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022 彼らの目的は?

本日投稿2話目です。(2/3)


◆ランフランク山


その後、残りの「大猿の大毛皮」分の大猿15匹を危なげなく討伐したアルマは遂にランフランク山に挑むため山道の入り口に立っていた。


冒険者組合で聞いた話ではどうやらこのランフランク山は相当前に鉱山として利用されていたらしい。

しかし周りの森林のモンスターが多く、またこの山自体も多くのモンスターが出ることからそこまで活気のある場所ではなかったようだ。

この山で取れる錫鉱石や銅鉱石は他の鉱山でも取れることもこの場所が重要な場所にならなかった理由なのだろう。


そんな小さいながらも運用されていた鉱山もダールベルクというユニークモンスターの出現で廃れてしまったらしい。

それまでは間引かれていたモンスターも増えていき、今では大きなモンスターの領域として地元の人たちですら立ち入らない場所となっていた。

それでも山の頂上付近にはかつて使用されていた坑道の入り口がありその奥にはいまだに錫鉱石と銅鉱石が大量に眠っているという。


プレイヤーの視点としてみてみればはじまりの町に近い場所でより強い装備、ブロンズ装備の原料となる錫鉱石と銅鉱石があるということでおいしい狩場なのかもしれない。

それもダールベルクというユニークモンスターを討伐すればのことである。


(まぁ、今日は坑道に入り込まずに山の麓付近で地上にむき出している錫鉱石を採取するだけだから関係ないんだけどね。)


そんなことを考えながらアルマは早速山を登ろうと1歩踏み出した。


案の定というべきか、山道は相当に険しいものであった。

それもそのはずである。

この山道はこの山が鉱山として利用されなくなってから放置されていたのである。

当然整備などされているわけもなく、所々落石で道が塞がっていた。

時には飛び越え、時には狭い隙間を掻い潜り、時には迂回して目的の錫鉱石が取れるポイントを目指す。


アルマがそうやって登山を始めてから30分ほどが経過したころ、前から人がやってくるのが見えた。

それはプレイヤーのパーティで会った。

何故プレイヤーとわかったかと言うとその中に見知った顔を見つけたからである。


170cm位の身長に金髪碧眼、顔立ちの整ったヒューマンのセージである。

隣にはあの時一緒にいた妹さん、ルナの姿も見える。

他にも3人ほど知らぬ顔がいたが彼らがセージのパーティメンバー何だろう。

向こうもアルマに気が付いたのか笑みを浮かべながら片手をあげて挨拶をしてきた。


「こんにちは。久しぶりですねアルマさん。」


「おう、久しぶりだな。セージ。」


そう挨拶を交わしながらセージの姿を観察する。

腰にしたロングソードは以前と変わらずだが身に着けた鎧は銅製の金属鎧に変わっていた。

それは胴、腰、手、足と顔を除くすべてを覆っておりその見た目から騎士を彷彿とさせた。


「こんにちは。セージさん。」


横からルナも声を出してきた。

彼女の装備も以前までと打って変わって強そうなものになっていた。

以前は始めたばかりということもあり初心者装備に身を包んでいた彼女だが、今は身ぎれいな布性の服に身を包み、上から紺色のローブを羽織っていた。

手にする杖も木製であることに変わりはなかったが、深い色をしたその杖は最初のものとは違うことを物語っていた。


「うん、ルナも。こんにちは。」


そんな風にルナに返事を返すと何が可笑しいのかくすくすと笑いだした。


「なんかおかしいか?」


「いえ。敬語やめたんですね。」


ルナの言葉に一瞬キョトンとするもすぐに言いたいことは理解できた。


「ああ、他のプレイヤーにゲームの中でまで堅苦しくすることは無いって言われてな。戻したほうがいいか?」


「いえ、そのままで大丈夫ですよ。ね?お兄ちゃんもいいよね?」


「あぁ。アルマさんの子供っぽい見た目で敬語というのは、違和感があったのでちょうどいいかもしれませんね。」


ルナが同意を求めるようにセージに声をかけるとセージはそんなことを口にした。


「子供みたいな見た目だと言うなら、敬語じゃないほうが違和感あるんじゃないか?」


「んー、どうでしょうね?アルマさんは敬語でないほうがあっているように僕は感じますね。」


人の好い笑顔を浮かべながらセージはそんな感想をアルマに伝えた。

セージとルナとそんな会話をしていると横から声がかかった。


「セージさん、そろそろ私たちにも紹介してほしいのですが………。」


気弱そうにそう口にするのは法衣に身をまとい首からは聖印を下げた女性であった。

その女性の見た目は短い茶髪のに濃い色の瞳をし、顔はどこか幼さを残すようであった。

160cmと高くも低くもない身長に丸い耳は彼女がヒューマンであることを示していた。


「そうですよー。3人だけで会話を弾ませないで下さーい。」


そう口にしたのはアルマと同じくらい小柄な女性であった。

半そで、短パンの上からは革製の軽鎧を身に着け、腰にはナイフを下げているその様は所謂斥候系の役割を持ているのであろう。

黒髪に黒い瞳の顔に浮かべ満面の笑みは元気いっぱいであると物語っているようであった。


「………うむ。」


1歩下がったところで前2人に賛同するかのようにただ頷いたのは低い身長に髭面のドワーフの戦士風の男であった。

セージと同じように銅製の全身鎧に身を包み背中には大きな盾を腰にはメイスと呼ばれる打撃武器を持っていた。

鎧の隙間から覗き見るその表情は険しいながらも特にアルマに敵意を向けるものではなかった。


「ごめん。こちらはアルマさんと言って昨日ルナを迎えにファートに行ったときにたまたま知り合ったんだ。」


パーティメンバーから三者三様に苦言を言われたセージはそう謝りながらアルマのことを紹介した。

それに続くようにアルマは3人に向き直り自己紹介をした。


「セージの紹介通り、アルマという。種族<<レイス>>はレプラコーンだ。役割としては戦闘も生産も行っている。よろしく。」


アルマがそう口にしたのを確認するとセージは次にアルマの方に向き直り、3人を順々に手で示しながらアルマに紹介した。


「彼女たちはルナと同じく僕のパーティメンバーです。まず、彼女はパトリシア。」


セージは神官風の女性を手で示してそう口にした。

すると紹介された女性はアルマの方を向いて口を開いた。


「ご紹介に与りましたパトリシアと申します。見ての通り種族<<レイス>>はヒューマンでパーティ内での役割は支援職となります。どうぞよろしくお願いいたします。」


そう言うとパトリシアはアルマに対して1礼をした。

それを確認してセージは次に小柄な女性を手で示して口を開いた。


「えっと、こちらがティアナです。」


「はい!ティアはティアナって言います!種族<<レイス>>は小人族で役割は斥候!よろしくね!」


セージに紹介されるとティアナは片手を挙げながら、元気いっぱいにそう自己紹介した。


「ははは。最後に彼がホルストと言います。」


セージは鎧の男性を手で示してそうアルマに紹介した。

それを聞くとアルマはホルストに向き直り彼の言葉を待った。

彼もそれを察してか静かに口を開いた。


「………うむ。俺はホルスト。………見ての通りドワーフのタンクだ。」


ホルストはそれだけ言うとまた黙ってしまった。


「あー、ホルストは無口だけど怒っているわけでは無いので気を悪くしないであげてください。」


セージが補足するようにそう口にした。

アルマは「大丈夫」と伝えるとセージも安心したのか胸をなでおろす。


セージからパーティメンバーを紹介してもらったがなかなか癖の強い人たちに見えた。

慇懃なパトリシア、天真爛漫なティアナ、無口なホルスト。

それぞれがロールプレイなのか普段からそうなのかは判断できなかったがまとまりそうにない人たちがよく1つのパーティにまとまったなと感心していた。


そんなことを考えているとティアナから声がかかった。


「ねーねー、アルス君。聞いてもいい?君どうやってここまで来たの?」


「ん?どうやってって、ファートから森を越えてきたけど。」


「んー、でもここの森って適正レベル7以上だよ?アルス君そこまで高い様には見えないなー。」


「こら、ティアナ。」


ティアナのそんな侮辱とも取られかねない発言にセージがダメ出しをする。


「いや、いいよセージ。実際、俺のレベルは5で適正レベルには達していないから。」


「へー、すごーい!レベル5の短剣使いがランフランク山まで来れちゃうんだ!」


ティアナの言葉は一見すると煽っているようにも聞き取れるが、その表情からは素直に称賛しているんだということが読み取れた。


「いや、本当にすごいですよレベル7以上が適正と言ってもパーティでの話ですからね。レベル5のソロでこれるなんてよほど上手いんですね。」


ティアナの言葉を肯定するようにセージもそうアルマを称賛した。

2人から褒め称えられてアルマは少し気恥ずかしそうにした。


「でも、装備はちゃんと整えたほうがいいと思いますよ。それまだ初心者装備ですよね?」


「え?」


セージにそう指摘されて思い出した。


(王都で装備整えようと思っていたの忘れてた………。)


当初の予定では王都に着いた後は王都の森で素材を集めて装備を伸長する予定であったが、急遽ガルドとてるるの依頼を受けてファートにトンボ帰りすることになったために防具に関しては初心者装備のままであった。


「………い、一応、素材を集めたら作ってもらえることになっているよ。」


装備を変え忘れていたことを隠し、あたかも予定通りですといったふうにセージにそう説明した。


「そうですか。」


「そう言えばセージたちはランフランク山に何しに来たんだ?やっぱり錫鉱石か?」


それでも訝しげに見つめるセージから逃げるようにアルマはそう話題を反らした。

セージも表情をもとの人の好さそうな笑顔に戻して答えてくれた。


「はい、錫鉱石目当てですね。ここで錫鉱石を集めて金属装備をブロンズにする予定です。そう言うアルマさんも錫鉱石目当てですか?」


「ああ、錫鉱石と後ついでに銅鉱石もな。」


「気を付けてくださいね。調子に乗って上の方に行き過ぎるとロックリザードが出てきます。そこまで行くとレベル10以上は必要になります。」


セージは真剣な顔をしながらアルマにそう注意を促した。


「ああ、その辺は俺も聞いている。さらに頂上にはダールベルクってネームドがいてこれはβ時代に誰にも倒せなかったってこともな。」


「………はい。」


セージは苦々しげに表情を崩してそう口にした。

ダールベルクに何やら嫌な思い出でもあるかのようだ。


「どうかしたのか?」


「………いえ、僕もβ時代に挑戦していたのでその時のことを思い出していました。」


「へー、そうなのか。どんな感じだった?」


「そうですね。当時はレベル上限が10だったので上限まで行った人たちでパーティを組んで挑んだんですが、完敗でした。こちらの攻撃はすべてはじかれる、向こうの攻撃は一撃もらうと瀕死、辺りどころが悪いと一発で死亡でしたね。」


「そ、そこまで強いのか。」


「はい、なので適正レベルも15以上とも20以上とも言われていますね。」


ボス級のモンスターとは言えそれほどに強いモンスターがはじまりの町の近くにいることに驚きながらもどこか他人事のように聞いていた。


「まあ、でも俺には関係ないかな。今回は頂上はおろか上層エリアにも行く予定はないしな。セージは強くなったらリベンジするのか?」


「そうですね。できればしたいですが、ユニークモンスターは早い者勝ちなので僕たちの準備が整う前に他の方が討伐してしまうかもしれません。」


「あ、そうか。」


「はい。」


その後もランフランク山について情報共有をした後、セージたちパーティはファートに戻るために下山していった。

アルマは錫鉱石の取れるポイントに向かって再び登山を開始した。

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