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……そうだ、投資を始めよう!  作者: 大本営
長期投資あれこそ
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数字を把握しよう! 

 こんにちは、大本営です。


 今回の御題は「数字を把握しよう」です。

 世の中には数字が溢れかえっていますが、ある数字と比較するのが僕の習慣になっています。

 この数字を把握していれば、世の中はある程度渡っていくことができるでしょうね。


 学校では教えてくれない。

 親ですら教えてくれない。


 否、数字は知っているけど意味を理解していないというべきか。

 そんな数字のお話。

 たった二つの数字を把握していれば、世の中を大抵渡っていけます。


 なぜそういえるのか?


 お前は教師よりも頭が良いと主張するとでも言いたいのか! と激怒する新社会人の方もいるかもしれない。

 彼らは知っている――いや聞いているけど意味を理解していないだけ。

 頭の出来の良し悪しと、意味を理解して行動するかは別次元であり、だからこそ「金持ち父さんと貧乏父さん」という物語が生まれるのです。

 今回はそんなお話。


 自分でハードルを上げ過ぎた気がするけど、騙されたと思いながら最後まで読んでいただければ、見える世界が変わると思う。




 ◇



 人の歴史は数字の歴史といっても差し支えなく、数字を支配する者が世界を支配するといえますね。


 例を挙げるならば

 黄金比 横の比率がおよそ1:1.618(約5:8)

 ピタゴラスの定理(三平方の定理) 3:4:5


 黄金比は古代ギリシャの数学者エウドクソス(前4世紀頃)が発見したともいわれ、有名な建築例としてはアケメネス朝ペルシア帝国の都ペルセポリスは黄金比を元に設計したともいわれます。ペルセポリスの美しさと偉大さは都を訪れた異民族に帝国の威光を見せつけ、帝国支配をより強固にしました。

 古代王朝時代のエジプトで築かれたギザのピラミッドは、3:4:5という数字を元に造営されたともいわれます。古代王朝時代のエジプトは遥か昔に滅びましたが、唯一現存する世界の七不思議としてファラオの威光を現代人に見せつけています。


 ペルセポリスやギザのピラミッドは極端な例ですが、数字を使いこなすものが世界を支配した最も分かりやすいケースでしょう。


 では、現代日本人は理解しておくべき数字ですが、


 日本国債券10年 年利回り

 米国10年国債 年利回り


 個人的には、これに尽きると思ってます。



 投資をしていると、いくつもの指数や数字と触れる機会があります。

 重要なものをいくつかあげれば、消費者物価指数(CPI)とか米国 ISM製造業購買担当者景気指数(PMI)とか国内総生産(GDP)とかです。積立投資に全ブッパしたら、後はなにも考えないのであれば別ですが、投資をしているとそのうち否でも覚えていきます。

 これらは投資をする上では重要ですが、実生活ではそこまで重要とまでは言えないでしょう。



 債券じゃないか!

 来たよ、債券好きの悪い癖!!



 ご指摘は理解しますが、冷静になって聞いて欲しい。

 以前にもエッセイで触れましたが、米国債券は安定性・発行量・利息クーポンにおいて他の追随を許しません。米国にはS&P500やNYダウもありますが、これらは株式であるため元本保証はありません。一方で米国10年国債は債券である以上、債務不履行デフォルトしない限り元本が保障されます。



 債券とは元本保証がされている数少ない投資商品であり、日本国債券10年と米国債券10年は債務不履行デフォルト確率が低いのです。

 日本国債券は為替リスクがないというメリットがありますが、米国債券よりも利息クーポンで劣ります。

 リスクが受け入れられない人が唯一購入できる投資商品に個人向け国債がありますが、個人向け国債の利息クーポンは日本国債券10年の年利回りがベースとなっています。インフレ率を気にしないならば、日本国債券10年は元本が保証された最もリスクが少ない投資商品です。また為替リスクを受け入れるならば米国10年国債は、日本国債券10年の次にリスクが少ない投資商品ともいえるでしょう。少なくとも利回りの指標としてこれ以上分かりやすい数値はありません。


 日本国債券10年=ローリスク・ローリターンであり、これ以上ローリスクの投資商品はなく、仮に日本国債券10年よりも利回りが低い投資商品と接することが有ったら、そのような商品に投資する価値はないのです。日本国債券10年以下の利息クーポンを支払えない地方債券を購入するなど狂気の沙汰といえるでしょう――おっと失言。


 また米国10年国債=ミドルリスク・ミドルリターンであり、これ以上有利なミドルリスクの投資商品はほとんどないでしょう。大抵の投資家はミドルリスク・ミドルリターン以上を狙うと思うので、米国債券10年と比較して利回りの良し悪しを判断する指標になりえます。米国10年国債の利回りに満たないハイリスク・ハイリターン商品の購入など、一顧だにする必要はありません。



 2026年4月3日現在、日本国債10年の市場年利回りは、約2.39%

 2026年4月3日時点の米国10年国債利回り(長期金利)は、約4.34%



 貯金ではインフレに勝てないから投資をはじめよう! と主張するサイトやメディアは数多あります。この指摘は正しいですが、インフレに勝つためには株式投資をするしかないという主張は、半分正しく半分は正しくない。

 国債の利回り(クーポン)をインフレ率以下に抑えて発行できれば、債務償還時に借り入れた価値以下で返済できます。債券とは本質的に発行元が得をするという絶妙なシステムです。

 日本国債10年=インフレに勝てない。

 これは正しい。


 米国10年国債利回りが投資家の国インフレ率を超えるケースでは、事情が異なります。


 2026年1月時点における日本のインフレ率 2.1%ですが、米国10年国債利回り(長期金利)は約4.34%。

 約二倍です。

 これだけの差があるのであれば、為替リスクを受け入れる余地は十分あります。

 インフレに勝つためには株式投資をするしかないという指摘は、正しいように見えて債券というものを理解していない人の主張にすぎないのです。

 日本国債券10年 年利回り

 米国10年国債 年利回り

 この二つは極めて重要な数字であり、投資家ならば最低限この二つを把握するべきでしょう。もちろん正確な数字を毎日チェックする必要まではありませんが、ざっくりで構いません。



 俺は株式投資一択だから債券の利回りなんて知ったことじゃない?



 株式投資が陥りがちなロジックですね。

 債券の最大の強みは元本保証にあり、その利回りが4%もあれば大きな意味を持ってきます。

 4%ルールを聞いたことがないでしょうか。

 

 4%ルールとは1990年代にアメリカのトリニティ大学の研究「トリニティ・スタディ」より広まったとされる考え方で、株式と債券のポートフォリオを用いて、どの程度の取り崩し率で資産が長期的に持続するかを検証した研究です。これによると年間4%の利回りを確保して、同じく4%取り崩していれば、30年間以上資産が尽きない可能性が高いという考え方です。FIREの理論としてよく持ち出される考え方ですが、実践することが結構難しいとも指摘されています。

 米国10年国債の利回りは4%をラインを越えているのですから、FIREを実現するには外債投資中心でもいけんじゃね? とも言えるのです。為替とか利回りの変化とかあるので株式と組み合わせないとリスクが大きいですが、逆に言えばFIREを実現する手法は株式投資だけとはいえないのです。


 なにせ、債券は元本が保証されますから。



 ◇



 日本国債券10年 年利回りと米国10年国債 年利回りの重要性は理解できたけど、この二つの数字を把握していれば、世の中を大抵渡っていけるというのは言い過ぎじゃないか?


 なるほど、では銀行のパンフレットを何気に確認してみましょう。


 とある銀行のマイカーローンは

 変動金利型:2.950%~3.850%

 固定金利型:4.300% ~ 5.200%


 仮にマイカーローンの期間を5年として固定金利型4.8%だとするならば、5年ローンなのに米国10年国債利回り約4.34%よりも高い支払いを求められることを意味するのです。個人と国家を比較するのは些かナンセンスですが、普通預金金利0.001%で借り入れて4.8%で貸すというのは中々な商売です。


 ローンは比較的短期で返す代物――だったら事前に資金を積み立てておいて、米国債券10年を200~300万くらい購入すれば問題解決しないか?


 米国債券10年=4%でシミュレーションモデルを、ざっくり頭の中で組んでみます。

 購入資金200万=クーポンの総額 80万

 購入資金300万=クーポンの総額 120万


 軽自動車が一台買えるな、と僕はパンフレットを見ながら考えますね。


 あるいは学資保険のパンフレットを見たとき。

 学資保険の返戻率(利回り)は2026年現在100%〜105%程度らしいですが、米国10年国債利回り約4.34%よりも圧倒的に劣ります。勿論、為替リスクがあるので一概に言えませんが、eMAXIS Slim 先進国債券インデックス(除く日本)のような投資信託ならば為替リスクを最小に抑えられます。学資保険は途中解約すれば元本割れするリスクがあるのですから、eMAXIS Slim 先進国債券インデックスのような債券ファンドで運用するリスクと実は大差はないのです。



 とある公共施設が改築のための債券を募集したときなど、


 1口10万円で利息年0.3%だと。

 市民を舐めていないか?

 米国債券10年にしろは言わないが、せめて1.5%に設定しろよ。

 ソフトバンクの社債ですら3.04%~5%はくれるぞ。

 一公共施設のくせに、ソフトバンクよりも信用格付けは高いとでも主張する気なのか。

 誰が購入するのだ、こんなもの。

 えっ、20分で完売?!

 嘘だろ。

 善意は理解するが、住民の金融リテラシーは大丈夫なのか……

 とか。



 挙げた例はまだマシな方で、世の中にはもっと怪しげな商品が溢れています。

 1970年代の豊田商事、1990年代のオレンジ共済、2000年代の安愚楽牧場、2020年代の某不動産投資案件。

 為替リスクに目を瞑れば米国10年国債以上に安全な投資商品がない以上、それ以上の利回りを元本保証で運用する商品など地球上存在しえません。

 市場がそういっているのです。

 誰かが持ちかけてくる商品が検討に値するか否かは、数字を元に判断する方が科学的でしょう。

 確実な指標があるのですから、その数値を覚えておくこと以上に自己防衛手段はないと僕は考えます。

 街中に数字は溢れていますが、その妥当性は誰も示してくれません。

 投資対象として的確なのかを判断する格付け会社は、それだけ便利な会社なのです。


 一方で格付け会社の担当外の領域については、一般市民である僕達が自己防衛するしかありません。

 その指標が何かと問われれば、日本国債券10年と米国債券10年の利息なんだろうな、と考えながら日々を生きています。



 今回のところは、この辺で。

 ではでは。

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