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023 ランフランク山の驚異

本日ラストの投稿です。(3/3)

明日からは基本的に1日1話のペースで投稿していきます。


◆ランフランク山


セージたちと別れた後アルマは錫鉱石の取れるポイントへ向かっていた。


森林限界を超えたのか辺りは次第に背の高い木々は無くなり、ただただ岩肌だけが目立つようになってきた。

もう使われなくなった山道を登り続けていると次第に周りの岩石の色が違うことに気が付いた。


そこは地殻変動などで地下にある鉱脈の一部が隆起した場所であった。

地殻変動のことなど知らないアルマであったが、今までと違う雰囲気のその場所にここが目的の場所ではないかと期待を膨らませた。


「この辺なら錫鉱石がとれるかな?」


そんなことを考えながらアルマは自身の近くにあったひときわ大きな岩目掛けてつるはしを振るった。


―カン、カン


岩を叩く音が空に響く。

アルマが2度、3度とつるはしを振るうとシステムメッセージがアイテム入手を知らせた。


<「錫鉱石」を入手しました。>


そのメッセージに手ごたえを感じたアルマはその後も一心不乱につるはしを振るい続けた。

周りには誰一人としておらず、ただつるはしが岩を叩く音のみが響き続けた。


「錫鉱石」×52個

「銅鉱石」×88個


それがアルマがその場所で手に入れた成果であった。


(んー、結構取れたけどまだまだ足りないな。)


結構広い採取ポイントであったが目標としている「錫鉱石」×200個には及ばなかった。


(でも、この辺にまだまだ採取ポイントがあるらしいから、ここを中心に探しに行ってみるか。)


アルマはそう考えると山道を外れて採取ポイントを探し始めた。

山道を外れてからの道は今までの比ではないほどに苦しいものであった。

当たり前である。

元々人間があることを想定された場所というわけではないのだから。


時には山を下り、時には山を登り。

むき出しの岩々を避けながら山の中を歩き回る。

アルマは必死に歩き回りその後7つの採取ポイントを探し出すことができた。


(ふー、これで目標の200個は集まったな。)


8つの採取ポイントで合計227個の「錫鉱石」を採取したアルマは達成感とともにランフランク山を下りようとした。

そのときである。


進行方向の岩が動いたような気がした。

その不自然な出来事にアルマは身動きを止めその岩を注意深く観察した。


―ガタ、ガタ


間違いなくその岩が動いた。

今は他の岩が邪魔になってその動いた岩の先しか目にできないが、確かに動いていたのだ。

緊張する面持ちでじっとその岩を観察し続ける。

岩は少しずつ動きながら影から出てきた。


トカゲであった。

それは頭や背中、尻尾に手足、至る所に大小さまざまな岩石を付けたトカゲであった。


(あ!!ロックリザードだ!!)


それは話に聞いていたロックリザードの特徴と一致していた。

そうだ。

いつの間にかアルマはロックリザードが出現するという上層に踏み入っていたのだ。


(早く離れないと………。見つかる前に………。でも………。)


今いる場所から下層に降りるためには目の前のロックリザードのそばを通り過ぎなければならない。

だからと言って迂回しようにも、辺りはいつロックリザードが出てもおかしくないのだ。

そんな思いがアルマがそこから動くことを阻害していた。


その間にも目の前のロックリザードは悠々と歩き続けている。

幸いなことというべきかこのロックリザードはこの場を離れはしないものの、今アルマがいる地点に近づこうともしてこなかった。

だからこそ隠れ潜んでいるアルマにはしばらく気が付かないだろう。

アルマが岩陰で動けずにいると不意に視線の先に違和感を感じた。


―ガタ、ガタ


2匹目のロックリザードだ。

先ほどまで見ていたロックリザードがいる地点とは違う岩陰から別のロックリザードが現れたのだ。

2匹は互いに敵対することもなく近づいたり、離れたりを繰り返しながら、悠々と歩き、時にはそこらにある岩石を齧ったりしていた。


(ロックリザードは岩を食べるのか………。)


そんな呑気なことを考えながらも緊張感は少しも緩まない。

未だにこの岩陰から出れずにいる現状は変わらないのだ。

むしろ2匹目の登場でより絶望的ともいえよう。


その状態がどれだけ続いたことだろう。

もう意を決して戦いを挑もうとも、イチかバチか駆け抜けようかとも考えもしたがどれも坑道に移せずにいた。


そんな時である。

不意に人の声が聞こえた。

場所はアルマがいる地点より上層からである。


アルマはより見つかりにくくなるように岩陰にその小さな体を滑り込ませて様子を伺った。

人の声は次第に大きくなり、2匹のロックリザードも反応しだした。

ロックリザードは威嚇するように鳴き声を上げ、垂れていた尻尾を高く上げた。


「………おら!はやく逃げるぞ!!」

「………待ちなさいよ!!」


声は大きくなりアルマの耳にもそうはっきり聞こえた。

好奇心勝てず少し岩陰から顔をのぞかせると、そこには冒険者組合で喚いていたディエゴとそのパーティがいた。

戦闘を走るディエゴの姿は傷だらけであり、その後ろに続く魔術師の女性、神官の女性も同じくボロボロの姿であった。

その姿は今まさに戦闘に負けて逃げ帰ろうとしているのが見て分かった。


(………ん?一人足りない?)


冒険者組合で見たディエゴのパーティは4人だったはずだ。

そう、大きな盾を持ったタンク風の男性がそこにはいなかった。


(………死に戻ったか?)


無様に逃げるディエゴを眺めながら岩陰に隠れてそんなことをアルマは考えていた。

そうこうしている間にディエゴは2匹のロックリザードに接敵した。

ディエゴ達はそれに気が付いていなかったのか完全に不意を打つ形でロックリザードが振るった尻尾が神官の女性の腹に命中した。


「あっ!!」


そんな声とともに神官の女性の体がポリゴン上に砕け、光となって散って消えてしまった。

またも一人死に戻ったのである。


「くそ!!」


ディエゴはそんな様子を片目に見ながら猛然と駆け下りていく。

魔術師の女性もそれに続こうとするも、乱雑に落ちている岩石に足を取られて思ったように前に進めない。

そうこうしている間に魔術師の女性のすぐ近くにロックリザードが近づき岩石に覆われたその尻尾を一閃した。


「っく!!」


その1撃は魔術師の女性のHPを0にしたのであろう。

神官の女性と同じく光となって消えていく女性をアルマは岩陰から覗き見ていた。

ディエゴはそんな様子を気にも留めず1人で山を下って行ってしまった。


―ドン、ドン


地を響かせるような音が当りに響いた。

ディエゴ達の後を追うようにまだ山の上から聞こえる音は次第に近づいているのが分かった。


(………まだ、何か来るのか?)


その音は時がたつ毎に大きくなり今では周りの小石を揺らすほどのエネルギーを孕んでいた。

その場にいたロックリザード達も何かを感じ取ったのだろう。

皆一様に逃げ出し、その場を離れていった。


アルマは岩陰で「ゴクリ」と生唾を飲みそれを待った。

それは危機感の欠如かそれとも好奇心ゆえか………。

次第に大きく、存在感を放つその音の主を待ち続けたのだった。


―ドン、ドン


それは大きな恐竜のようであった。

所謂ティラノサウルス。

大きく太い足は地を踏みしめ揺らし、大きな顎と鋭い牙はどんなものでもかみ砕かんとする迫力を持っていた。

それが図鑑のなかのティラノサウルスと違うところはロックリザードと同様に体の至る所に大小さまざまな岩石をつけていることだった。


アルマは見た瞬間に理解した。

これがモブのモンスターなわけがないと。

これこそがユニーク。

ダールベルク<<・・・・・・>>なのだと。


(あいつら!なんてもんを連れてきてんだ!!)


事ここに至ってアルマは確信した。

ディエゴ達は無謀にもダールベルクに戦いを挑み、敗走したのだ。

そして逃げるディエゴを追いダールベルクがここまでやってきたのだ。

焦る気持ちを抑えながらアルマは岩陰で気配を消すことに努めた。


「ガーーー!!!!」


ディエゴ達獲物を逃がしたことを惜しんでかダールベルクが大きく叫んだ。

その方向は周りの岩という岩を大きく揺らすほどであった。

体の芯から響くその方向に思わず気圧され、後ずさってしまう。

その時。


―カタ


アルマの足がほんの小さな石を蹴飛ばしてしまった。

その小石が発した音に反応したのかダールベルクはアルマの方を睨めつける。

赤く血走ったその双眸は確かにアルマを見据えていた。


(な!!見つかった!!)


焦りが全身を駆け巡る。

ダールベルクが1歩また1歩とアルマに近づいてくる。


(くそ!!)


見つかってしまっては仕方がないとイチかバチか逃げるために岩陰から飛び出した。


―ブン………ッガン!!


その直後、ダールベルクが巨大な岩の生えたその大きな尻尾を振った。

先ほどまでアルマがいた岩陰はその尻尾が生み出すエネルギーに耐え切れず吹き飛ばされてしまった。

飛び散る岩や石に押されるようにアルマも吹き飛ばされる。

転がりながらその勢いを殺し、姿勢を整えてダールベルクを見据える。


(ダメだ!ダメだ!!)


その1撃の威力を見て確信する。

アルマの紙のような装甲はその攻撃の前に何の障害にもならないことを、アルマの雀の涙ほどのHPはその攻撃を前に一瞬で散ってしまうことを。


攻撃を避けられたことが分かるとダールベルクは再びその尻尾を振った。

その暴力に巻き込まれた岩石が無残に砕けて吹き飛ぶ。

続けざまダールベルクは別の岩石めがけて尻尾を振るった。

結果は同じ的となった岩石は大きく弧を描いて吹き飛んでいく。

三度ダールベルクは尻尾を振った。

本来は固く重い岩石もあたかも小石でも飛ばすかのような勢いで遠くへと吹き飛んでいく。


アルマはダールベルクが何をしているかわからなかった。

最初の攻撃を除き、その後の度重なる攻撃はいずれもアルマと離れた岩石を飛ばす結果にしかならなかったからである。

しかし、そんな疑問も今は考えても仕方がないと思考を断ち切るとすぐさま逃げの姿勢を見せる。


アルマがダールベルクから距離を取ろうとランフランク山を下山する方向に進もうとすると先ほどまでなかった岩石に阻まれてしまった。

辺りを伺うとその場をぐるりと囲うように岩石が積み上げられていた。

アルマが今いる場所が袋小路になってしまっていた。


その時気が付いたのである。

ダールベルクの真の目的に。

あいつは岩石を吹き飛ばして逃げ道を塞いでいたのだ。


アルマは忌々しげにダールベルクを睨みつける。

ダールベルクは勝ち誇るように「グルルル」と低く唸った。


(戦うしかないのか?)


逃げ道を塞がれたアルマには他の手段が思い浮かばなかった。

しかし、勝てるという確信はおろか僅かな勝機すらも見えなかった。


「くそ!!」


もう破れかぶれといったふうにアルマは腰のナイフを取り出した。


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