投資構成は、どのように設定したらいいの? その参 ~運用目標1%に設定した方~
運用目標1%に設定した方。
ローリスク・ローリターンの世界へようこそ。
金利以下になるかもしれない運用目標を、僕は正直勧めないのですが、人様の方針には口を挟めません。現状の経済を見る限り、金利上昇の可能性は薄いので、ありといえばありなのでしょう。
このケースでは日本債権ファンド一択。
株式はおろか外国債権ですら、以ての外です。
日本債権ファンドはローリスクの商品だけあり、日々の価額変動幅は10円程度でしょう。50円程度の変動するときもありますが、基本無風な商品ですので、価額変動で一喜一憂することも少ないかと。
ローリスク商品で特に気を付けなければいけないのが、税金や購入時手数料の支払いが利益に影響を与えやすい点。
1万円で購入し、その商品の購入時手数料が1%だった、と仮定しましょう。
この方は、購入初年度利益は恐らくマイナスです。
えっ、なぜ。
運用目標1%に対して、購入時手数料が1%も支払っているのですよ?
それだけで利益が消える上、得られた分配金も2割ほど税金が徴収されます。
基準価額(投資信託の値段)が上昇すれば経費分を帳消しになるのでしょうが、ローリスク商品なのでそれは期待できません。
ローリスクなのに損するとか聞いてないけど!!
ローリスクの意味は誤解されがちですが、損をしないという意味ではありません。
僕なりの解釈では、「ローリスク商品とは基準価額の変動幅が少ない」です。信じられない方はネットで軽く検索してみてください。「どのようになるのか分からない度合いが少なく、利益と損失のいずれかが少ない商品」、みたいなに表示されるでしょう。
ローリスクでも、損はするんです。
日本債権ファンドがローリスクなのは、ファンドで運用している日本国債権を日本政府や日本銀行が価値を保証しているからではありません。
価値を保証しているですむなら、ノーリスクでしょう?
リスクは市場が導き出しており、日本国債権は日々の変動幅が極めて小さいのでローリスクに分類されているだけです。
ローリスク・ローリターン運用では、なにを差し置いても注意しなければいけない重要な点があります。
日本銀行が政策金利を変更するか否か。
日本債権の金利が上昇する可能性は低い―――と思われてますが、一寸先は闇なのが金融の世界。金利上昇にいつ転じるか知れたものではありません。投資した段階より金利が上昇すると、貴方が保有する日本債権ファンドの価額は下落します。
利益の少ない日本債権ファンドでの運用では、これが致命的な影響を与えかねません。
10000円で日本債権ファンドを購入したと仮定しましょう。
購入時手数料は購入額の1%で、税金は利益の2割。
初年決算の利益は、100(1%の配当)-20(税金)=80円です。
ただし購入時手数料で100円かかっているので、80-100=-20円が運用結果になります。
運用開始から5年経過に運用結果は、下記のようになりました。
80(毎年の配当)×4(2~5年間)-20(運用結果)=300円
基準価額の変動はほぼありませんでしたの、運用結果には影響を与えません。
運用開始から6年経過。
日本銀行が政策金利を0.25%→0.75%へ変更しました。
日本債権ファンドはその影響をもろに受け、基準価額は10000円から9500円へ下落。基準価額の下落は、貴方の運用結果にも影響を与えます。
9500(変動した基準価額)-10000(購入時の基準価額)+300(5年間の運用利益)+80(配当)=-120円
下落した基準価額の差額500円分を補うには、6年分の利益でも補いきれません。
日本債権ファンドの値動きは緩やかですが、3~5年くらいの単位で考えれば500円程度の値動きはあり得るのです。
信じられないとお思いの方。
どこの投資信託会社のサイトでも構わないので、日本債権を扱うファンドの値動きを調べてみてください。
僕が指摘している値動きをしているのが、確認できるはずです。
税金で2割も差し引かれる点については、NISA(少額投資非課税制度)を利用すれば期間限定ながら非課税にできます。購入時手数料はもっと安いファンドや無料を選べば解決できるでしょう。
ローリスク・ローリターンでの運用は、リターンが少ないんですから細かな経費削減が鍵となります。
イメージがつかめたでしょうか?
日本国債をローリスク・ローリターン商品だと甘く考えて長期間放置していると、ある日痛い目をみるかもしれません。
運用目標1%に設定した方は、この点を決して忘れず、ニュースなどで注視し続けてください。
今回のところは、この辺で。




