投資の必勝法、分散投資
前回まで6回に渡り投資構成について語ってきました。
ポートフォリオの話しはもういい!
投資銘柄も十分選定したし、資金も準備した。
もうこれ以上、面倒な話しで投資開始を遅らせないでくれ!!
こんな声が聞こえて来そうですが、残念ながら投資を始めるにはまだお早い。
投資の必勝である、分散投資の話しがまだ途中です。
前回まで語ってきたのは、地域の分散・商品の分散であり、もう一つ重要な「時間の分散」について語っていません。これを理解していないと、大抵負けます。
それほど重要なのか要素なのです。
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時間の分散を簡単に説明すると、購入する時期をずらすというもの。
地域の分散・商品の分散に比べると極めてシンプルな手法であり、前回まで説明したどの運用利回りで適用可能です。これがなぜ重要なのかというと、「正解はだれも知らないし、未来は誰にも分らない」から。ジョン太郎 氏の言葉をくどいくらい繰り返すのは、本当に大切な考え方だから。
「正解はだれも知らないし、未来は誰にも分らない」ということは、購入タイミングがいつなら正しいかも分かりません。
不透明な未来に対して、恐らく妥当な回答が「購入時期を分散する」なのです。
例を挙げましょう。
2019年9月、Aさんはある決断します。
「貯金は利息が低すぎるし、このままでは実質的に目減りする。だったら1000万ある貯金の内、半年分の収入にあたる300万だけ残しで、残りは投資に回そう。色々な本にもそのように書いてあるし、間違いはないよね」
早速投資資金700万と準備し、証券口座を開設します。
2019年8月末から株価相場は上昇を続けており、投資参入の時期としては申し分がないと感じたのも、Aさんが決断した理由です。
「よっしゃ、資金は十分ある。買って買って買いまくって、このまま勝ち馬に乗るぜ!」
景気投入したことで用意した資金はあっという間に底をつきましたが、株価相場は上昇しているため、Aさんの資産は膨らみ続けます。
2020年2月中旬。
Aさんの金融資産の価値は、投資開始時期と比較して25%上昇しました。
このまま全てが上手くいくと思われたそのとき、コロナショックが訪れます。
2020年3月中旬。
黒字だったAさんの金融資産は、いまでは20%の赤字です。
職場から自宅待機を命令されたAさんは、暗い現実を悲観して投資商品を全て売却してしまいます。
2020年5月中旬。
2割の損失をして投資を諦めたAさんは、相場の変化に気付きます。
あのとき売却していなかったら、投資開始と比較して15%の利益を上げていたということを。それどころか2020年3月中旬に購入していれば、とんでもない利益を上げられたのに、とAさんが気付いても既に後の祭りです。
なぜ、このようなことが起きたのでしょう?
それはAさんが投資開始と同時に、投資可能な資産を全て投じてしまったからです。
資金はもう手元にないため、追加購入することができませんでした。資金が手元ないということは、相場に対して受け身になるしかありません。そのためAさんは、相場の下落に対して心理的に耐えきれなくなったのもありました。
2020年3月中旬に投資開始していれば、時間の分散は関係なくね?
一見すると的を得た指摘に見えますが、これには盲点があります。2020年7月以降の相場がどうなるか、僕たちは誰も知りません。「正解はだれも知らないし、未来は誰にも分らない」のです。もしかしたら、2021年3月中旬に更なる相場下落があるかもしれません。
どうせ、また未来は云々とか抜かして、根拠も明示せず脅かしているのだろう?
2020年3月中旬のような下落が何度も起きるわけない!
コロナショックと同クラスの相場下落となると、1929年の世界大恐慌しかありません。世界大恐慌をよく調べればわかるのですが、悲劇の火曜日と呼ばれる10月29日の大暴落しますが、その後ある程度リバウンドしていました。このときの相場の流れは、2020年3月~2020年6月の相場動向にかなり似ています。
その後、下落に継ぐ下落で相場崩壊が止まらなくなったのが、世界大恐慌の歴史です。
世界大恐慌の原因は金本位制による資金の流動性の悪化――金詰まり--とブロック経済による経済システムの硬直化と言われています。
翻ってみて現在、資金の流動性の悪化について各国の中央銀行が迅速に動いたことで一定の成果が出ていますが、ジャブジャブとマネーを投下したことにより財務悪化とインフレ危険を招く恐れがあるでしょう。
経済システムの硬直化については、コロナにより人の移動が制限されている点が当てはまるでしょう。デジタル技術の普及によりある程度緩和されていますが、リアルな移動ができないという点はそのまま。経済システムの硬直化については、状況こそ違えど世界大恐慌の頃と大した違いはないように思えますね。そういう意味でも、あのときと似ているのです。
コロナ対策は結局はワクチン開発次第な面がありますが、実体経済へのダメージは徐々に無視できなくなりつつあるようです。
例を挙げれば エールフランスやユナイテッド航空の人員整理、あるいはアメリカの老舗紳士服ブランド「ブルックス・ブラザーズ」やアパレル大手「レナウン」の倒産。
残念ながら、今後1年程度はこの流れが続くでしょう。
ワクチン開発が終了し、接種が可能になっても、実体経済へのダメージが甚大なものになっていれば、2020年3月中旬のような大暴落はあり得るでしょう。未来は僕にもわかりませんが、世界大恐慌を例にとるとそうなると示唆しています。
このような不安定な時代に対応するには、「購入時期を分散する」手法がいままで以上に有効な気がしますね。
少なくともAさんは、2019年9月に投資可能な資金を全て投じるなどせず、半分手元に残していれば、2020年3月中旬の暴落に対応できたでしょう。
やや極端な例ですが、これが「時間の分散」の効果です。
「時間の分散」の最も典型的な例に、積み立て投資があります。
積み立て投資は、相場の上がり下がりなど気にせず、毎月一定額だけ購入するという手法です。一見すると無駄に思えますが、一定のルールに沿って機械的に投資するので、人間が判断するより効率が良いと言われていたりします。
……もっとも、僕は積み立て投資には否定的な人なのですが。
その理由は追々書いていきますが、いまはそういう手法もあると覚えてもらえばいいかと。
今回のところは、この辺で。




