投資信託における単利と複利の関係 その四
過去三回に渡り、基準価額、分配金受取、分配金再投資について語ってきました。
投資で利益を一番大きく上げる要素は、基準価額なんじゃないかなぁ~と僕は思います。銀行預金で得られる利息と異なり、分配金は投資の結果にすぎません。毎年のように――なかには毎月のように――配当するファンドもありますが、分配金を当てにした利息計算は賢明じゃないのです。
分配金が多いファンドは、基準価額の伸びが抑えられてしまいます。
基準価額=(純資産総額-分配金)/投資信託全体の口数
その理由は、「投資信託における単利と複利の関係 その弐」で紹介した計算式です。
基準価額は純資産総額を元にして計算していますから、分配金という名の支出が増加すれば基準価額も低下します。
「じゃあ、投資で複利効果は得られないのか!?」
分配金再投資を選択すれば、複利効果は得られます。
ここまでは問題ありません。
配当されたお金が回収されるということは、ファンドの純資産総額は変動しないんじゃないかなぁ――多分。分配金とかの手続きにかかる人件費とかのコストが発生するので、全く影響しないことはないと思うけど。
分配金再投資は純資産総額が減少しない――減少しにくい――という点は分配金受取と異なりますが、再投資されたので投資信託全体の口数は増加します。分子にあたる「純資産総額」は変化しないけど、分母にあたる「投資信託全体の口数」が増加するということは、基準価額が減少します。
複利効果を得るために、基準価額が減少させるのって狙う必要があるの? と思うのですよ。
また投資家は配当されたのが、特別分配金ではなく普通分配金だったら、税金を支払う義務が発生します。
普通分配金→税金=コスト発生
複利効果を得るために分配金再投資を選択すると、余計なコストが必要なのです。
「ちょっと待て、NISAがあるから税金は発生しないじゃないのか?」
良いところに気付きましたね、花丸あげましょう。
NISAは非常に優秀な非課税制度ですが、非課税期間は5年だけであり、決して無制限ではありません。適用可能な枠を使い切っていなければ5年延長できますが、それでも10年で期限切れ。つみたてNISAは非課税期間は20年なのですが、その名が指し示すように「積み立て投資」限定の制度です。
積み立て投資をしない方が複利効果を得るには、税金というコストがついて回ります。コストを支払ってまで複利効果を得るのにこだわるのが賢明かは、正直疑問がありますね。
……こんなこと書いてますが、僕も分配金再投資をしています。
「こいつ、なにを言っている?」みたいな顔しないでください。
僕が主張したいのは複利効果は重要な要素だけど、それを得るには基準価額を押し下げる副作用があるので、定期預金みたいに絶対視することはないんじゃない? という点なのです。
◇
そろそろ締めに入りますね。
投資信託において、重要な要素は基準価額です。分配金が重要ではないとまでは言わないけど、それ以上に注目するべきは基準価額。分配金再投資により複利効果は得られるけど、それってどこまで意味があるかは僕にもよくわかりません――ただ意味がないとまでは断言できないから、分配金再投資も分配金受取もやっています。ファンドによって選択肢が存在しないケースもありますからね。
基準価額=(純資産総額-分配金)/投資信託全体の口数
何度も触れてきたこの公式は、非常にシンプルですが同時に示唆に富む公式です。「投資信託における単利と複利の関係」では、分配金だけを取り上げて語ってきましたが、実はもっと深い意味があるような……
それは次回以降で。
では、では。




