幼馴染にハメれる!?
「おっはよ~!」
ぼんやりとした頭のなか、
元気な声が響いて、オレは目を覚ました。
「ん、もう朝か・・・」
暗い部屋に一筋の光が差し込み、心地いい風が部屋に入ってきているそんな中に、
朝から異様にテンションの高い声が下から響いてきていた。
「もぉ~!挨拶をしたら、ちゃんと返事を返してくれないと!」
そんなことを呟きながら、オレは許可をしていないのにずかずかと寝室に入り込んできた。
「やーやー!ちゃんと起きているようだね!でも、おはよーに対して返事を返してくれないと、僕としては寂しいかな~・・・なんてね!」
なんて事を言いながら、嘘泣きをはじめる女性が立っていた。
そんな言葉を受けながら、眠い目を擦りつつ、その女性に顔を向けてみた。
朝日のよって綺麗な輝きを放つショートの銀髪が風に揺れ、しなやかな肢体が浮かんでいた。
「むぅ。おはよう。ってか、朝からテンションが高いようだが、なにかいいことでもあったのか?それと、まだ入ってきていいなんて、一言もいってないんだが・・・」
軽く抗議をあげ、目の前の女性にアクビを抑えつつ、返事を返したのだった。
「はい、おはよー!ちゃんと挨拶できて、よろしい!あと別にいいことって事もないけど、まぁ朝からヴァルの顔を見れたからいいことなのかな?・・・それに、ここは僕にとっても第二の家でもあるんだから、いいじゃないか~!」
と、眩しい笑顔で言い放つのだった。
まぁ、いつもの事なのでいいのだが、幼馴染とはいえ、もう少し恥じらいを持ってほしいものだ。
こちとら、いい歳の男なのだから・・・。
「まぁ、いいや。・・・で、スズネ?こんな朝からどうしたんだ?」
「今朝は特に用事もなかった気がするんだが。」
いくら思い出そうとしても、寝起きということもあり、思いつくわけでもなく、
目の前のスズネに問いかけてみたのだった。
「え~。覚えてないの?昨日言ったじゃん!朝から冒険者ギルドにいって、一緒に依頼を受けてほしいって!」
半眼で睨みながら、頬を膨らませて、抗議の声を上げてきたのだった。
しかし、いくら思い出そうとしても、そんな約束をした覚えもないし、背に汗をかきつつ、
「いや、物覚えはいい方なのだが、昨日はそんな約束はしてなかった気がするんだよな。それに昨日は昼に会ってから、その後はスズネの顔を見てないんだけど・・・」
と、スズネに聞いてみたのだった。
「・・・あ~!そだね!そういえば、会ってなかったね!」
「でも、僕はキチンと夜に『夢の中』で、約束したわけだし、なにも間違ってないよね!」
そんな訳の分からん約束を、どう覚えておけと?
文句のひとつでも言おうとすると、
「まぁ、そんなことはどうでもいいから、早く着替えてギルドにいこう!」
と、文句が出る前に、満開の笑顔でオレを急かすのであった。