投資構成は、どのように設定したらいいの? その五 ~運用目標3~6%に設定した方(下)~
債権、債権とやたら口にしていますが、注意しなければいけないのが新興国債権。
先進国債権と新興国債権は、同じ債権ですが、まったく別物です。
株式市場が下落したときに、リスク回避として購入される傾向にあるのは先進国債権。新興国債権ではありません。新興国債権はリスク回避の手段とは認識されていないので、激しく売られます。
激しく、です。
新興国債権がそのように売られる理由は、簡単にいえば格付けが低いため。
格付とは格付機関が判定する数値で、最高ランクはAAAで最低ランクはC(会社によってD)。格付によって発行する債券のクーポンが左右されるため、非常に重要な評価です。BBB-以上であれば投資適格債、BB+以下は投資不適格債(ジャンク債あるいはハイ・イルード債と呼ばれることも)とされています。仮に債権だけで運用目標3~6%を目指すとしたら、新興国債権を相当多く含むことになるでしょう。そのようなポートフォリオは流動性が低いため、相場の影響を受けやすくなるでしょう。
最近で有名なニュースでは、2020年3月25日ソフトバンクGが格付会社のムーディーズ・ジャパンにより格下げされた件でしょうか。2段階引き下られたことで、「投機的と判断され、相当の信用リスクがある債務」と認識されるレベルになりました。これだけ下げられれば。これから発行する債券はより高いクーポンに設定しなければいけない、かもしれません。
経費が増えますから、ソフトバンクGは激しく反論しました。
格下げの僅か8分後に反論したということは、ある程度予想していたけど、それでも無視できない程痛い打撃だったのでしょう。
格付会社はそれだけ怖い存在であり、格付は債権に影響を及ぼすのです。
ソフトバンクGの気持ちは理解できますが、相当額の損失を発生させたのですから、そりゃ格下げする会社もあります。
幸い他の格付会社は評価を維持したので、それほど影響はないかもしれませんが、決して穏やかな心境ではないでしょう。
格付けが低い商品は買い手が付きにくいので、ぶっちぇけ売りたいときに売れない可能性があるということです。売りたいときに売れない商品を、流動性が低い商品といいます。
コロナショックのような危機で流動性が低い商品を売るには、お得感をだすために安売りする――つまり激しく下落するのです。
証明問題にするとこんな感じ。
危機のときに購入する人が少ない=現金化しにくい=流動性が低い=急落率が高くなる
ハイ・イルード債に分類される社債も似たようなものです。
コロナショックを参考例にすると、分かりやすいでかもしれません。
どのネット証券でも構いませんので、2月21日~3月24日の期間で新興国債権やハイ・イルード債の値動きを調べてください。
谷底目指して真っ逆さま。
底値を付けてからの急騰率が低い点も特徴でしょう。
このような値動きをしていることからも、格付けの低い債権はリスク回避の手段となりえないのです。
株式とペアになるのは、あくまで先進国国債――もっといえば日本国債や米国国債でしょうね。
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投信で人気のハイリスク商品というと、REITを忘れてはいけません。
人気の理由は、比較的高い分配金が安定的に得られるから。
REITとは、ぶっちゃけると不動産投資です。
不動産投資は高額な資金を必要とするため、個人で参入するとかなりリスクが大きい分野でしょう。異論はあるでしょうが、千万単位の資金が必要な投資はローリスクとは決して呼べません。REITのユニークなところは、は証券化という手段を用いていることで、不動産投資の敷居を低くした点。
投資会社はオフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産へ出資。投資会社は投資した商品を証券化し、個人投資家へ販売します。これにより投資会社は投資額を軽減でき、個人投資家は通常の不動産投資より少額に済む上、テナント料の一部を配当金として得ることができる。
win-winの関係です。
証券化されたREITの価値は、証券市場で決まります。これにより市場経済の原理が働き、適正価格が導き出される――という理屈で動いているみたい。
よくわからんけど。
市場原理が働いているため一見すると問題なさそうですが、コロナショックで一番の負け組は恐らくREIT。
下落率が新興国債権より酷かった。
適正価格以上に売られた――どこの値をもって適正価格なのかは知らないけど――要因は、REITの市場規模が債権や株式よりも小さいのが原因らしい。
市場規模が小さいと、なにが問題になるのか?
売買する人間の絶対数が少ない、ということはかなり重大な意味を持ちます。参加プレイヤーが少ないと、「これはチャンスだ!」と考えて逆張りをする人も少ないので、売りたいけど売れないということが発生しやすい。
結果どんどん売値が安くなっていきます。
REITの急落は新興国債権と同じ現象ですが、それがより酷かった。
新興国債権より酷いというのは正直予想外でしたが、これがREITの特徴なのでしょう。
REITの市場が語る適正価格は、金ほどの信頼性がなく、先進国債権ほどの保証もありません。適正価格を導き出した市場は、株式のような規模がないため、危機においては脆さを露呈してしまった。
こんなところなのでしょうか。
株式と違って急騰率も低いですから、ダブルパンチもいいところ。
異論はあるでしょうが、それがコロナショックが示した現実です。
高い分配金に惹かれて――多分高齢者に多いでしょうが――米国REITに投資資産の5割とか投じた方は、コロナショックにおいて最大の被害者でしょう。
新興国債権やREITは、安定的で比較的高い分配金が得られる利点がありますが、デメリットも極めて大きいのです。
ポートフォリオに組み入れるとしたら、1割程度に抑えるのが賢明だろうと僕個人は思いますね。
……1割でも相当なリスクなのは、コロナショックで明らかですが。
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コロナショックは金融市場で鯨と呼ばれるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)ですら、軽くない傷を負わせました。
運用目標3~6%は、それだけリスクがあります。
リスクは勿論ありますが、ある程度はコントロールが可能なリスクなのが、この世界です。
危機の大小を無視していいなら、そんなもの毎年発生します。
リーマンやコロナショックのような危機にしても、10年周期で訪れます。
僕が常々思うのは、投資において重要なのは負けないことではないか? と。
必ず危機が訪れるなら、それに備えてポートフォリオを組みだけ。
どこまでリスクを許容できるのか、ただそれだけの話しなのです。
許容できるリスクと相談しながら、理想のリターンを実現できるポートフォリオを調べてみてはいかがでしょうか。
今回のところは、この辺で。




