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……そうだ、投資を始めよう!  作者: 大本営
投資で利益を上げてみよう
39/68

運用目標と利回りを見比べてみよう(下)

 さて、前回の続きから始めますね。

 積み残した問題は、保有するバランス型ファンドの利回りが2.0%だったケースです。


 利回りが2.0%のバランス型ファンドは「くそファンド!」であり、それ売りつけた人達はユーチューバーの中田さんが主張するような、手数料ハンターなのでしょうか?


 この仮定に対する回答は、先ほどよりも少し難しい。

 バランス型ファンドの利回りは妥当かの判定は、個々人が定めた運用目標によって変わるからです。

 運用目標が8~15%に設定している方なら、株式一択のようなハイリスク・ハイリターンにしているでしょう。8~15%と比較すれば2.0%は相当に低い値です。ここまで目標値と乖離すると、ハイリスク・ハイリターンでの運用スタイルでは、バランス型ファンドをポートフォリオに組み入れないと思われます。そもそもスタイルが違うのですから、バランス型ファンドに目もくれないでしょう。仮に組み入れるとすれば、コロナショックのような急落に対するリスクヘッジを目的としますから、2.0%の利回りを批判するとは僕には思えません。

 投資スタイルは個々人の資質や資金力に依存しますから、異なるスタイルを批判しても仕方がないのです。


 また運用目標が1または2%の方は、目標値をクリアしているのですから文句をいうはずがありません。


 上記の前提から問題視しているのは、運用目標3~7%の方ではないでしょうか? 

 リスクが高い株式ファンドを保有しつつ、リスクコントロールとしてバランス型ファンドを組み込んでいる気がします。株式ファンドとコロナショックのような下落局面で、金融資産下落を軽減するのは有効な組み合わせでしょう。

 この手法を、リスクヘッジと言います。

 リスクヘッジとしてバランス型ファンドを購入している以上、ファンドの利回りが目標利回りより低くとも文句は言えないでしょう。

 必要な利回りは、株式ファンドで稼ぎ出すべきなのです。


 そうだけど、2%の利回りは低くね?


 貴方が問題とすべきなのは、保有するバランス型ファンドの利回り2%が、目標利回りに対して妥当なのかでしょう。

 しかし、ここで大きな問題が存在します。

 投資信託商品に目標利回りは何%と謳う商品はありません――少なくとも僕の知る限り。

 

 Oh Jesus!!


 絶望したとしても、神を罵ってはいけません。

 安心してください、抽象的ながら、それに近い情報が交付目論見書に記載されています。


 交付目論見書をみたことがない?

 絶対に見たことがある筈です。

 もし見たことがないとしたら、そんなモノを確認する必要がないほどの玄人か、失礼ながら相当な素人のどちらか。

 対面式だろうが、ネット証券だろうが、目論見書と運用レポートは公開されている数少ない情報源。

 読んでも良く分からないかもしれませんが、まず見ましょう。

 

 交付目論見書とは、投資信託を販売する際、あらかじめまたは同時に投資家に直接交付するパンフレット。簡略化されすぎて薄っぺらく感じるかもしれませんが、法律で義務付けられている立派な開示資料です。

 開示資料には、他にも請求目論見書やら、交付運用報告書やら運用報告書やら月報などがありますが、今回は保留で。

 交付目論見書にはファンドの目的・特色、投資のリスク、運用実績、手続・手数料等、投資信託の基本的な情報が書いてあります。なんだかよく分からない数字やらグラフ載っているだけで、今一つぱっとしないと言えなくもありません。

 大抵の方は、真っ先に手数料を確認するでしょう。

 間違いではないけど、今回確認してほしいのはそこではない。


「当ファンドと他の代表的な資産クラスとの騰落率の比較」、ここです。


 本ファンド ――交付目論見書を配布しているファンド ――と日本株 先進国株 新興国株 日本国債 先進国債 新興国債の比較が縦グラフで表示されています。「過去の実績であり、将来の成果を保証するものではありません」と交付目論見書に記載されていますが、この文章を文字通り受け取るべきではないでしょう。「うちのファンドはこのくらいの数字で運用しているスタイルなんだよ、もちろん過去は過去なので、結果は保証しないけどさ」とも読み取れます。


 この仮定を元に「くそファンド!」と評価した、バランス型ファンドの交付目論見書を確認してみましょう。


 日本株 先進国株 新興国株 日本国債 先進国債 新興国債の期待利回りについては、過去の「 投資構成は、どのように設定したらいいの?」で記述しているので詳細は繰り返しませんが、ざっくり適当に数字を挙げるなら、日本国債は1%以下、先進国債 は1~3%、新興国債権5~8%、日本株 は5%、先進国株8以上%かな。

 日本国債と先進国債の間くらいに縦グラフがあるのなら、そのファンドとして2%の利回りは妥当な数字でしょう。逆に縦グラフが新興国債権や日本株の近くを指し示しているのであれば、2%の利回りは期待値以下ということになります。


 貴方が「くそファンド!」と評価した利回りは、凡そいくつだったでしょうか。

 期待値以下ならば、売却を検討しても良いでしょう。

 そうでなければファンドには非がないので、そのファンドを購入した貴方の判断ミスなのです。 


 ◇


 そろそろ締めに入りますね。


 ①保有するファンドの利回りを把握することは重要だけど、その数字が妥当かは事前に設定した運用目標に決まる。

 ②ファンドの利回りが妥当か疑問に感じたら、交付目論見書をまず見直してみよう。もしかしたらファンドは期待値通りの値を叩き出してるけど、貴方の期待値が高すぎるだけかもしれない。

 投資で負けない――損しないためには利回りの把握がそれだけ重要です。


 孫子曰く、「敵を知り、己を知れば、百戦してあやうからず」


 敵とは市場であり、手数料ハンターであり、各種のファンド。

 己とは運用目標であり、利回り、保有するファンドの利回り。


 これらを把握もせずに投資をするのは極めて危険なのですが、なぜか利回りの把握の重要性は指摘されないんですよねぇ。

 フォートフォリオの重要性は指摘するのに、不自然じゃない?


 問題提起をしたところで、今回の幕を閉じますね。

 では、では。

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