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021 勝手知ったる森の中

本日も3話投稿します。(1/3)


◆ランフランク山麓の森


冒険者組合での騒動の後、アルマはいくつかの依頼を組合で受けてファート北の森に訪れていた。


(まずは、てるるの依頼の大猿素材からそろえるか………。)


そんなことを考えながら慣れた足取りで森の中へと進んでいく。

もうすでに3度目になるこの森はアルマにとって庭とまで言わないまでもそこそこ見知った場所であった。

だからこそ特に緊張なんかもしないでも歩き回ることができた。


アルマは道中、薬の素材となる薬草を採取しながら森の奥へ奥へと入り込んでいった。

森の浅いところでは小猿が多く出現し、たまに角兎や暴れ鶏が現れた。

それらを危なげなく討伐しながらアルマは目的の大猿を探し、森の深いところへ向かっていった。


以前、大猿に襲われた場所に着いた。


(この辺にはいないな………)


その周辺に大猿はいないか、もしくは大猿の痕跡となるものが無いかを注意深く確認していく。

しかし、それを示すものは見当たらなかった。


(以前、襲われたのは本来の縄張りからはぐれたやつだったのか?それだとすると相当運が悪かったな………)


この場に大猿の痕跡が無いとわかるとそんなことを考えつつさらに森の奥へとアルマは進んでいく。

次第に鬱蒼と生い茂る木々の緑が濃くなってきた気がする。

ランフランク山に近づきつつあるのか、足場は斜面がきつくなってきた。

そんな時だった………。


(………いた。)


最初に大猿を見つけたのは以前大猿に襲われた場所よりも大分ランフランク山に近い場所だった。

そこには3匹の大猿が各々好き好きに活動していた。


(………大猿は群れを作るのか?それなら以前倒した大猿はやっぱりはぐれだったみたいだな。)


そんなことを考えながらアルマは木々の影に隠れ、以前同様に毒を使って倒すためにインベントリから毒薬を取り出した。

薬瓶の蓋を開け水魔法を使用して毒薬を宙に浮かせる。

3つの毒球を作り上げると「【シュート】」の掛け声とともに大猿目掛けてその毒を飛ばした。

完全に虚を突く形となったため大猿3匹はその攻撃を避けることができなかった。

3匹とも顔面で毒球を受けると、1舜驚いたように飛び跳ね、その後は顔に着いた異物を取り払おうとしきりに両腕で顔こするしぐさをした。


その様子を見ながらアルマは大猿の注意がアルマに無いことを確信する。

すぐさま身を屈め、茂みの中を移動して大猿に見つかりづらくする。

しばらくして濡れた顔をこすることを止めた3匹の大猿は怒ったように血走った目で辺りを伺った。

しかし、その時にはアルマは茂みの中に隠れ、潜んでいたため大猿に見つかることは無かった。


大猿は毒が効いているのかふらふらとした足取りを取りながらも苛立ちを発散するかのように腕をやたらめったらに振り回し暴れた。

その攻撃は毒で弱っているとは思えないほどに激しいものであった。

時に地面を揺らし、時に木々をなぎ倒しながら縦横無尽に暴れる大猿をアルマは少し離れた茂みの中から観察していた。


(………毒の量が足りないか?………ならば。)


大猿の様子を伺いそう考えたアルマはもう一度インベントリから毒薬を取り出し、水魔法を使って打ち出す準備をした。

残念なことに暴れている大猿の顔面にピンポイントで毒球をぶつける技術をアルマは持ち合わせていなかった。

そのため、その状態で長い時間を待っていた。

それは例えるなら戦場で獲物を狙うスナイパーのようであった。


1分、2分………どれだけの時間がたったかわからなかった。

体感では10分とも1時間ともとれるほどの時間大猿は暴れまわっていた。

遂に息切れを起こしたのか大猿の動きが鈍くなった。


アルマはその隙を逃さず、大猿の顔面目掛けて再び毒球を飛ばした。

結果は1回目と同じように大猿の虚を突く形で命中した。

毒が効いたのか、それとも水魔法の威力が効いたのかはわからなかったが大猿はその攻撃を受けて倒れ伏した。

3匹の大猿すべてがである。


その後もしばらく茂みの中から倒れた大猿を見ていると3匹の大猿は順々に光となって散って消えた。

今度こそ毒でその体力を削り切ったのであろう。


「よし!!」


アルマは完勝ともとれるその成果にガッツポーズを取り喜びを表現した。

勝利の余韻に浸るのもつかの間、アルマはすぐさまインベントリを確認した。

そこには「大猿の大毛皮」が3つ入っていた。

ガルド達の予想通り毒によって討伐した場合は獲物の体を殆ど傷つけないため高品質のものが手に入りやすいようだ。


「ガーーー!!」


インベントリを確認しているアルマの耳にそんな叫ぶような声が聞こえた。

場所はアルマの後方からである。

驚きそちらを確認すると、2匹の大猿がアルマめがけて地を駆けてきていた。

アルマはすぐさま1つの毒薬を取り出し、「【フロート】【ボール】【シュート】」と唱えて1匹を狙って毒球を打ち出した。

大猿はまっすぐ進んでいたからか、勢いよく飛んできた毒球を避けられずに顔面で受けた。

それにより1匹の大猿が走る速度は緩やかになったもののもう1匹変わらず勢いをつけてアルマとの距離を詰めた。


距離を詰めた大猿はその勢いのまま腕を振り上げ、アルマめがけて振り下ろした。

アルマは小柄な体を生かしてそれを避ける。

2度、3度と続く大猿の攻撃を華麗によけ続けるアルマ。

そうこうしている間に毒球をぶつけた大猿がアルマとの距離を詰めてきた。

2匹の大猿がアルマを狙うも所詮は獣。

連携らしい連携などできずに体をぶつけあいながらアルマに向かって攻撃を続けていた

当然そんな攻撃が効果的に機能することは無く、アルマはこれによりできた隙をついて再びインベントリから出した毒薬を毒球を受けていない大猿めがけて打ち出した。


攻撃に夢中な大猿はアルマの攻撃に気が付かずにそれを顔面で受けてしまう。

2匹の大猿は両方ともが毒を受け足取りが悪くなった。

この隙をついて大きく距離を離したアルマは再三にわたりインベントリから取り出した毒薬を水魔法を使い2匹の大猿めがけて打ち出した。

この攻撃を受けて最初に毒球を受けた大猿は仰向けに倒れてしまった。

もう1方の大猿もその後しばらく暴れたかと思うと、後を追うように倒れ伏してしまった。


離れたところで倒れた大猿を観察し続けていたアルマだが、その大猿が光となって散って消えるのを確認すると緊張の糸をほどいた。

またもや完勝である。

しかも次は不意打ちではなく正面切っての戦闘で大猿を見事打ち取って見せたのだ。


「よし!よし!!」


アルマはひとしきり喜ぶとインベントリの確認、ステータスの確認を行った。


(お。種族レベルが上がっている。これでレベル5か………。)


トート街道を進み、ここまで森の中を進み、今大猿との戦闘を経てついにレベルが上がった。

そのことに喜びながらも、種族進化までまだ半分あるのかとこの先の苦労を考えて肩をすくめていた。


(んー。完勝しているとはいえ格上との戦闘だからな、結構経験値の効率はいいと思うんだがそれでもまだレベル5か、トップの人たちはレベル7ってどんだけ戦闘しているんだろう。)


そんな風にトッププレイヤーに呆れに似た素朴な疑問を持ちながらもアルマはいつかは自分もと思いながら森の探索を再開した。


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