投資と投機と賭博の違いについて
貯蓄の運用方法には大きく分けて二つ方法が――否、妥協すると三つ方法があります。
投資。
投機。
賭博。
正直賭博を運用方法として列挙するのには抵抗があるのですが、賭博で運用している方もいますから無視できません。
投資、投機、賭博は全く異なる運用方法であり、その違いを正しく理解していないと、足元をすくわれることが間々あります。
皆さんは、違いを理解しているでしょうか?
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最初に簡単な賭博から。
読んで字のごとく、賭け事――つまりギャンブルです。
最近話題のIRに限らず、競馬、競輪、競艇、パチンコ、スロットのような一般的なものから、ロトやtotoのようなくじも列記とした賭博。
日本には合法的な賭博場があふれています。
仕事柄海外に渡航する機会に恵まれた経験から言えば、はっきり言って異常です。
日本人は、イギリス人に負けないほどのギャンブル大好きな国民性がある、と断言されても仕方がないレベルでしょう。
僕たちは異常な世界を日常としており、今更IRごときでギャンブル依存症云々を論議するなどナンセンス。
もう手遅れなのです。
ギャンブル依存症の問題はIRだけ限らず、既存の合法的賭博まで拡大して議論されるべきでしょう。
このような国民性ですから、資金運用をするとき賭博とは何かを忘れてしまい、危険な選択をしてしまう可能性があります。
では賭博とは、なんでしょうか。
それは、勝者の総取りです。
有利不利によってオッズと呼ばれる利率を変化させることで、公平性を保とうとしていますが、勝者の総取りという本質は維持されています。総取りという一発逆転があるのため人の掻き立てられますが、ロマン故に勝ちを持続するのは困難です。
僕も競馬はそこそこやりました。
複勝、三点複、三点単を複雑に組み合わせることで確率を上げ、何度か大穴を当てたりしても、勝ち以外は全て失うシステムでは、獲得した賞金を維持し続けるのは困難でした。
最終的な収支は、+-0より少しマシという程度で足を洗いました。
賭博は趣味で嗜むべきものであり、資金運用では決して選択してはいけないと理解しておくべきでしょう。
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投資と投機の違いについて、どうでしょう?
この二つは、勝者の総取りの論理で動いていません。
投資と投機で取引される商品の価値は、市場が決定します。
市場とは取引にかかわる多くの人々、あるいは政府の思惑、最近ではAIに組み込まれた方程式が集まった場所であり、誰か一人の意志ではありません。
詳しく語り出すと大論争が勃発するので、この辺にしておきます。投資と投機は、賭博と異なり失敗しても価値がゼロにならないと理解すれば問題ありません。
投資と投機の違いは、運用期間の違いです。
投資は中長期的に運用する手法であり、運用対象の短期的な価格の上がり下がりは誤差としています。投資信託の商品はこの典型です。
投機は極めて短期間での取引を繰り返す手法であり、短期的な価格の上がり下がりが全てです。
短期売買の株取引やFXはこの典型でしょう。
賭博のように勝者総取りではないため運用資金がゼロにはなりませんが、賭博的要素が強いため、投資よりもリスクが高いといえるでしょう。
どちらが優れているとは言いませんが、このエッセイで語りたいのは投資です。
その理由は、投資ならば金融の初心者でも利益を得られるから。
少なくとも僕は、投機で勝てる自信がありません。
このエッセイは、僕の実体験や身近な出来事に触れながら、初心者が最低限知って欲しいことを描いていく予定です。
今回のところは、この辺で。