投資信託における単利と複利の関係 その弐
投資で利益を上げたいと誰もが思うでしょう。
ぶっちぇけ、投資で損してもかまわないという酔狂な人は稀だと思う。
投資で利益を上げる方法は「売却」「基準価額上昇」「分配金受取」「分配金再投資」だけど、中長期保有による運用が主目的ですから、売却するのは最終段階ということになります。リバランス(ファンド入れ替え)を目的とした売却はあるでしょうが、あれはメインではありません。
売却が主要な選択肢出ない以上、運用期間中に利益を上げる手法は残る3つ。
・基準価額上昇
・分配金受取
・分配金再投資
ここで問題になるのが、そもそも分配金ってなに? ってこと。
分配金は投資会社が配当するお金ですが、このお金には二種類あります。
・普通分配金
・元本払戻金(特別分配金)
両方とも投資会社が運用利益を元に配当しますが、まったく異なる性質のものですので注意が必要です。
普通分配金は、投資結果としての利益です。
いわゆる不労収入なので超ウハウハ。
……納税の義務が発生するので、税金取られるけどね。
特別分配金は、元本の一部払い戻しです。
払い戻しなので利益など全くありませんが、その代わりに税金を要求されません。
◇
「特別分配金って、あれだろう? 毎月分配型で配当される奴だよね。おれは毎月分配なんて馬鹿な投資していないから、この話題関係ないぜ!」
はい、ダウト。
毎月分配型=特別分配金が発生する糞投資
1年決算型=普通分配金だけが発生する投資
という理解は間違いです。
毎月分配型は商品の性質上、分配頻度が高いため特別分配金が発生しやすいだけです。毎月だろうと年一だろうと、特別分配金が発生する可能性があります。結構誤解しやすいですが、証券会社のパンフにも責任があると思う。
毎月分配型のパンフには分配金の仕組みが理解しやすく載せているのですが、1年決算型にはそれが見受けられません。特別分配金が発生する糞投資は毎月分配型だけだと誤解するのかも――私見だけど。
投資家が受け取る分配金が、普通分配金か特別分配金になるかは、配当時の基準価額(時価)が個別元本(購入時の価値)より高い否かで決まります。
この前提を元にすると、下記のような関係が成立します。
基準価額>個別元本=普通分配金
基準価額<個別元本=特別分配金
この説明ではイマイチ分かりにくいので、単純な例を挙げますね。
Aさんは、Bファンドを保有しています。
分散投資とかNISAとか難しいことよく分からないので、とりあえず練習気分で、Bファンドだけを10500円購入してみました。あくまで練習なので、ポートポリオとか過去の基準価額とかも考えず、Bファンドが世界株式という単純な理由だけで選択しています。
「世界株式だから日本株式よりも上昇しやすいし、分配金も得られるんじゃね?」などど能天気に構えていたある日、Bファンドの決算日を迎えます。
Bファンドの基準価額は、決算日前日時点で12000円。Aさんの個別元本は10500円ですから、「これは普通分配金貰えるんじゃね?」と楽観していましたが、決算日当日に基準価額10000円まで反落。Bファンドは基準価額10000円に対して500円の分配金を行われました。
「マジで?」
さて、Aさんは普通分配金を受け取れるでしょうか?
答えは否です。
配当時点での基準価額よりも価値が低いと、普通分配金は受け取れません。「基準価額<個別元本」のケースでは、差額の分だけ特別分配金が発生します。Aさんのケースでは個別元本は10500円ですから、10500円(個別元本)― 10000円(基準価額)=500円 となり、全て特別分配金になってしました。
「なんで決算日当時に基準価額が急に反落するんだ! 糞ゲーかよー!!」
これには理由があります。
基準価額は、純資産総額を投資信託全体の口数で割った、「投資信託の1口当たりの価額」で計算されます。
決算日前日までの計算式は、純資産総額 / 投資信託全体の口数=基準価額
決算日当日の計算式は、(純資産総額-分配金)/ 投資信託全体の口数=基準価額
余計な要素が増えていますよね?
分配金が発生するとファンドの純資産総額が減少するため、基準価額は低下するのです。
「分配金が発生すると基準価額が低下するなら――もしかして、分配金をださないファンドの方が基準価額が上昇しやすい?」
気付いた貴方には、花丸をあげましょう。
一概にはいえませんが、計算式からはそのように読み取れます。
分配金再投資では複利効果が発生するけど、必ずしも優れた選択とは言えないと前回軽く触れたのは、これが理由なのです。もっとも、分配金を出さない癖に、基準価額も上昇しない――あるいは上昇しにくいファンドもあるのですけどね。そういうファンドは避けるのが吉でしょう。
「特別分配金として元本の一部払い戻しされても、メリットなくね?」
良い質問です。
特別分配金にも立派なメリットがあるのですが、少し長くなってきたので、その話題は次回。
今回のところは、この辺で。




