投資は入金力で決まる、について④ 支出抑制 保険(中)~生命保険とは適度に距離を保とう~
こんにちは、保険の支出抑制 ~生命保険とは適度に距離を保とう~ を始めますね。
生命保険は保険の中でも闇が深いジャンルです。
生命保険は基本プランだけでも加入可能ですが、何か追加したいと思ってオプションを増やしていくと、あっという間に料金が跳ね上がる商品です。自動車保険や火災保険も似たようなシステムですが、生命保険は度合いが大きい気がします。
とはいえオプションが多いのは、ある面では致し方ないでしょう。
人の体は自動車と異なりパーツ交換ができませんし、病気になれば就労が成り立たず収入が得られません。様々な不果実性を提示されれば、必要以上のオプションが設定してしまう方が多いのではないでしょうか?
実際、保険料金を支払うために就労をしているという後輩を何人か知っています。
消費者である僕達が必要(需要)としているのですから、生命保険は需要を満たしてくれる供給者にすぎません。
需要と供給の観点で考えると保険会社に非はなく、むしろ不当な非難を受ける被害者のようにみえます。
一方で生命保険は火災保険や自動車保険と異なり、不払い等のトラブルが多い気がします。
私事で恐縮ですが、僕の親は生命保険の解約手続きで大変不快な経験をしているのですが、自動車保険ではこのよう経験をしていません。需要と供給の観点では保険会社に非がないかもしれませんが、実運用においては全面的支持をし難いのが生命保険なのでしょう。
前置きが少し長くなりましたが、今回は生命保険との付き合い方について、僕なりの考え方を語っていきますね。
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生命保険の利用目的を大きく分けると、2つに分類される気がします。
①元本を確保しつつ貯金以上の利回りを求める方
②病気など万が一への備える方
①は地雷が存在しますーーというか地雷だらけ。
理由は外貨建一時払保険やターゲット型保険のような商品が、リスクを避けるという保険本来の役割から逸脱しているからです。
保健で高いリターンを得ようとするならば、地雷原を突破して敵陣に突入する覚悟が必要でしょう。元本保証がされて定期金利より高いリターンという商品もあります。リスクが低いという点は本来の保険らしい商品ですが、こちらは保険屋さんは勧めてきませんね。
どちらの商品も途中解約すれば解約返戻金という形で返金されますが、払込保険料の合計額よりも少ない金額になる可能性があります。
もし仮に契約するならば、労働組合などの大きな組織を仲介して契約するのが有効だと思いますね。
個人契約だと満期時に保険屋さんがあの手この手で再契約しようとしてきますが、組織を仲介者に挟むことで保険屋さんの攻勢をシャットダウンできるのです。仲介する組織――僕が所属する労働組合は一部の金額を途中引き出しても減額されません。このような商品は定期預金よりも有効なので、気になる方は調べてみるのも良いでしょう。
①の話しをすると長くなるので、今回はここまでにします。
②は一見すると目的がシンプルなのでトラブルに巻き込まれにくそうですが、そのシンプルさ故に手玉に取られるような気がします。
理由は「万が一」というボーダーラインが曖昧だから。
保険屋さんはオプションを沢山つけることで料金を底上げして利益を得ようとするので、彼らに相談しても保険料を安くなることはありません。
断言調で話してしまうのは、結婚したことを機に生命保険に加入するときの実体験があるから。
問い合わせしたどの保険会社も、基本プランのみで行かせようとしませんね。提案と称して色々不安を煽り、オプションを追加して保険料金を底上げをしてきたのです。断れば不果実性を過度に強調して、保険の有用性を語り始めるので切りがありません。
最終的に共済系に加入することで低コストに抑えましたが、しつこいこと。
不安を煽る言葉に対して、「いいーんだよ、個人資産で対応できるから!」と心の中で何度怒鳴ったことか。
似たような体験は、嫁さんが加入してきた保険屋さんでも体験済み。
彼女が加入していた保険が相当高かったので、僕と同じ共済系に変更したのですが、保険会社がしつこいくらい食い下がりました。
僕が主導権を握っていることに気付いた担当者が、途中で僕と直接対話を試みようとしましたが当然拒否。
収入に対して5%以上の保険料金は出せねーんだよ!
と門前払いしました。
②にはついては、こんな感じです。
自分の中で明確なプランがないーーというかプランがあっても保険屋さんは無視して攻勢を仕掛けてくるので、契約するときは余程の覚悟くを決めるか、それともネット型保険を選択するなどの対応が必要ですね。
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ところで収入に対して5%の保険料金って、どこからその数字が出たの?
良い質問です。
収入に対して5%の保険料が妥当というのは、若いころにとある関係者から教わった話です。
残念ながら資料が手元にないので、公益財団法人生命保険文化センターがまとめた「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」をもとに説明しますね。このデータによると、年間払込保険料の世帯年収に占める割合は6.7%だそうです。 平均値でみると生命保険や医療保険に支払う保険料は、年収の5~7%が目安になるようです。
ね、5%ですよね。
保険屋さんもこの数字を把握しているようです。
最初はわざと高めの10%近くのプランを提案し、そこから徐々に数字を下げることで「自分たちは寄り添っていますよ」とアピールをしてきます。下げるだけ下げてから、「でもやっっぱり貯蓄もしたいでしょね?」という感じで数字を上昇させようとしました。
これ、実体験。
保険屋さんの主張にも一理があることは認めますが、万が一を理由にオプションを付け始めて切りがありません。
だけど、癌とか高額医療の特約を設定して助かった人もいるよね?
そういったオプションは必要じゃない?
オプションで助かった人はいますね。
実際父親の友人が高額な生命保険に加入したのですが、亡くなったときに家族に資産を残すことができたという話を知っています。似たような話しは嫁さんからも聞いたことがあるので、生命保険が無用な代物だという主張をするつもりはありません。
要は程度と財布の問題。
僕たちは1秒ごとに確実に死へ向かって歩いています。
時間停止でもしない限り死のリスクは消滅しませんから、リスクを恐れて保険を増やし続けたら切りがないのです。
冷酷な話ですが、これが現実。
リスクとリターンを考慮すれば、最低限の生命保険に入ることは有効だと考えています。
割り切りすぎじゃない?
なぜそこまで生命保険を否定するようなことを主張するの?
保険は確率を元にした商売だからです。
高額な支払いを受けられたり癌特約が有益だったりするケースは、確率論的に低いということを忘れてはいけません。
リスクばかりを恐れてあれこれ保険特約を付けたら、保険料金の支払いのために生きるという現実に直面するのです。
事実、僕の後輩は似た状況に陥っていますね。
言い過ぎじゃない?
保険屋さんも色々な状況を想定して提案してくれているのに……
保険屋さんが癌特約などのオプションを勧める行為をわかりやすく説明するとしたら、マクドナルドの店員が良い例でしょう。
客「ベーコンレタスバーガーを一つ」
店員「それでしたら、セットメニューはいかがでしょうか?」
客「(飲み物はいらなかったんだけど……ポテトはやっぱり外せないか) じゃあ、セットでお願いします」
店員「かしこまりました」
こんな感じ。
客は本来予定にない出費を強いられますが、店員はあくまで提案をしているだけ。
僕たちが余計な口出しと思わないのはポテトが旨いからw
結果としてWin-Winが成立していますよね。
保険の特約やらオプションも似たようなもので、当初の意図から外れますが、提案という形で客に選択を迫っていくのです。
もっともオプションや特約で助かった方もいるので、確率論的に低いからと言って無用だと主張するつもりはありません。
僕が主張したいのは保険は資本主義が生み出した商品であり、政府が用意しているセーフティーネットではないので、財布と相談しながら契約したほうが良いという点を忘れないでほしいのです。
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僕の主観がかなり入ってきたので、視点を変えるためにデータから生命保険をみてみましょう。
金融庁がHPで提供している「2024年 保険モニタリングレポート」に、色々面白いデータが載っています。
例えば(参考2)三利源及び逆ざやの推移は面白い。
主要生保:生命保険会社20社(2023年3月末時点で総資産5兆円以上の会社)を集計した表なのですが、2009~2023年の表をみると、主要生保の予定利益率は右肩下がりです。具体的数字では、2009年:2.5%以上→2021年:2.0%程度となっており、保険会社の予定利益率が年々低下傾向にあることがわかります。
保険モニタリングレポートは保険全般を扱っているので、傷害保険のデータもあります。
主要損害保険会社の利益率(保険引受利益÷正味収入保険料)は、
2021年度 = +3.9%
2022 年度 = 1.6%
傷害保険の利益率は年によって上下していますが、生命保険の予定利益率は右肩下がりというのがわかると思います。
この数字だけをみれば、生命保険が損害保険より利益率が大きいとは言えないようです。
ああ、そうだな。
ということは、お前の生命保険を否定する主張は言い過ぎじゃないのか?
いえいえ、この数字こそ生命保険というものの特異性を示していると思います。
はっ、何が主張したいの?
生命保険の方が右肩下がりなんだよね!
重要な点はそこではありません。
傷害保険の数字は利益率であるのに対して、生命保険の数字が予定利益率という点。
利益率は確定した利益。
予定利益率は予想される利益。
損害保険も生命保険も同じ保険なのに、なぜ異なる数値を使用するのでしょう。
変ですよね?
損害保険が契約するのは単年なのに対し、生命保険は複数年契約です。損害保険は毎年利益が確定するため利益率を算出できますが、生命保険は複数年の契約が満期にならないと確定しないので、予定利益率で算出しているようなのです。
はあ、また面倒な……
そう思った貴方。
生命保険会社にとって予定利益率は、ある種のトリックともいえる便利なシステムなのです。
分かりやすい例を挙げますね。
A君は100万円を支払うと、10年後の満期時に150万円が得られる生命保険に加入しました。
10年後に1.5倍になるので、A君は大喜びです。
10年後、満期になったA君のもとに、同じ保険会社がやってきました。
かれはこう言います。
「A君、A君。同じ内容の生命保険に、今度は20年で契約しない?」
今日150万円をもらえると喜んでいたA君は肩透かしを食らいましたが、同じように利益を得られるならさらに20年契約してもよいか? と思い直すことにしました。
A君にとって不利益ではないですが、騙されたような気がして腑に落ちない契約でした。
保険会社は、なぜこのような契約を結びたがるのでしょう?
それは利益が確定させないことで、保険金の支払いを先送りにして、その年の利益減少を避けることができるからです。
一時的に支払いを避けても結局支払いが発生するから、無駄な行為じゃない?
それが違うのです。
インフレや金利そして投資の運用利益率を考慮すれば、契約期間が長くなるほど保険会社はこの差により利益を得やすくなります。
10年で1.5倍ということは、A君は単利で3.91%を得られます。
一方で保険会社はその資金を投資で運用しますが、投資なので複利効果を得ることができます。投資で持続可能な利益率は5%程度ですので、A君との契約期間が長くなればなるほど差額は大きくなり、保険会社の利益が大きくなります。
予定利益率には別のメリットもあります。
仮にA君が二度目の契約を途中解約した場合、解約返戻金は払込保険料の合計額よりも少ない金額になる可能性がありーー予定利益率で算出した以上の利益が保険会社にもたらされるのです。
多分、保険会社が支払いを先延ばしたがるのは、これが理由でしょうね。
損保と生保の違いに少しふれましたので、次は利益ベースで生命保険と損害保険を比較してみますね。
『(4)参考主要保険会社における当期純利益の推移』のデータによると
2016~2023年までの主要生保の利益(単位:億円)
2016年:13,866
2017年:14,783
2018年:16,319
2019年:12,551
2020年:18,595
2021年:19,242
2022年:16,656
2023年:19,979
2016~2023年までの主要損保の利益
2016年:6,507
2017年:5,780
2018年:6,139
2019年:5,253
2020年:4,486
2021年:9,081
2022年:6,291
2023年:14,811
ただの一度も損保が生保の利益を上回っていないことが確認できますね。
しかもその利益差は約2~3倍。
生命保険市場規模: 100兆円に対して、損害保険市場規模: 40兆円なので、利益差は約2~3倍になるのは当然といえば当然の数字になります。
生命保険と損害保険の利益差は約2~3倍ですが、市場規模が約2.5倍であることを考慮すれば、生命保険が損害保険よりも過度な利益を得ているとは言えないでしょう。
では、なぜ僕の両親を含めて生命保険がらみのトラブルが多いかといえば、生命保険が複数年契約の予定利益率で経営・営業しているため、一年契約の損害保険で発生しないようなトラブルが生みやすいことが要因な気がします。
◇
そろそろ締めに入りますね。
生命保険は複数年契約をするので、やり直すのが難しい商品です。
公益財団法人生命保険文化センターがまとめた「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」の話しに戻りますが、年収の5~7%に保険料を納める範囲で保険屋さんは生命保険を勧めてくるかもしれません。
その保険屋さんは良心的に見えますが、この数字にもトリックがあります。
生命保険に関する全国実態調査結果の通りに、年収の5~7%の生命保険に加入したとします。
ですが、貴方が加入する保険は生命保険だけでしょうか?
そう、火災保険や自動車保険などの傷害保険に加入すると、仮に年収の5%の生命保険に加入したとしても、傷害保険を加えた総額は年収の10%を超える可能性があるのです。これが年収の7%の生命保険ならば、ほぼ確実に傷害保険を加えた総額は年収の10%を超えるでしょうね。
万が一に備えとして最低限の生命保険に加入することは有効ですが、あれもこれもと条件を上乗せし始めると、あっという間に給料を食いつぶす魔物と化すでしょう。事実、僕の後輩がこの状況に陥っており、しかも契約を結んだ相手が親類なので不和になるのを恐れて、解約もできず詰んでしまった状態です。僕の父親のように友人関係が破綻しても構わないくらいの覚悟がなければ、この手の解約は本当に面倒です。
この点に十分した上で、慎重なうえにも慎重に契約することを勧めますね。
次回こそ、本当に生命保険の話題は最後です。
今日のところは、この辺で。
では、では。




