレアムに入り込んだ。

アルマは2度目になるが始めてくることになる3人はその達成感を噛みしめて顔が綻んでいる。

それは王都の姿が遠目に見え始めたときから変わらない。


西門をくぐると広場になっている。

そこはアルマが依然来た時と変わらぬ喧騒に包まれていた。

数多くの異邦人と現地人が入り混じり、ごった返している光景はさながら現代の新宿駅のようであった。

4人は人混みを分け入って落ち着けるスペースに移動した。


「さて、王都の到着いたしましたのでこのパーティは解散となりますが紅葉さんとアルマさんはこの後どうしますか?僕とマリリーズは今後もパーティを組もうと先日のうちに話していたのですが………。」


そう、ワルテが口にした。

アルマと紅葉は顔を見合わせるが、答えは決まっていた。


「しばらくはソロでやっていくつもりだから遠慮するよ。」


「うむ。わしも同じじゃ。野良でパーティを組むことはあっても固定で組むつもりはないのじゃ。」


アルマと紅葉の返答を聞いてワルテは気落ちしたように「そうですか。」と一言こぼした。

すぐに調子を取り戻して改めてアルマと紅葉に向き直り口を開いた。


「いえ、これで最後というわけではないですからね。また、機会がありましたら是非パーティをご一緒させてください。」


そう言うとワルテはアルマに片手を伸ばした。

アルマもワルテの意図を組んで「こちらこそ。」と返答しながら右手を差し出し握手した。

続けてワルテは紅葉とも握手すると「では、失礼します。」と言ってマリリーズを伴って人混みの中に消えていった。

ワルテとマリリーズが見えなくなると紅葉がアルマの方に向き直り口を開いた。


「では、おぬしも息災でな。」


「ああ、そっちも。」


そう口にすると残った2人も人混みの中へと消えていった。


--


3人と別れるとアルマは西門前広場でガルドの姿を探した。

雑多に行きかう人々の中をアルマの小さい体がすり抜けていく。

現地人に比べて異邦人が多いのか人々の会話はレベルやスキルに関することが多かった。


ほどなくしてガルドとてるるが見つかった。

彼らは以前と同じく広場の端で露店を広げていた。

向こうもアルマを見つけたのか片手を挙げて合図を示した。

アルマはそちらに近寄ると同じように片手を挙げて挨拶を交わした。


「やっとこさ来たな。早速だが何があった?」


ガルドは挨拶もそこそこにそう切り出した。

アルマはガルドが何を指しているのか理解し、事の顛末を説明すべくダールベルク討伐時のことを思い出していた。


「んー、と言っても以前通話で話した通り成り行きなんだよね。ガルドに言われて「錫鉱石」をランフランク山にとりに行った際にプレイヤーがトレインしてきたダールベルクに絡まれてそのまま戦闘になった。で、運よく勝利できた。」


ガルドはアルマのとんでもない説明に頭を抱えながら、かける言葉を慎重に選んだ。


「大事なところが抜けているが気がするが、何というか災難だったな。どう倒したかも聞いてもいいか?」


「うん、ガルドとてるるだったらいいよ。えっと………。」


アルマは『調薬』そして『錬金』で作った毒薬と炸裂薬を使ってダールベルクを倒したことをガルド達に伝えた。

ガルドはその説明を聞いて驚いたように目を見開いた。


「なるほど。まさか『調薬』でそんな薬が作れるとはな。」


「うん。正直言って自分の種族と相性はよかったね。なんて言ったってダメージが筋力値や知力値に依存しないところがいいよね。」


「そうかもな。」


アルマのその説明にガルドやてるるも気持ちを同じくする意を示した。

アルマのランフランク山での1幕について話がひと段落すると「さて。」と言葉を区切ってガルドが話始めた。


「おまえさん、依頼していた素材は手に入ったんだろ?」


「ああ、とりあえず鉱石はガルドに、大猿の素材はてるるに渡せばいいか?」


「それでいい。」

「私も構わないわ。」


2人から答えを得てアルマは手元でウィンドウを操作する。

溜まりに溜まった鉱石素材と大猿素材を2人に受け渡す。


「あ、そうだ。………これで依頼達成でいいんだよな?」


「ん?そうだな。」


「それならこれから2人に装備を作ってもらえると思ってもいい?」


アルマのその疑問にガルドとてるるの2人は顔を見合合わせながら答えた。


「ああ、俺はブロンズ製のナイフを作るつもりだ。」


「私は大猿の皮を使って服とブーツ、あとグローブも作ろうと思っているわ。」


「それならその際にダールベルクの素材も使えないか?」


その言葉にガルド達は再び驚いたような表情をした。


「ま、そうだよな。ダールベルクを倒したんだから当然その素材も手に入れているよな。しかし、そうだなその辺は一度生産者組合に行ってから話すでいいか?」


アルマはガルドのその提案に疑問を持ちながら首を傾げた。


「元々、アルマが来たらそっちに移動するつもりだったんだよ俺はともかく、てるるの方は一度どういう防具にするのか相談する必要もあるしな。ここじゃあ、鬱陶しくて落ち着いて話もできない。」


ガルドのその説明に納得し、「わかった。」と短く答えた。

ガルドとてるるはその答えを聞くと露店を片付けて生産者組合に向けて先導した。


--


しばらく歩くと王都の生産者組合にたどり着いた、

そこはファートの組合に比べて2回りほど大きく立派な建物であった。

施された装飾も精緻なものでありどこか高級感を漂わせるその場所は入り辛い雰囲気を漂わせていた。

入口には「グレアム生産者組合」とい看板が立てられているためここが目的の場所であることに間違いはなかった。


そんなアルマの思いを知ってか知らずかガルドは堂々とその建物に入り込んでいく。

続いててるるも何食わぬ顔でその扉を潜っていった。

アルマも意を決して2人の後に続く。


中は外観とは異なり質素なものであった。

建てつけられた大きなカウンターの向こうでは何人かの組合職員が忙しなく仕事をしていた。

ガルドはそのうちの1人を捕まえると生産室の使用を取り付けた。


勝手知ったるなんとやら。

すぐさまガルドとてるるは奥に続く通路の向こうに消えていった。

アルマも遅れないように後に続く。

しばらくして、「104」と書かれたプレートが掲げられた扉の前にたどり着いた。

3人はその扉をくぐり部屋の中へと入り込む。


その部屋は鍛冶師用の生産室のようであった。

部屋の壁際には大きな製鉄炉が備え付けられており、その前には金床が置かれていた。

ガルドは部屋の隅に置かれた椅子を3脚持ってくると、それぞれに座るように促し自身も腰を掛けた。

てるるとアルマが腰かけたのを確認するとガルドは口を開いた。


「さて、まず何から話すか。………アルマ、おまえさんが手に入れたダールベルクの素材を見せてもらってもいいか?」


「ああ。」


ガルドのその言葉にアルマはインベントリを操作してダールベルクの素材を部屋中央に置かれた木机の上に置いていく。

一通りの素材を出した後、最後に「ダールベルクの暴核」を取り出した。


アルマが取り出した素材を1つ1つ吟味していくガルドとてるる。

手にとっては驚きを繰り返していたが、「ダールベルクの暴核」を見た瞬間今まで以上の驚きを表してアルマに詰め寄った。


「おまえさん、これ!?」


「わぁ、これはびっくりねぇ!」


ガルドは震える手で持つそれを大事なもの扱うようにそっと机の上に戻した。

2人は素材の確認に満足したのか再び椅子に腰かけた。


「で、どう?武器や防具の素材にできそう?」


「ん?そうだな………武器の方は「大牙」とブロンズを使うことで現状では最高以上の短剣ができるだろう。ただし、ダールベルク素材の特性なのか要求筋力値が短剣にしては高くなりそうだがな。」


「防具の方も同じ感じね。「硬鱗」を使って軽鎧を作るか、「大竜皮」を使って衣類を作るか。どちらも要求筋力値が高くなりそうよ。」


そう2人は言うとアルマの方に目をやる。

アルマはレプラコーンという種族の特性上筋力値がとても低いのだ。

だからこそ言外にアルマが使えるものは作れないと言っているような目であった。

しかし、アルマにはそれを覆す考えがあった。


「筋力値について多少であれば問題ないと思う。ダールベルクを討伐した時にこんな称号を手に入れたんだ。」


そう言うとアルマは自分のステータスを2人に見せた。

見てほしかったのは「絶対強者」の称号である。


「………ッ!!何だこれは!?」


「………まぁ!」


2人は本日何度目になるかわからない驚きを受けていた。

全ステータス値+10%。

「絶対強者」の称号効果は何度見てもあり得ないほどに強力なものであった。


「確かにこれなら可能性はあるか?………アルマ、試しにこれを装備してみろ。」


そう言うとガルドは1本のロングソードをアルマに渡した。

アルマはそれを片手で持ち、軽く振ってみる。

その様子を見ながらガルドが口を開いた。


「どうだ?重くないか?」


「んー、うん。問題ないっぽい。」


アルマは2度3度と振り上げ、振り下ろし、横に薙ぎを繰り返して体に問題が無いことを試していった。


「そうか、それならダールベルク素材を使っても問題ないだろう。」


それを聞くとてるるが目を輝かせてアルマに詰め寄った。


「じゃ、じゃあ!防具もダールベルク使ってもいいわよね!?」


「あ、ああ。」


少し押されながらもアルマはそう答えた。


「どんな形にする?一応防具としては上下の服とその上から羽織る外套、グローブとブーツ、それに帽子があるわ。それ以外にも一応肌着もあるけど肌着には今のところ防御性能をのせることができていないから今回は省くわね。」


まくしたてるように聞いてくるてるるの言葉を反芻するように整理していく。


「えっと、上下、外套、グローブ、ブーツ、帽子で6か所?」


「そうね。」


「じゃ、じゃあ最初に行っていた様に上下の服とグローブ、ブーツをお願い。」


アルマがそう答えるとパッと笑顔を浮かべて「わかったわ。」と返事をした。


「服のデザインはどうする?」


「そうだな動きやすさ重視で、上は半袖のジャケットみたいな感じで下はひざ下位までのパンツでお願い。グローブは5本の指がそれぞれ動かせるようにしてもらえるか?ブーツのデザインは任せる。」


「わかったわ。任せて!!」


てるるはアルマの注文をメモに取り頭の中でデザインを思い浮かべていった。

今ある素材で問題なく作れると考えると元気よくそう答えた。


「さて、武器にしても防具にしても大枠はそれでいいだろう。」


防具の話がひと段落したのを見計らってガルドがそう言葉にした。


「問題なのはこれじゃ「ダールベルクの暴核」。」


ガルドはそう言いながら机の上に置かれた1つのアイテムを指さした。

その顔はどうしたものかと悩んでいるのがありありとわかるようであった。


「結論から言えばこれは武器や防具のそのどちらの生産でも使える。そして使うことダールベルクの特性に合った性質を引き出すだろう。」


「ダールベルクの特性?」


「そうだ、ダールベルクの特性は岩石と狂暴。この性質を宿した武器ないしは防具に仕上がる。武器の場合は例えば『狂化』スキルを宿した武器だとかな。」


「そうね。防具に使用した場合も同じ岩石の特性が出れば硬く、重いといったところかしら。」


そう言葉にするガルドとてるるの表情は探り探りといった感じが見て取れた。

おそらく彼らもユニークと呼ばれる素材を扱うのは初めてなのだろう。


「岩石と狂暴のどちらの特性が出るかはわからないのか?」


「それはやってみないことにはどうともいえない。作る過程で方向性を決めることができるかもしれないし、出来上がったときにランダムで決まる可能性もある。」


「そうなのか。」


「ああ、だからこそ何に使うかはよく考えろ。ユニークだからなここで使わないという選択肢だってある。」


ガルドのその言葉にアルマは頭を悩ませた。


(岩石と狂暴か………そのどちらの特性も俺のスタイルとは合わないよな。辛うじて岩石の頑丈という要素が防具に着けば役に立ちそうではあるが………。でも、ここで使わないと一生死蔵することになりそうだしな。なら、ユニーク素材のテスト的な意味を込めてここで使ってしまうのもありか。それなら………。)


「よし、決めた。」


アルマのその言葉にガルドとてるるは驚いたような表情をした。


「なんだ。ここで決める必要は無いのだぞ?」


「いや、いい。ここで決めないと一生決まらない気がするから。………てるる、これをジャケット作成に使用してくれないか?」


「私は別にいいのだけど………。本当にそれでいいの?」


「ああ、いい。ユニーク素材のテストみたいな気持ちで使ってくれ。そのうえで使用した際に分かったことは共有してもらえると助かる。」


「それはもちろん。」


アルマがそう言うとてるるは驚きながらも嬉しいような表情をした。

アルマは素材を2人に受け渡そうとウィンドウを開いたところで気になることを2人に聞いた。


「そう言えば、「ダールベルクの暴核」の説明に製造契約以外の譲渡ができないとなっているが、これってなんだ?」


「ん?あぁ、そうか普通知らないよな。」


アルマのそんな疑問にどう説明するか悩みながらもガルドはゆっくりと口を開いた。


「えっとな、「契約書」というアイテムを使ってこの素材とお金でこういったものを作ってほしいと依頼者と生産者の間で契約することがある。これが製造契約だ。先日俺らからこの素材を取ってくれば装備を作ってやるという口約束も契約書を交わすことで絶対に反故にできないものになる。」


「反故にできないというと?」


「それを破った場合、罰を受ける。基本的には違約金。重い場合は懲役といったふうにの。プレイヤー間ではほとんどこの製造契約は使われない。なぜなら「契約書」というアイテムを作れるのが『書記』というスキルが必要になるからだ。わざわざこんなスキルを取っているプレイヤーはほとんどいない。」


そう言うガルドの表情からそのスキルを持つ例外を知っているのではないかと思った。

しかし、そのことはこの話と関係ないのであろう。

ガルドは次いで「契約書」が使われる場面を説明しだした。


「「契約書」はプレイヤー間ではないが、現地人と取引する際には使用されることがある。その時、双方に『書記』スキルも違いない場合は生産者組合が間に立って「契約書」を作成する。今回も俺らもおまえさんも『書記』はもっていないから生産者組合に依頼して作ってもらいことになる。」


「なるほど、わかったよ。ありがとう。」


アルマがそうお礼を口にするとガルドは「いいってことよ。」と軽く返事をした。

気を取り直してガルドとてるるに「ダールベルクの暴核」を除く素材を受け渡していく。

それでも多くの素材がアルマの手元に残ってしまった。


「なぁ、ダールベルクの素材がまだ大量に余ってるんだが、これ売れないかな?」


アルマのそんな何気ない言葉に2人は目が飛び出しかねないほど驚き詰め寄った。


「おまえさんそれを売るつもりなのか?」


「い、いくらで売るつもりなのよ?」


2人の物凄い剣幕に押されながらアルマは答えた。


「い、いや。持っていてもインベントリの肥やしにしかならないから………。」


「それなら俺らが買ってやる!!だから他にもっていくようなことはするな!!」


2人の勢いに押されるままアルマはその場で2人に残りの素材を売却することにした。

ダールベルクはアルマ1人で討伐していたためその素材の量も膨大であった。

それはアルマが2人に依頼した装備の素材を引いたとしても変わりない。

それほど多くの素材を2人は即金で購入した。


「え、これって?1、10、100………500万ギル!?いいのかこんなに!?」


「ああ、もう手に入らないユニークの素材と考えると安いくらいだ。それに一線級の特注装備は100万ぐらいざらにあるぞ。」


その言葉にアルマは戦々恐々としながらもその大金を受け取った。


先日本作品が初めて評価していただけました!ありがとうございます!

当初は読んでもらえればいいと思いながら投稿を続け、毎日アクセス数を見てはニヤニヤしていました。まさか評価されることがこんなに嬉しいことだとは思っておらず、この表示を見た時は狂喜乱舞いたしました(^^)

今後もこの評価をモチベーションに創作活動を続けていきます。読者の皆様には本作品を読んでいただき楽しいと思っていただければ幸いです<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ